「ムーンスウォッチ」シリーズの新作、「ムーンスウォッチ ミッション トゥ アースフェイズ」はムーンフェイズ機構ならぬアースフェイズ機構も備えた遊び心あふれるモデルだ。『WatchTime』ドイツ版編集長のダニエラ・プッシュが、この腕時計を実際に手にし、その印象をチェックした。
クォーツ。バイオセラミックケース(直径42mm、厚さ13.25mm)。3気圧防水。4万7300円(税込み)。
遊び心あふれるアースフェイズ機構を備えたムーンスウォッチをチェック!
もし、ムーンスウォッチ革新の可能性が、将来的に底を突いてしまったとしても、スウォッチは人々を楽しませることを決してやめはしないだろう。その独自の外観・技術・デザインの組み合わせにより、「ムーンスウォッチ ミッション トゥ アースフェイズ」は、オメガとスウォッチの共同作業による成功譚に、新たな1章をつづることになった。この新作は、洗練性とエレガントな色合いをテーマとした、遊び心のある地球と月のつながりに対するオマージュである。
「スピードマスター」を彷彿とさせる要素
ムーンスウォッチ ミッション トゥ アースフェイズは人目を引く腕時計だ。その理由のひとつは、グレートーンを絶妙に組み合わせたモノクロームの色合いと、オメガ「スピードマスター」の特徴であるドット・オーバー90が配された、ブラックカラーのタキメーターベゼルにある。
ブラックカラーのベゼルには、明るいグレーでタキメーターが記されており、視認性は良好だ。時針・分針・クロノグラフ秒針、そしてインデックスには、グリーンに光るスーパールミノバが塗布されており、暗闇でも良好な視認性が確保されている。
ムーンスウォッチコレクションのモデルすべてに、オメガxスウォッチのブランディングがなされており、スピードマスターとムーンスウォッチのロゴが付いている。また、インダイアル部分がくぼんでいる文字盤、特徴的なラグ、バイオセラミックスを用いた独特の質感を備える外観といった、共通の特徴がある。
月と地球の関係性を表現したアースフェイズ機構とムーンフェイズ機構
軽量かつサステナブルな素材であるセラミックスと、ヒマシ油をブレンドしたバイオセラミックス製ケースは、堅牢かつ着用性に優れたものだ。グレー文字盤のざらついた質感は、月面の様子を再現している。その文字盤上にアースフェイズ機構とムーンフェイズ機構が展開しているのである。
2時位置に配されたムーンフェイズ機構は、地球からながめた月の様子を示しており、一方、10時位置に配されたアースフェイズ機構は、月から見た地球を表している。実は、アースフェイズ上の地球の海の部分には、特許を取得したUVインクがコーティングされており、紫外線を当てるとブルーに輝く。
腕時計内部には、刻時とアースフェイズ、ムーンフェイズ表示機構を正確に稼働させるためのクォーツムーブメントを搭載。反対方向に動くふたつのディスプレイは、29.5日サイクルとなっており、相互補完関係にある地球と月のリズムを視覚化している。このアースフェイズ機構はムーンフェイズ機構の逆版ともいえ、シンプルに見えるが、その実現は簡単ではない。
入手は簡単? そして価格は?
この腕時計は、2024年11月2日に発表された。他のすべてのムーンスウォッチの新作同様、ブティックにいつ入荷するかを予測するのは難しい。4万7300円(税込み)という価格は、その革新性と手ごろ感を考慮すると素晴らしいものであり、特にクリスマス時期の時計ファンへの贈り物としては理想的だ。
『WatchTime』ドイツ版編集長が考えるこの腕時計の評価
ムーンスウォッチ ミッション トゥ アースフェイズは、遊び心あふれるクリエイティビティに加え、スウォッチとオメガの長年にわたるイノベーションへの情熱を組み合わせた腕時計だ。このモデルに対して「市場を席巻する、意図的に供給量を調整した修理不能のプラスティック製腕時計」という非難があることは理解できる。だが、デビュー当初の熱狂が過ぎ去った2024年末の現在でさえも、ムーンスウォッチという存在は、まだまだ「会話のきっかけ」の役割を十分に果たすに値するモデルであり続けているのだ。
加えて、この新作は、地球と月の関係というテーマを魅力的に取り上げている。もしかすると、スヌーピーとコラボレーションしたスウォッチの人気を差し置くほどのモデルに成長するかもしれない。アースフェイズ機構の魅力は、新作ムーンスウォッチの人気を大いに押し上げるだけの力を持っているように考えられるのだ。