2024年に発表された新作時計の中から、時計のプロがベスト5を選ぶ企画。今回は来年、50歳を迎える時計ジャーナリスト篠田哲生が、この歳だからこそかっこよく着けこなしたいと考える18Kゴールドウォッチを選んだ。いずれもケースからブレスレットまで18Kゴールド製の華やかなモデル。その中でもブレスレットの完成度が飛び抜けて良かったパテック フィリップ「ゴールデン・エリプス」Ref.5738/1が1位となった。
1位:パテック フィリップ「ゴールデン・エリプス」
ブレスレットが変わるだけで、これほどまでに印象が変わるのかと驚いた。ブレスレットの細かな造作も素晴らしいが、その滑らかな着用感は感動的。目でも感触でも楽しめる時計であり、しかもフルゴールド。最高です。
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自動巻き(Cal.240)。27石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。18KRGケース(縦39.5×横34.5mm、厚さ5.9mm)。3気圧防水。951万円(税込み)。(問)パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター Tel.03-3255-8109
2位:カルティエ「パンテール ドゥ カルティエ」
カルティエらしい美しいフォルムはそのままに、時計を大型化。ケースもブレスレットも18Kイエローゴールドという存在感にひと目ぼれ。ムーブメントはクォーツ式だが、毎日使うタイプの時計ではないので、むしろアリだ。
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クォーツ。18KYGケース(縦42mm×横31mm、厚さ6.71mm)。日常生活防水。472万5600円(税込み)。(問)カルティエ カスタマー サービスセンター Tel.0120-1847-00
3位:ロレックス「オイスター パーペチュアル ロレックス ディープシー」
昨今のダイバーズウォッチは、機能性と装着感を求め、チタンケースを採用するモデルが多い中、このモデルはその真逆を行く。機能的には最高スペックなのに、とにかく重くてとにかくリッチ。その二律背反感が好き。
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自動巻き(Cal.3235)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。18KYGケース(直径44mm、厚さ17.7mm)。3900m防水。
4位:チューダー「ブラックベイ 58 18K」
タフウォッチの名門らしからぬ……というと失礼かもしれないが、18金のフルゴールド×ダイバーズのボリューム感は圧倒的。ケースもブレスレットもヘアライン仕上げにしており、そのマットな質感にチューダーらしさを感じる。
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自動巻き(Cal.MT5400)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。18KYGケース(直径39mm、厚さ12.7mm)。200m防水。448万8000円(税込み)。(問)日本ロレックス / チューダー Tel.0120-929-570
5位:ヴァシュロン・コンスタンタン「オーヴァーシーズ・オートマティック」
グリーンダイヤルが人気だが、この色合いを生かすのは、実はゴールドじゃないかと思う。すっかりおなじみとなったオーヴァーシーズだが、深いグリーンと明るいゴールドとの色合わせは、素晴らしいの一言。
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自動巻き(Cal.5100)。37石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。18KPGケース(直径41mm、厚さ10.69mm)。15気圧防水。897万6000円(税込み)。(問)ヴァシュロン・コンスタンタン Tel.0120-63-1755
総評
ギンギラギンだけど、さりげなくない。
年齢を重ねるということは、経験を積むということ。これまでなら敬遠していた物事にチャレンジすることも、年齢を重ねたからこそ可能なことかもしれない。
来年50歳という大きな節目を迎える身として、俄然気になるのはゴールドウォッチ。しかもシックなホワイトゴールドではなく、イエローやレッド、ピンクといった華やかなゴールド素材で、さらにはケースだけでなく、ブレスレットまで同素材であること。それが個人的な注目モデルとなっている。
そういう目線で時計を見ていたこともあるのだろうが、今年はかなりフルゴールドモデルが目立っていた。
しかもパテック フィリップ「ゴールデン・エリプス」のようにブレスレットの造作に凝っていたり、カルティエ「パンテール ドゥ カルティエ」のようにサイズ感で遊んだり、あるいは人気のグリーンなどでカラーリングに凝ったりと、華やかなゴールドウォッチの個性を存分に楽しめるようにしているのも魅力だ。
ぎらついている、とか、これ見よがしだ。などといわれることも少なくないフルゴールドウォッチだが、着けこなせるだけの経験値やスタイルをもっているなら、むしろ素敵に見えるはず。むしろこういう時計をかっこよくつけこなせる大人になりたい。
時計は自分自身を語るものでもある。自分が成長しているのなら、選ぶ時計だって変化してもいい。ゴールドウォッチは大人を輝かせる時計なのだ。
選者のプロフィール
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篠田哲生
1975年生まれ。講談社『ホットドッグプレス』編集部を経て独立。時計専門誌、ファッション誌、ビジネス誌、新聞、ウェブなど、幅広い媒体で硬軟織り交ぜた時計記事を執筆している。また仕事の傍ら、時計学校「専門学校ヒコ・みづのジュエリーカレッジ」のウォッチコース(キャリアスクールウォッチメーカーコース)に通い、時計の理論や構造、分解組み立ての技術なども学んでいる。クロノス日本版のTop 10 Rankingのレギュラー選考委員。2020年には『教養としての腕時計選び』(光文社新書)を上梓。