ザ・シチズンの機械式モデルについて知ろう。高精度ムーブメントと最新モデルを解説

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2025.02.11

「ザ・シチズン」は高精度と洗練されたデザインを兼ね備えたブランドで、国内外から評価を得ている。特に機械式モデルは、熟練職人の技術と革新的ムーブメントが結実した逸品だ。本記事ではザ・シチズンの誕生背景、ブランド哲学やその製造現場に加え、注目すべき最新モデルも紹介する。

ザ・シチズン


「ザ・シチズン」とは何か?そのコンセプトとブランドの位置づけ

「ザ・シチズン」は、シチズンが誇る最高峰のブランドである。日本製高級時計として、国内外で高い評価を受けており、所有者に誇りと満足感をもたらす存在である。ここでは、ザ・シチズンの誕生背景やブランド哲学、さらにシチズン全体の中での位置づけについて詳しく解説する。

ザ・シチズンの誕生とその背景

ザ・シチズン

シチズン時計が創立65年を迎えた1995年、「市民に愛され、市民に貢献する」という企業理念に回帰するべく、シチズンが有する技術を結集して製作されたのがザ・シチズンだ。

 1995年に創業65周年を迎えたシチズンは、自社技術の粋を結集したザ・シチズンを世に送り出した。

 その背景にあったのは、日本製高級時計として世界に打って出ようという強い意志。当時、グローバル市場ではスイスブランドが強く、日本ブランドが対等に評価されるにはさらなる技術革新と品質向上が求められた。

 一般的なクォーツウォッチの精度が月差±15秒を標準とする中で、ザ・シチズンの初代モデルは年差±5秒を実現。そればかりか、顧客登録制度や自然故障に対して最長10年間の無償修理の実施や延長保証、無償定期点検などのサービスを含めた長期保証などの新しい顧客サービスを導入した。

 これによりブランド価値が急上昇し、日本製でも世界水準を超える実力があることを示した。

 この歩みが今日まで続く技術的挑戦の起点となり、シチズンは革新と伝統が調和したブランドとして認知を確立したのである。

ブランドの哲学と追求する理想

 ザ・シチズンは、時計づくりにおいて次世代を見据えた4つの理念を掲げている。

 シチズンの精密時計製造技術の集大成として、限りなく誤差の少ない時計を求める「Next Level Precision」や、部品の製造から最終仕上げに至るまで、全肯定で最高基準を追求する「Next Level Quality」。さらには、時代を超えて愛される普遍的なデザインを創造する「Next Level Design」や、所有者に特別な体験と長期間の安心を提供するため、最長10年間の保証やメンテナンスサービスを展開する「Next Level Hospitality」の実施だ。

 これらの理念を通じて、ザ・シチズンは時計を単なる道具ではなく、所有者の価値観を象徴し、長年にわたって寄り添うパートナーとして位置づけている。時計に込められた想いは、所有者との深い結びつきを生み出している。

シチズン内での「ザ・シチズン」の位置づけ

 ザ・シチズンは、シチズンブランド全体における最高峰ラインであり、技術力とブランドイメージの牽引役となっている。

 ザ・シチズンは、長野県飯田市にある「南信州高級時計工房」を製造拠点とし、マニュファクチュール体制で部品製造から組み立てまで一貫生産する。高精度かつ高品質な時計製造が可能となり、同社が培った技術とノウハウを結集させた時計が作り上げられる。

 ザ・シチズンは他モデルとは一線を画する存在感を持ち、その価値は国内にとどまらず海外市場でも評価される。結果として、シチズンが世界ブランドとしての地位を確立する上で、欠かせない柱となっている。


シチズンの技術と美学が融合する「南信州高級時計工房」

 ザ・シチズンの高品質な製品の多くは、長野県飯田市にある「南信州高級時計工房」で生産されている。この工房は、シチズンの時計製造における技術と美学を体現しており、国内外から高い評価を受けている。ここでは、同工房の特徴や時計職人の役割について詳しく解説する。

シチズンの高級時計製造拠点「南信州高級時計工房」

 長野県飯田市に位置する「南信州高級時計工房」は、シチズンが誇る高級時計製造の拠点である。

 ここでは高度な機械設備とベテラン時計職人の技能が融合し、素材の加工から組み立て、仕上げまでが一貫して行われる。

 徹底した品質管理の下、各部品は精密な寸法管理と表面処理を受け、最終的には手作業による細やかな調整を経て組み上げられる。

 ザ・シチズンのようなフラッグシップモデルは、この工房が育んだ技術や知識の結晶であり、国内外から高い評価を獲得している。こうして生まれた製品は信頼性を備え、長期の使用でも高い満足度を維持する。まさに日本の職人技と先進技術が共存する場所が、この南信州高級時計工房なのである。

時計職人たちの匠の技術と品質管理

南信州高級時計工房

ザ・シチズンに用いられる各パーツは、日本各地にあるシチズンの工場で生産された後、長野県飯田市にある「南信州高級時計工房」に集められ、職人の手によって組み上げられる。ザ・シチズンの組み立てには100以上の工程を要する上に、ごく少人数の組立マイスターによって作業が行われるため、1日に数本しか作れないという。

 工房内では熟練した時計職人たちが、厳密な基準で精度や仕上げを確認しながら、ひとつひとつの時計を完成へと導く。

 彼らは顕微鏡レベルの観察と微細な調整を繰り返し、部品の寸法誤差や面取り精度、仕上げの平滑度などあらゆる点に配慮する。さらに、清浄な作業環境が整い、埃や指紋など汚れの混入を防ぎ、安定した品質を担保している。

 このような品質管理を徹底することで、ザ・シチズンの時計は安定した高精度と高級機にふさわしい外観を両立する。職人たちが注いだ匠の技と妥協のない仕上がりは、最終的に所有者へ時と美を提供する特別な存在として、長く愛される理由となっている。

「日本製」の信頼とプライド

 ザ・シチズンは純国産であることを誇りとしており、この「日本製」が示すのは単なる生産国表示ではない。長年培われた技術力や素材選定、加工精度、組み立てから仕上げまで、すべての工程において日本式の緻密な仕事ぶりが発揮されている。

 結果的に「日本製」であることが品質保証の象徴となり、国内外のユーザーから高い評価を得る要因となっている。

 世界市場でスイスブランドと対等以上に渡り合うためには、この国産の信頼性とプライドが欠かせない。シチズンはザ・シチズンを通じて、日本のものづくり精神を世界へ示しているのである。


新型機械式ムーブメント「Cal.0200/0210」

Cal.0200

2021年に発表されたシチズンの自社開発ムーブメントCal.0200。LIGAで整形された脱進機やフリースプラングテンプを採用するほか、地板やブリッジには丁寧な仕上げも施される。片方向巻き上げ自動巻き。直径29.1mm、厚さ5.0mm。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。

 ザ・シチズンの機械式モデルの中核をなすのが、新型ムーブメントのCal.0200とCal.0210である。これらのムーブメントは、シチズンの技術革新を象徴し、時計愛好家にとって新たな魅力を提供するものだ。ここでは、それぞれの技術的特徴や魅力について詳しく解説する。

「Cal.0200」登場の意義と技術的特徴

 2021年発表のCal.0200は、シチズンが自社開発した革新的な機械式ムーブメントで、平均日差-3〜+5秒という超高精度を実現した。この精度はクロノメーター規格を上回り、日本製高級時計の新たな基準を打ち立てた。

 フリースプラング方式を採用したことで外部要因に強い安定度を持ち、長期間精度を保ちやすい構造が特長だ。

 さらに、厚みのある地板にはペルラージュ、ブリッジにはサティナージュと呼ばれるヘアライン仕上げや面取りを施し、機能性と美観を両立させた。

 このように、ラ・ジュー・ペレ社の装飾加工技術を取り入れていることも注目すべき点であり、Cal.0200は時計市場でシチズンの技術をアピールする重要なエレメントとなっている。

フリースプラング方式による精度の向上

 フリースプラング方式はテンプ周辺の微調整機構を持たず、テンプ受けの偏心で調速を行う方法で、衝撃や温度変化といった環境的ストレスに強い。

 長期的な精度維持が可能となり、定期的なメンテナンス間隔を延ばせる点がユーザーにとって大きな利点だ。

 この機構をCal.0200/0210に採用することで、長期間の安定性と高精度を両立し、ザ・シチズンを手にしたユーザーは、購入後も満足度が持続する。

 こうした技術的挑戦が、日本製高級時計への信頼を深める要素となっている。

丁寧な仕上げとデザインを実現

 Cal.0200/0210は、性能だけでなく、外観にも心血を注いでいる。

 直線的なブリッジやダイヤカットの面取りは光の反射を巧みに操り、内部構造をアート作品のように魅せる。

 ムーブメントが視認できるシースルーバックモデルでは、その微細な仕上げが堪能でき、所有者に満足感を与えてくれる。

 また、シチズンが傘下に収めたスイスのラ・ジュー・ペレの技術を取り入れることで、研磨や仕上げ精度が国際水準に達した。

 これらの要素が合わさることで、ムーブメント内部まで表現美を追求し、機能的価値だけでなく、視覚的歓びをも所有者へ届けている。


「ザ・シチズン」の現行機械式モデル3選

 ザ・シチズンの現行モデルの中でも、特に注目すべき3つの機械式時計を紹介する。いずれも高精度なムーブメントと美しい意匠が特徴となっている。Cal.0200やCal.0210を搭載したモデルは、技術的な先進性と日本的美学を融合しており、日常使いはもちろん、特別なシチュエーションでも身につけられる。

Cal.0200搭載の「NC0207-07A」

NC0207-07A

ザ・シチズン「NC0207-07A」
自動巻き(Cal.0200)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径40mm、厚さ10.9mm)。5気圧防水。世界限定200本。104万5000円(税込み)。

「NC0207-07A」はCal.0200を搭載し、平均日差-3~+5秒という高精度と耐久性を誇る。

 純白の文字盤とダイヤカットを施したインデックスが高い視認性を生み、黒いジルコニアセラミックベゼルとのコントラストが洗練された印象を演出。

 風防にはサファイアガラス、バンドには耐久性と深みある艶を備えた姫路黒桟革を採用するなど、素材選定にも余念がない。

 このモデルは日常からフォーマルまでシームレスに対応し、所有者がどんなシーンでも自信を持てるパートナーとなる。高精度と審美性を融合したNC0207-07Aは、ザ・シチズンブランドの真髄を体現している。

「シチズン」ブランド時計100周年を記念した「NC0210-11A」

NC0210-11A

ザ・シチズン「NC0210-11A」
自動巻き(Cal.0200)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径40mm、厚さ10.9mm)。5気圧防水。世界限定160本。154万円(税込み)。

「NC0210-11」は、シチズン100周年を記念した限定モデルで、世界160本の限定モデルだ。搭載するCal.0200によって高精度を実現し、シースルーバックからはK22製回転錘を配した精巧なメカニズムを覗けるようになっている。

 文字盤は氷山をモチーフにしたシルバーカラーで時の不変性を表現し、K18ホワイトゴールド製ベゼルが上品な輝きを放つ。

 バンドには日本の伝統技術が生かされた姫路黒桟革が使用され、素材選びから仕上げまで、シチズンの時計づくりに対する徹底した信念がうかがえる。この記念モデルは、歴史的意義と技術力が融合した1本であり、時を超えて輝く価値を所有者にもたらす。

Cal.0210搭載の「NC1000-51E」

NC1000-51E

ザ・シチズン「NC1000-51E」
自動巻き(Cal.0210)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径40mm、厚さ11.2mm)。10気圧防水。88万円(税込み)。

「NC1000-51E」は、Cal.0210を搭載した高精度かつ使い勝手の良いモデルで、ブラックダイヤルとステンレススチール製のケースとブレスレットがスポーティーな印象を与える。

 視認性を重視したインデックスやデイト表示が日常での実用性を高め、シースルーバックからムーブメントを鑑賞できる楽しみもある。

 平均日差-3〜+ 5秒の精度は長期的な安定性を保証し、10気圧防水や耐傷性に優れた仕上げにより、幅広いシーンでの着用を可能にする。機能、精度、デザインが三位一体となった、真に頼れるパートナーだ。


国産機械式時計に「ザ・シチズン」という選択を

 ザ・シチズンは、世界市場でスイスブランドと堂々渡り合える日本製高級時計の象徴である。

 高精度ムーブメントや洗練されたデザイン、職人技が息づく製造体制は、所有者に満足感と誇りを与え、長く愛用できる1本を求める人々に最適な選択肢となる。

 その魅力は国内外で認められ、今後さらなる注目を浴びるだろう。もし、自分の価値観やライフスタイルに合う時計を探しているなら、ザ・シチズンを視野に入れてみてほしい。

 その技術力と思想は、時を刻むパートナーとして人生を豊かに彩ってくれるはずだ。



Contact info:シチズンお客様時計相談室 Tel.0120-78-4807


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