人生を80年とすると、折り返し地点を過ぎたことになる40代。さらなる成熟を目指すこの年代にお勧めしたいのが、スイスの名門ブランドであるショパールだ。ジュエラーと腕時計ブランドの両方の側面を持つショパールは、個性とステータス性の両方を表現するうえで、魅力的な選択肢となり得るはず。今回、そんなショパールの現行ラインナップから、オススメの腕時計を5本ピックアップして紹介する。
Text by Kento Nii
[2024年12月28日公開記事]
40代におすすめしたいショパール5選
ショパールは、1860年にルイ-ユリス・ショパールによって創業されたブランドだ。創業当初より、懐中時計やクロノメーターの基準を満たす高精度時計を中心に手がけ、ロシア皇室を顧客に抱えるまでに成長を果たす。そして、1963年にドイツの宝飾商カール・ショイフレが事業を引き継いで以降は、ウォッチメーカーとジュエラーの融合という新たな方向性を確立。1976年になると、2枚のサファイアクリスタルの間でダイヤモンドが動く腕時計「ハッピーダイヤモンド」を発表するなど、その独創性豊かなウォッチメイキングを世界中に知らしめた。
こういった歴史を経て、ジュエリー市場でも存在感を強めてきたショパールだが、1996年にスイス・フルリエに自社製品の製造拠点を設立してからは、マニュファクチュールムーブメントの製造にも注力するようになる。そして、同社を代表するムーブメントの初号機にあたる「Cal.96.01-L」を発表、これを搭載した「L.U.C 1860」をリリースし、現在に至るまで、マニファクチュールとしての時計製造技術に磨きをかけてきた。
そんなショパールの現行ラインナップから40代の男性におすすめするなら、同社の腕時計製造の伝統を体現した「L.U.C」や、ラグジュアリースポーツウォッチの「アルパイン イーグル」、同名のレースをデザインの着想源とした「ミッレミリア」などが挙げられる。
いずれのコレクションにも、伝統を守りながらも革新を続けるブランドのウォッチメイキングの姿勢が表れているだけでなく、ジュエラーとして培われてきた、繊細な美意識が反映されている。それらのタイムレスかつラグジュアリーなデザイン性は、40代の幅広いライフスタイルや価値観に応じてくれるはずだ。また、COSCのクロノメーター認定を受けたムーブメントをはじめ、腕時計の実用性を重んじるビジネスパーソンにもマッチする性能を備えている。次なる40年を迎える男性の手元を飾るに、ふさわしい存在と言えるだろう。
ちなみに、ショパールは現在「サステナブル・ラグジュアリーへの旅」を標榜しており、腕時計およびジュエリー製造において、サスティナビリティの追求を続けている。素材の透明性を可能な限り高めた、責任を持った調達を重んじるだけでなく、再生素材を活用するなどして、自社のクリエイティブによる環境への影響を、最小限に抑えているのである。
以下に、40代にオススメしたいショパールの腕時計を、5本ピックアップして紹介する。
「L.U.C 1860」Ref.168860-3003
「L.U.C」はショパールのラインナップの中でも、とりわけ重要な立ち位置にあるコレクションだ。ラグジュアリーかつタイムレスなその顔ぶれには、優れた精度と卓越した仕上げを持つ自社製ムーブメントが一貫して搭載されており、創業者の名をもじったそのコレクション名に恥じない、同社のオート・オルロジュリーを体現する存在となっている。
自動巻き(Cal.L.U.C 96.40-L)。29石。パワーリザーブ約65時間。2万8800振動/時。ルーセントスティール™ケース(直径36.5mm、厚さ8.2mm)。30m防水。371万8000円(税込み)。
L.U.C.からは、「L.U.C 1860」をピックアップした。1997年に登場した同名モデルの復刻版にあたり、そのアイコニックな造形が、現代の技術と素材で再編された1本だ。
ダイアルはサーモンカラーで彩られており、12時位置の「Chopard」ロゴを中心に広がるギヨシェ彫りが、職人の手によって施されている。また、オリジナルモデルとは異なるノンデイト仕様が採られており、くさび形のインデックスやスモールセコンドが配置されたその表情と相まって、至ってクラシカルな印象だ。
ケースには、リサイクル素材を80%含有するスティール素材「ルーセントスティール™」が使用されている。ゴールドさながらの光沢に加え、一般的なスティール素材の約1.5倍の硬度や、抗アレルギー性を有する、優れた材料特性を持つ素材である。
ムーブメントは、ブランド初の自社製ムーブメントの系譜である、Cal.L.U.C 96.40-Lを搭載する。ゴールド製の双方向マイクロローターとツインバレルを備えたことで、約65時間のパワーリザーブと、わずか3.3mmという薄さを実現した、腕時計のスリム化にも寄与するムーブメントだ。トランスパレントバックからは、ジュネーブ・シールが与えられた、その類まれな仕上げを鑑賞することができる。
「アルパイン イーグル ラージ」Ref.298600-3001
ショパールを代表するラグジュアリースポーツウォッチが、「アルパイン イーグル」だ。2019年に発表された本コレクションは、同社初のスポーツウォッチ、そしてステンレススティール製ウォッチであった「サンモリッツ」をデザインの着想源としている。
自動巻き(Cal.Chopard 01.01-C)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。ルーセントスティール™ケース(直径41mm、厚さ9.7mm)。100m防水。217万8000円(税込み)。
Ref.298600-3001は、直径41mmのケースに鮮やかなアレッチブルーのダイアルが合わせられた定番モデルだ。シームレスにつながるブレスレットとケースにはルーセントスティール™が使用されており、ポリッシュとヘアライン仕上げでメリハリが付けられている。丸みを帯びた八角形のベゼルや、そこに打たれた8本のビスは、オリジナルの意匠を尊重したものだ。その再構築された“ラグスポ”デザインは、オトナの男性のコーディネートにもなじませやすいだろう。
ダイアルは、中央から螺旋を描きながら広がるパターンを施すことで、ワシの瞳の虹彩、“イーグルアイ”をイメージしている。ダイナミックな凹凸と、電気メッキ処理による色彩が、豊かな表情を演出しており、ひと目でアルパイン イーグルと認識できる意匠と言える。また、載せられた針、インデックスはシンプルな造形ながらダイアルの中で際立つ存在であり、スーパールミノバによって暗所での視認性にも優れている。
ムーブメントは、自社製のCal.Chopard 01.01-Cが搭載されている。優れた精度に加えて約60時間のパワーリザーブを備えており、さらにその薄型設計は、本作の1cmに満たないケース厚にも寄与している。また、トランスパレントバックからは、肉抜きされたそのローターや装飾を見ることができる。
「アルパイン イーグル 41」Ref.298600-6001
自動巻き(Cal.Chopard 01.01-C)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。18Kエシカルローズゴールド×ルーセントスティール™ケース(直径41mm、厚さ9.7mm)。100m防水。342万1000円(税込み)。
同じくアルパイン イーグルから、ルーセントスティール™と18Kローズゴールドのコンビネーションモデルをピックアップした。ベゼル、リュウズに加え、ブレスレットのポリッシュ部にゴールドが使用された、ワンランク上のラグジュアリーテイストを見せるモデルだ。18Kローズゴールドだけでなく、ルーセントスティール™にも高い光沢性が備わっているため、異素材同士の輝きが生み出す、上質なコントラストこそが最大の魅力となるだろう。
“イーグルアイ”が施されたダイアルは、電気メッキ処理によってグレーカラーで彩られており、ゴールドの針とインデックスによって、高い視認性が確保されている。デザイン面においても、腕時計全体に統一感を感じられる仕上がりだ。また、ムーブメントは、前述のアルパイン イーグル ラージと同様に、Cal.Chopard 01.01-Cを内蔵している。
ちなみに、本作に使用されている18Kローズゴールドは、サスティナビリティへの配慮が見られるエシカルなゴールド素材である。
ショパールは、責任ある宝飾品業のための協議会であるRJCより認証を受けたゴールド、もしくは、フェアマインドやフェアトレードといった認証制度に参加している採掘者から供給されたゴールドのみを調達している。そのためジュエリー、ウォッチメイキングに採用されているゴールドは、人権と環境に配慮した現場で発掘された、供給元に透明性のある素材なのだ。
「ミッレ ミリア クラシック クロノグラフ」Ref.168619-3005
「ミッレミリア」は、同名のクラシックカーレースへオマージュを捧げるスポーツウォッチコレクションだ。このレースは、“世界で最も美しいカーレース”として知られており、その美学を体現した本コレクションにも、往年のレーシングカーをほうふつとさせる造形や、クラシカルな意匠がふんだんに盛り込まれている。
自動巻き。37石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約54時間。ルーセントスティール™ケース(直径40.5mm、厚さ12.88mm)。50m防水。138万6000円(税込み)。
そんなミッレミリアからは、2024年登場のRef.168619-3005をピックアップした。ダイアルデザインをモノクロカラーで統一することで、カーレースに欠かせないチェッカーフラッグをイメージしたモデルだ。「ラ・ガラ」とも呼ばれるこのダイアルは、クロノグラフにおける“パンダ”デザインに近く、王道的な魅力も感じやすいだろう。
ミッレミリアに共通する、クラシカルなディテールの数々にも注目したい。操作性の高い大ぶりなリュウズや、ピストンを思わせるポンプ型のプッシャー、クラシックな意匠とダイアルの視認性を両立させるグラスボックスタイプの風防が採用されたことで、個性と機能性、ともに妥協されていないのである。40代の手元にもなじみやすい、クラシカルな美観と機能美を合わせ持つ1本と言える。
ケースはルーセントスティール™製で、丸みのある造形に輝きと堅牢性がもたらされており、優美な高級感が生まれている。またケースには、パンチング加工が施されたブラックのレザーストラップが取り付けられており、カーレースをモチーフとしたデザイン性がより強調されている。
「アルパイン イーグル XL クロノ」Ref.298609-3001
自動巻き(Cal.CHOPARD 03.05-C)。45石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。ルーセントスティール™ケース(直径44mm、厚さ13.15mm)。100m防水。319万円(税込み)。
Ref.298609-3001は、3針モデルに比べて一回り大きいルーセントスティール™ケースを採用し、フライバッククロノグラフを搭載したアルパイン イーグルだ。そのサイズは直径44mm、厚さ13.15mmであり、強い存在感を魅力としている。40代男性のカジュアルな手元の演出に好適な1本だ。
本作では、表情豊かなアレッチブルーのダイアルに、タキメーターや各種サブダイアルといった、クロノグラフウォッチの要素が凝縮されている。3時位置は30分積算計、6時位置にはスモールセコンド、9時位置には12時間積算計が配置されており、いかにもツールウォッチらしい情報量の多さが特徴だ。
一方で、各クロノグラフ針にはレッドのアクセントが差し込まれており、3つのサブダイアルもそれぞれデザインが変えられるなど、視認性、判読性への配慮も見られる。計測機器としての完成度も高められたモデルと言えるだろう。
ムーブメントは、Cal.CHOPARD 03.05-Cを搭載する。コラムホイール式のクロノグラフ機能を搭載しており、3つのピボットハンマーによる、連続したフライバック機構の操作を可能としている。また、約60時間のパワーリザーブを備えており、トランスパレントバックからは、その駆動や、スネイル仕上げの受け、サーキュラーグレイン装飾の地板を見ることができる。