チューダーは深い歴史に基づくストーリー性と独自性を兼ね備えるとともに、高品質と手の届きやすい価格を両立するスイスの時計ブランドである。40代男性が求める成熟した魅力と実用性を満たすモデルが豊富にそろう。本記事では、チューダーの魅力を踏まえつつ、40代男性におすすめしたいモデルを5本厳選して紹介。時計選びの参考にしてほしい。
チューダーってどんなブランド?
チューダーは1926年、ロレックス創業者ハンス・ウイルスドルフによって設立された。設立当初はロレックスの品質基準を継承しつつ、より入手しやすい価格帯で時計市場に提供することを目指しており、ロレックスのオイスターケースなどを用いながら、汎用ムーブメントでコストを抑える戦略を採用した。この戦略が功を奏し、チューダーは耐久性や防水性など実用面で優れたモデルを生み出し、ユーザーの信頼を獲得するに至ったのだ。
もっともロレックスとのつながりを示しつつも、チューダーならではのデザインを備えたコレクション展開を行い、ロレックスとは違った独自性も打ち出してきた。例えばロレックスの「サブマリーナー」に範を取りつつ、スノーフレーク針やさまざまなカラーをあしらったモデルなどは、そんなチューダーの独自性を象徴するもののひとつと言える。
さらに2015年には自社製ムーブメントをローンチ。現在ではロレックスの廉価版ではなく、「チューダー」という時計ブランドとして、幅広いユーザーに支持されている。
そんなユニークな、しかし確かな品質と優れたデザイン性、そしてちょっとの遊び心を強みに成長してきたチューダーは、40代男性が選ぶ腕時計として好適なブランドだ。この年代は、毎日腕時計を着用するというユーザーが多いように思う。そんなユーザーにとってチューダーウォッチは、実用性やさまざまなシーンで用いることのできる汎用性の高さで、重宝するだろう。自社製ムーブメントを搭載するモデルをはじめ、精度と耐久性に優れているという点でも、1本持っておけば心強い。
またロレックスとのつながりを含め、自社のアーカイブを基に現代的に洗練させた現行コレクションは、時計好きを中心に支持を集めている。
加えてチューダーは、歴史的にそうであったように、「高い品質」と「手の届きやすい価格」を両立していることも大きな魅力だ。「安かろう悪かろう」なのではない。優れた生産体制の下、徹底した品質管理によって製造されるチューダーウォッチの数々は上質なのに適正価格で、とりわけ原材料高騰や世界的なインフレ、円安などの複合的要因で高級腕時計の価格が上がり続ける中、もちろんチューダーもかつてより価格は上昇しているものの、限られた予算の中で時計を選ぶユーザーにとってはありがたい存在である。
チューダーウォッチを見たことがなければ、一度実物を見て、手首に載せてみてほしい。きっと、そのデザインや品質に満足するとともに、良心的な価格設定に驚かされるはずだ。
40代男性におすすめのチューダー5選
チューダーウォッチと一口に言っても、多彩なバリエーションが展開されている。最も有名な「ブラックベイ」だけ見ても、「ブラックベイ 58」や「ブラックベイ GMT」「ブラックベイ プロ」などさまざまだ。そこで、40代男性におすすめしたいチューダーを、5本厳選して紹介する。
「ペラゴス FXD GMT “ZULU TIME”」
自動巻き(Cal.MT5652-U)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。Tiケース(直径42mm、厚さ12.7mm)。200m防水。65万1200円(税込み)。
フランス海軍特殊部隊と共同開発された「ペラゴス FXD」。このコレクションをベースに、フランス海軍航空隊の要求に合わせてGMT機能を付加して生み出されたのが、「ペラゴス FXD GMT “ZULU TIME”」だ。2024年に誕生したばかりの、新作モデルである。なお、モデル名に冠された “ZULU TIME”は、協定世界時間UTCを指す軍事用語だ。GMT針と24時間スケールが記された両方向回転ベゼルを用いることで、第3時間帯までの表示が可能となる。
42mm径のチタン製ケースはツヤ消し仕上げによってツール感が際立っており、さらにマットブラック文字盤にスノーフレーク針とオレンジのGMT針を組み合わせた意匠が、高い判読性につながっている。
また、チタンは軽量であるため、装着感が快適であったり、1日中着け続けていても疲れなかったりといったメリットがある。さらにFXDの名前の通り、ラグは一体成形となった固定式ストラップバーが搭載されており、ここに通されるオリーブカラーのストラップが、フランス海軍航空隊のパイロットが着用するフライトスーツをほうふつとさせる。
搭載するムーブメントは、約65時間のパワーリザーブを備える自社製Cal.MT5652-U。マスター クロノメーター認定を受けており、超高耐磁性能や防水性、パワーリザーブが少なくなってきた際の精度などといった、厳しいテストを突破した高性能ウォッチでもある。
海外出張や旅行が多い40代男性にとって、実用性と独特の存在感を兼ね備える1本と言える。
ブラックベイ クロノ "ブルー"
自動巻き(Cal.MT5813)。41石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径41mm、厚さ14.4mm)。200m防水。79万2000円(税込み)。
「ブラックベイ クロノ "ブルー"」は、チューダーブティック限定モデルとして、2024年に発売された。スポーティーさとエレガンスを併せ持つクロノグラフウォッチとなっており、あざやかなブルーの文字盤とベゼルが目を引く。ちなみにチューダーは腕時計のデザインにブルーを取り入れた先駆者であり、歴代モデルの意匠にも取り入れてきた。
ホワイトの蓄光塗料が施されたスノーフレーク針とインデックス、そしてクロノグラフ秒針先端と防水表記に取り入れられたレッドが、ブルー文字盤にアクセントを加えている。
ドレッシーな5連ブレスレットは堅牢でありながら適切な遊びを備えており、最長8mmまで工具なしにサイズの微調整が可能な“T-fit”アジャスティングシステム付きクラスプとともに、快適な装着感に一役買ってくれるだろう。
ムーブメントはCOSC認定のCal.MT5813を採用し、精度と信頼性を確保。パワーリザーブは約70時間と、実用的だ。
スポーティーに、しかし上品なエレガンスも大切にしたいという40代男性にお勧めしたいモデルである。
ブラックベイ プロ
自動巻き(Cal.MT5652)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径39mm、厚さ14.6mm)。200m防水。59万700円(税込み)。
今から約70年前、北極氷原研究のためにイギリスから2年間のBritish North Greenland Expeditionに乗り出した30人の探検家たち。彼らの手首に着用されていたのが、ハンス・ウイルスドルフが提供したチューダーウォッチだったという。そんな冒険家たちの命を支えたツールウォッチの歴史と精神性を落とし込んだモデルが、2022年に発表された「ブラックベイ プロ」だ。
39mmのステンレススティールケースはヴィンテージライクな雰囲気。エイジングを思わせる風合いの蓄光塗料も、このヴィンテージ感を押し上げている。
また、GMT機能を搭載しており、イエローのスノーフレーク針でホームタイムをさし示す。ステンレススティール製のベゼルに直接印字された24時間表示で、異なる時刻を直感的に把握することが可能だ。
ムーブメントは、約70時間パワーリザーブを備えるCal.MT5652。200mの防水性能と併せて、実用的に使えるヴィンテージライクウォッチとなっている。
懐かしさと先進性が交差するこのモデルは、落ち着いた趣味嗜好を持つ40代男性に深い満足感を与えるだろう。
ブラックベイ 58 ブロンズ
自動巻き(Cal.MT5400)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。ブロンズケース(直径39mm、厚さ11.9mm)。200m防水。ブティック限定モデル。68万900円(税込み)。
「人と違ったデザインの腕時計を着けたいけど、ビジネスシーンで悪目立ちしたくない」というのであれば、「ブラックベイ 58 ブロンズ」はいかがだろうか?
ブロンズは近年、腕時計での使用が増えつつある素材のひとつだ。経年変化で色が変わるこの素材は、日常的に、かつ一日中身に着けることの多い腕時計には、不向きであるかのように見える。しかし、この「色が変わる」ことは、「味」とも捉えることができる。そこで、あえてブロンズを採用し、使い続けていく中で、オーナーが独特の風合いを楽しめる腕時計とするブランドが増えているのだ。
チューダーもまた、そんなブランドのうちのひとつだ。もっともチューダーは、ブロンズにアルミニウムを含有させた合金素材を用いているため、緑青が強く出すぎず、ゆったりとした経年変化を楽しめる。同時に、本作はブロンズの温かみのある色とブラウン文字盤がマッチさせており、クラシカルな雰囲気を醸し出している。ブロンズはステンレススティールなどと比べて目を引きがちだが、直径39mmという小径サイズと相まって、さりげなくジャケットの袖口で存在感を示せる1本と言える。
「チューダー ロイヤル」41mmモデル
自動巻き(Cal.T603)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。SS×18KYGケース(直径41mm、厚さ10.6mm)。100m防水。54万5600円(税込み)。
「チューダー ロイヤル」は、2020年にラインナップに加わった、ドレッシーなコレクションだ。なお、1950年代、チューダーはアジアの一部地域限定で、同名コレクションを販売していた。
多彩なバリエーションが展開される中で、本作はチョコレートブラウンの文字盤と18Kイエローゴールドベゼルが上品に調和した1本となっている。なお、ケースと一体型のデザインを形成するブレスレットのイエローゴールド部分は、ゴールドキャップだ。
ドレッシーな一方で100mの防水性能を備えており、デイリーユースにもお勧めだ。ビジネスからフォーマルな席まで自然に溶け込み、40代男性が求める品格や洗練性を具現化する1本である。
チューダーとともに歩む、40代からのスタイルアップ
40代男性にお勧めしたい、チューダーの腕時計を5本、厳選して紹介した。
前述の通り、チューダーは多彩なバリエーションを展開しており、今回紹介したモデル以外にも名作は数知れず。腕時計の購入を検討しているユーザーは、一度チューダーのブティックや、ホームページをのぞいてみてほしい。