「俺、ドレスウォッチが好きかもしれない」。「腕時計のある人生 Channel」RYが選ぶ【2024年新作時計ベスト5】

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2024.12.24

日本、そして世界を代表する著名なジャーナリストたちに、2024年に発表された時計からベスト5を選んでもらう企画。今回は外国船の“船長”であり、人気YouTubeチャンネル「腕時計のある人生 Channel」を運営するRYが5本をピックアップ。RYの「時計観が大きく変わった」2024年、ある基準の下に選ばれたモデルの数々とは?


1位:パルミジャーニ・フルリエ「トリック プティ・セコンド」18Kローズゴールドモデル

1996年、ブランド創業時に創業者ミシェル・パルミジャーニ氏が最初にデザインした「トリック」。2021年に同ブランドのCEOに就任したグイド・テレーニ氏のもと、新生トリックとなって今年登場。代名詞とも呼べるローレット加工のベゼルに伝統的なグレイン仕上げの文字盤、ル・コルビジェ氏のカラーパレットにインスピレーションを受けた色合いなど、ミニマルなルックスに反して奥ゆかしく、極めて上品で豊かな時計にため息が止まらなかった。

パルミジャーニ・フルリエ トリック

パルミジャーニ・フルリエ「トリック プティ・セコンド」Ref. PFC940-2010001-300181-JP
手巻き(Cal.780)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。18KRGケース(直径40.6mm、厚さ8.8mm)。709万5000円(税込み)。(問)パルミジャーニ・フルリエ pfd.japan@parmigiani.com


2位:グランドセイコー「エボリューション9 コレクション 手巻メカニカルハイビート36000 80 Hours モデル」

大人気“白樺シリーズ”の手巻き式ドレスウォッチとも呼べる本作。

文字盤、ケース、ムーブメントの美しさはもちろんのこと手巻きの音・感触も心地よい。サイズも大きさ38mm台、厚さ9mm台に滑り込んだのは素晴らしいと個人的に大拍手。しかも「エボリューション9 シリーズ」の特徴である低重心によって腕乗りの安定感が増し、加えて「ブリリアントハードチタン」で軽さと硬さも確保。約80時間パワーリザーブの手巻き式とあって、総合力がかなり高いドレスウォッチに仕上がっている。

グランドセイコー エボリューション9

グランドセイコー「エボリューション9 コレクション 手巻メカニカルハイビート36000 80 Hours モデル」Ref.SLGW003
手巻き(Cal.9SA4)。47石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約80時間。ブリリアントハードチタンケース(直径38.6mm、厚さ9.95mm)。日常生活用防水。152万9000円(税込み)。(問)セイコーウオッチお客様相談室(グランドセイコー) Tel.0120-302-617


3位:パルミジャーニ・フルリエ「トンダPF マイクロローターノンデイト」

このベスト5企画に同じブランドから2本入れても良いのだろうか? そう迷いつつも、自分の気持ちに正直にランクイン。

「トンダ PF」シリーズは毎年この企画で上位に入れているほど、その控えめな美しさと余裕感、そして何より自分のために作られたのかと思うほどのしっくりくる着け心地に、心底惚れている。また、マイクロローターとノンデイトのコンビネーションは個人的に理想的な組み合わせ。ゴールデン・シエナの文字盤も他にはない絶妙な暖かい色味で、程よい“外し感”としても活躍しそう。

パルミジャーニ・フルリエ トンダPF マイクロローターノンデイト

パルミジャーニ・フルリエ「トンダ PF マイクロローターノンデイト」Ref. PFC914-1020021-100182-JA
自動巻き(Cal.PF703)。29石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。Pt×SSケース(直径40mm、厚さ7.8mm)。100m防水。370万7000円(税込み)。(問)パルミジャーニ・フルリエ pfd.japan@parmigiani.com


4位:ジャガー・ルクルト「レベルソ・トリビュート モノフェイス」

歴史的なアイコニック時計の1本にも数えられるであろう名作ウォッチ。1931年のオリジナルとほぼ同じケースサイズを持つこの新作は細腕の方々に喜ばれたはず。より薄く小ぶりになったことでシェアウォッチとしても活躍の期待大。フォーマルシーンからカジュアルシーンまで似合う懐の深さがあり、インターチェンジャブルシステム採用のストラップで色を変えれば活躍の幅はさらに広がる。

ジャガー・ルクルト「レベルソ・トリビュート・モノフェイス」Ref.Q7168420
手巻き(Cal.822)。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(縦40.1×横24.4mm、厚さ7.56mm)。3気圧防水。139万9200円(税込み)(問)ジャガー・ルクルト Tel.0120-79-1833。


5位:ノルケイン「ワイルドワン スケルトン コーラル」

時計界の台風の目と個人的には思っているノルケイン。同社が2022年に“究極のスポーツウォッチ”としてリリースしたのが「ワイルドワン」。200m防水、5000Gの耐衝撃性、COSC認定の精度、新素材のNORTEQ(ノルテック)など語りポイントは多いが、ずば抜けた軽さとフィット感が特に素晴らしいと感じている。これはスポーツをする時のみならず、日常生活においても大きなメリットとなる。中でも今年新作のコーラルはビビットなハツラツとしたカラーがこの時計のキャラにあっており、個人的に一番刺さった。文字盤がスケルトン仕様で、中のムーブメントがキラキラと光り、高級感が感じられるのも所有感を満たしてくれるポイント。

ノルケイン ワイルドワン スケルトン コーラル

ノルケイン「ワイルドワン スケルトン コーラル」Ref.NNQ3000QBR2AS/B013/3W1RBR1.20BQ
自動巻き(Cal.N08S)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約41時間。ノルテックケース(直径42mm、厚さ12.3mm)。200m防水。90万2000円(税込み)。(問)ノルケインジャパン Tel.03-6864-3876


総評

今年は筆者の時計観が大きく変わった年である。

筆者は元々ロレックスの「サブマリーナー」を買ってから時計の面白さに気づき、続いて購入したセイコーの「SKX007」で完全に時計の沼にハマった、いわば“ダイバーズウォッチ出身”の人間であった。

しかし色々と時計コレクションを増やしていく中で、理由は分からないが一番テンションの上がる時計がグランドセイコーの「4420-9000(通称44GS)」であった。

そして今年購入したのがA.ランゲ&ゾーネの「ランゲ1」。かねてから憧れていた夢の時計ということもあるかもしれないが、とにかくテンションが上がる。

そこで、はたと気がついた。「あれ……俺、ドレスウォッチが好きかもしれない」と。

ドレスウォッチはダイバーズウォッチと対極にある時計。それが故に、自分の中での衝撃は大きかった。

なぜドレスウォッチが好きなのか?自分なりにその要素を分解していくと、薄い・軽い・小ぶりというところにたどり着いた。つまり快適な時計である(その上で綺麗だとなお良い)。

今年も例年と同じく欲しい! と思った5本を紹介させていただいたが、今回の挙げた5本はいずれもこの要素をどれかしら満たしている。

ドレスウォッチが4本を占める中でノルケインのワイルドワンだけが異色だが、ドレスウォッチに勝るとも劣らない快適性を備えているので、その点不思議ではない組み合わせかと。

しかし時計の世界は奥深い。

自分自身とはなんぞや? 「何時を知る」ではなく「汝を知る」ための道具になりつつあると感じた2024年。

来年も楽しく探求していきます。



選者のプロフィール

腕時計のある人生 RY

1990年生まれ。本業は外国船の“船長”。初めて購入した機械式時計をきっかけに腕時計の魅力に取り憑かれる。腕時計好きの人口を増やすため、2019年にブログ「腕時計のある人生」を開設。20年にはYouTube「腕時計のある人生Channel」を開設した。webChronosへのインプレッション記事の寄稿やForza Stayleの人気動画シリーズ「ロック福田の腕時計魂」への出演なども行う。


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