20世紀を代表するアーティストのアンディ・ウォーホルの愛用した名作“ブラック タイ”が、ピアジェ4代目社長との深い親交を背景にコラボレーションモデルとして再定義された。
佐藤しんいち:文 Text by Shin-ichi Sato
細田雄人(本誌):編集 Edited by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2025年1月号掲載記事]
アンディ・ウォーホルとピアジェ4代目社長との親交から生み出された腕時計
創業150周年にあたり、名作“ブラック タイ”をベースに20世紀を代表するアーティストの名を冠して発表。マッシブなサイズ感でありながら、ドレスアップした装いにフィットするエレガントさを備える。自動巻き(Cal.501P1)。23石。2万8800振動/ 時。パワーリザーブ約40時間。18KWGケース(縦45×横43mm、厚さ8.08mm)。3気圧防水。予価994万4000円。
ピアジェの創業150周年を締めくくる「ピアジェ アンディ・ウォーホル」は、アンディ・ウォーホル美術財団とのコラボレーションモデルだ。ベースとなったのは名作“ブラック タイ”。その意匠を引き継ぎながら、なぜ同作はウォーホルの名を冠しているのか。
通称ブラック タイは、1972年初出の貴金属をケースに用いた少量生産モデルだった。そしてこの時計を所有していた人物のひとりが、20世紀を代表するアーティストであるアンディ・ウォーホルだ。彼はピアジェウォッチの愛用者だったことが知られており、1973年に自身の7本目のピアジェウォッチとしてブラック タイを入手している。加えて彼は、ピアジェ4代目社長のイヴ・ピアジェと親交が深く、ピアジェ ソサエティの常連メンバーとしてイベントに足を運んでいたことが知られている。これら友情を背景に、今回のコラボレーションが実現したのだ。
その第1弾となる本作は、オリジナルに準じた縦45×横43mmのケースを18KWGで仕立て、ベゼル部にクル・ド・パリ仕上げを施して華やかさを加えている。ダイアルは、ブルーのメテオライトをベースに、ドーフィン型の時分針と細身のインデックス、ピアジェのロゴを配して、シンプルでエレガントにまとめられた。
ピアジェ アンディ・ウォーホルは、次回の新作より、最大10種類のオーナメンタルストーンや、メテオライトダイアルなど、多くのカスタマイズオプションが用意される予定。なお、コレクションにより財団が得た収益は、コンテンポラリーアートの創作や記録を支援する助成金に充てられる。このことから同コレクションは、アートやデザインの領域で人材育成と振興に力を注いできたピアジェのバックボーンが現れたモデルと言える。