多彩なシリーズ展開が行われているG-SHOCK。今回は、樹脂と金属の組み合わせをメインテーマとした「MT-G」シリーズに注目。カシオの売り上げ本数データをもとにした、2024年人気ランキングTOP5を紹介する。いずれのモデルも、カーボンファイバーの織目やメタルパーツの質感を際立たせたデザインが魅力のラインナップである。
Text by Shinichi Sato
[2024年12月17日公開記事]
2024年に人気を集めた「MT-G」5モデルはこれだ!
1999年に登場した「MT-G」は、G-SHOCKのオリジナルモデルから引き継がれてきた「樹脂」と、「金属」とを組み合わせることをメインテーマとしたシリーズである。現在は、スタンダードラインと最上位の「MR-G」の間となるミドルレンジに位置付けられており、ラインナップがアナログモデルで構成されている点も特徴である。各モデルのデザインは、カーボン系を含む樹脂とメタルの質感の違いを際立たせつつ、立体感とエッジの効いたものとなっており、これがMT-Gが人気を集める理由のひとつと言えるだろう。
いずれのモデルもストップウォッチやアラームといったG-SHCOCKの基本機能に加え、上位モデルではおなじみのタフソーラー、電波受信による自動時刻修正、Bluetooth接続によるアプリとの連携機能、ワールドタイムなど充実した機能を有しており、G-SHOCKならではの耐衝撃性に加えて高い実用性を有している点も魅力である。
では、2024年の締めくくりとして、カシオの売り上げ本数データをもとにしたMT-Gの2024年売上本数TOP5を紹介しよう。
第5位:「MTG-B1000XBD-1AJF」
タフソーラー。フル充電時約18カ月駆動(パワーセーブ時)SS×カーボンファイバー強化樹脂ケース(縦55.8×横51.7mm、厚さ14.4mm)。20気圧防水。17万500円(税別)。
第5位にランクインしたのは、カーボンの素材感を前面に押し出した「MTG-B1000XBD-1AJF」である。センターケースにカーボンファイバー強化樹脂を用い、軽量化と耐衝撃性を両立している。ベゼルにもカーボン素材を採用し、その折り目が本作のアイコンとなっている。カーボン素材は積層させて製造することから、その特性を利用して積層部分に赤のアクセントカラーを配しており、サイドから見た時の赤いラインが、本作にインパクトを加えている。
マットな質感と、くっきりとしたカーボンの織目と対照的に、素材由来の光沢感があってエッジの効いたメタルパーツとのコントラストは本作の見どころのひとつだ。メタルパーツへのポリッシュとヘアライン仕上げを使い分けていることで立体感が生まれている。また本作は、MT-Gシリーズ初のミドルサイズであり、この点がランクインした理由のひとつではなかろうか。
第4位:「MTG-B3000DN-1AJR」
タフソーラー。フル充電時約18カ月駆動(パワーセーブ時)。SS×カーボンファイバー強化樹脂ケース(縦51.9×横50.9mm、厚さ12.1mm)。20気圧防水。17万6000円(税込み)。
第4位にランクインしたのは、広大な宇宙空間に輝く散光星雲をモチーフとした「MTG-B3000DN-1AJR」だ。
MTG-B3000のベゼルに、色彩鮮やかな星雲をイメージしたブルーとパープルのグラデーションIPコーティングを施し、インデックスなどのパーツにもマルチカラーをあしらっている。ストラップには、多色のアルミ素材を混ぜたブラックのソフトウレタンを採用。尾錠にもブルーとパープルのIPコーティングを施して、時計全体で本作の世界観を表現している。
第3位:「MTG-B2000YBD-1AJF」
タフソーラー。フル充電時約29カ月駆動(パワーセーブ時)。SS×カーボンファイバー強化樹脂ケース(縦55.1×横49.8mm、厚さ15.9mm)。20気圧防水。18万1500円(税込み)。
第3位に輝いたのは、カーボンファイバー強化樹脂によるモノコックケースとメタル素材を融合させた「MTG-B2000」をベースに、ベゼルパーツにもカーボン素材を採用して軽量化を図った「MTG-B2000YBD-1AJF」である。
時計側面のベゼルフレーム部をカーボン素材に変更し、部品比で約77%軽量化を実現。大型のパーツのため時計全体でも大きく軽量化している。ベゼルフレームの最上層のカーボンシートは、3時、6時、9時、12時位置で側面に回り込むように重ねて強化されており、いずれの方向から見ても折り目が見える点はデザイン面でも注目すべき点だ。ストラップを接合する穴周辺は、カーボンシートを筒状に巻き付けて耐久性を向上させるなどG-SHOCKらしい作り込みも行われている。
第2位:「MTG-B3000B-1AJF」
タフソーラー。フル充電時約18カ月駆動(パワーセーブ時)。SS×カーボンファイバー強化樹脂ケース(縦51.9×横50.9mm、厚さ12.1mm)。20気圧防水。14万3000円(税込み)。
第2位は、MTG-B3000シリーズの「MTG-B3000B-1AJF」。ブラックとグレーのモノトーンに仕立てられたモデルだ。カーボンやG-SHOCKと聞いてイメージするブラックを基調とし、カーボンファイバー強化樹脂やラバーのマットな質感と、メタルパーツのエッジが効いて光沢感のある質感がコントラストを生んでいる。
MTG-B3000は工具無しでストラップの脱着が可能な「ワンプッシュ式交換バンド構造」を採用しており、本作はラバーストラップ仕様。オプションとしてブラックカラーのブレスレットも販売されているため、その日のファッションスタイルに合わせて交換して楽しむことも可能なことに加えて、お手入れの時も便利であろう。
第1位:「MTG-B3000D-1A9JF」
タフソーラー。フル充電時約18カ月駆動(パワーセーブ時)。SS×カーボンファイバー強化樹脂ケース(縦51.9×横50.9mm、厚さ12.1mm)。20気圧防水。15万4000円(税込み)。
栄えある1位に輝いたのが「MTG-B3000D-1A9JF」である。本作は、MT-Gらしいエッジの効いたデザインを、ステンレススティールのシルバーカラーにゴールドを挿し色としたエレガントさもあるカラーリングに仕上げたモデルだ。このような配色はG-SHOCKの全ラインナップを見回しても数少なく、どこか日本的な美を感じる。
本作をはじめとするMTG-B3000の特徴は、進化した「デュアルコアガード構造」である。カーボンファイバー強化樹脂とメタルパーツでモジュールの保護性能を高めているのは従来と同様であるが、MTG-B3000では新構造により薄型化が図られている。薄型化を支えるのは、カーボンファイバー強化樹脂一体成型でケース側面までを覆った形状の裏蓋だ。この裏蓋が保護性能を高めつつ、ラグも一体化されている。この裏蓋にメタルパーツが噛み合うことで、MTG-B3000のデザインが形作られている。
本作のステンレススティール製のベゼルは、成型後にゴールドIPコーティングを施し、そこにヘアライン加工を加えることで凸部のみステンレススティールを露出させたものだ。これは自動車用ホイールに見られるコントラストカットと同様の手法であり、メリハリの効いた仕上がりとなるのがメリットだ。このようなディティールがファンの心をつかんだのではないだろうか?
次なるチャレンジが今から気になるMT-G
チャレンジングなモデルの並ぶG-SHOCKの中でも、MT-Gはカーボンファイバーを機能面と意匠面の両方で生かし、メタルパーツと組み合わせて新たな魅力を生み出すなど、技術的なチャレンジが盛り込まれているのが特徴であり持ち味である。ランクインしたいずれのモデルもこの特徴が色濃く表れており、他には無い魅力として支持されているのだろう。2025年はどのようなチャレンジが盛り込まれたモデルが登場するのか、楽しみである。