ケースだけではなくブレスレットにまでゴールド素材を用いた、フルゴールドウォッチを5本紹介。富や権力の象徴として人々を魅了してきたゴールドを惜しみなく使った、ゴールドウォッチの世界をのぞき見てみよう。
Text and Photographs by Tsubasa Nojima
2024年12月30日掲載記事
フルゴールドウォッチの名作を紹介
いつの世も人々を魅了してきたゴールド。ゴールドは富や権力の象徴として装飾品に用いられ、耐食性や熱と電気の伝導性の高さから産業用途としても重宝されている。今でこそ時計の外装にはステンレススティールが用いられることが多いが、その歴史はおおよそ100年程度である。古くから外装に使用されていたのは、ゴールドやシルバーなどであり、それらは時計にとってなじみ深い素材なのだ。
なじみ深いとはいえ、簡単に手に入るものではない。素材の希少性からそもそもの数が少ないうえ、高価となる。ゆえにゴールドウォッチには、各社のデザイン性や技術力が惜しみなく注ぎ込まれることが多く、そのことがゴールドウォッチをより魅力的に見せている。
そんなラグジュアリーを体現するゴールドウォッチから、今回はブレスレットまでフルゴールドとしたモデルを紹介する。
ブルガリ「オクト フィニッシモ トゥールビヨン スケルトン クロノグラフ」Ref.103796
薄型時計として数々のレコードを打ち立ててきた「オクト フィニッシモ」。そのような技術的な魅力をも備えたフルゴールドウォッチが、「オクト フィニッシモ トゥールビヨン スケルトン クロノグラフ」だ。本作は、6時位置にトゥールビヨンを配した自動巻きクロノグラフウォッチでありながら、厚さ3.5mmという超薄型のケースを実現している。
ダイアルはスケルトン仕様となっており、内部の構造が詳らかになっている。3時位置の30分積算計、9時位置のスモールセコンドのインダイアルは、どちらも18Kイエローゴールド製だ。針の色をブラックとすることで視認性を確保している。
ケースは、オクト フィニッシモならではファセットカットが際立つデザイン。薄型ケースでありながらも不思議と立体感を味わえる造形だ。ケースバックはシースルーとなっており、ムーブメントを鑑賞することが可能。Cal.BVL388は自動巻きムーブメントであるが、ペリフェラルローターを採用しているため、ムーブメントの鑑賞をローターに邪魔されることがない。
厚さわずか3.5mmのケースに、複数の複雑機構を収めた驚異の極薄ウォッチ。18Kイエローゴールド製のケースは、サテン仕上げを基調とすることで過度な派手さを削いでいる。自動巻き(Cal.BVL388)。52石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約52時間。18KYGケース(直径38.4mm、厚さ3.5mm)。30m防水。要価格問い合わせ。(問)ブルガリ ジャパン Tel.03-6362-0100
ヴァシュロン・コンスタンタン「ヒストリーク・222」Ref.4200H/222J-B935
1977年に発売されたヴァシュロン・コンスタンタンの「222」の復刻モデルとして誕生したのが、「ヒストリーク・222」である。ブレスレットが一体化したスポーティーなデザインのケースに18Kイエローゴールドを採用することで、ラグジュアリーなテイストを強調している。
ゴールドトーンのダイアルには、蓄光塗料を塗布したバーインデックスとバトン型の時分針が配され、視認性を確保しつつ虚飾のないデザインに仕上げられている。3時位置には日付表示が配され、実用性も十分だ。
ベゼルは、オリジナルの特徴である切れ込みが入ったデザイン。サテン仕上げが施されシャープに仕上がっている。ミドルケースもサテン仕上げを基調としているが、面取りを加えることで、薄型のケースに立体感を与えている。ケースの5時位置に輝いているのは、ブランドを象徴するマルタ十字。
本作が搭載しているのは、ジュネーブ・シールを取得した機械式自動巻きのCal.2455/2だ。職人による手仕上げをシースルーバックから堪能することができる。
ヴァシュロン・コンスタンタンのアイコニックピース、「222」を復刻したモデル。控えめなサイズ感ながら、ケースからブレスレットまでフルゴールドとすることで確かな存在感を放つ。自動巻き(Cal.2455/2)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。18KYG(直径37mm、厚さ7.95mm)。5気圧防水。1100万円(税込み)。(問)ヴァシュロン・コンスタンタン Tel.0120-63-1755
ロレックス「オイスター パーペチュアル ディープシー」Ref.136668LB
オイスターケースによって防水性能を追求してきたロレックス。そんな同社が展開するダイバーズウォッチの中でもトップレベルの防水性を誇るのが、「オイスター パーペチュアル ディープシー」だ。そのオイスター パーペチュアル ディープシーに2024年、なんと18Kイエローゴールドケースを採用したモデルが追加された。
ダイアルは、今までの同コレクションのラインナップにはなかった鮮やかなブルーラッカー仕上げ。ベゼルインサートには、同じ色調のセラクロムが用いられている。厚さ17.7mmの大迫力なケースには、RLXチタン製のケースバックとヘリウムエスケープバルブが組み合わされている。
ブレスレットは、ケースと同じ18Kイエローゴールド製だ。ステンレススティールモデルではすべてのコマがヘアライン仕上げだったが、本作ではブレスレットの中央のコマをポリッシュとすることで、よりラグジュアリーに仕上げている。
2022年には1万1000mもの防水性を達成した「オイスター パーペチュアル ディープシー チャレンジ」を発表するなど、愚直に防水性を向上させてきたディープシー。本作はその個性をより多様化した1本である。
プロフェッショナル向けの本格ダイバーズウォッチに、フルゴールドモデルが登場。ブルーのダイアルとベゼルによって、印象を一新している。自動巻き(Cal.3235)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。18KYGケース(直径44mm、厚さ17.7mm)。3900m防水。
オメガ「コンステレーション メテオライト」Ref.131.50.41.21.99.001
オメガの中でもドレッシーな「コンステレーション」コレクションに、2024年に加わったフルゴールドモデル。ケースには、2019年にオメガが発表した独自の18Kゴールド合金であるムーンシャイン™ ゴールドを採用。ムーンシャイン™ ゴールドは、ダークブルーの空に輝く月の光からインスピレーションを得た、淡い色合いが特徴だ。さらに、シルバーや銅、パラジウムを配合することにより、色や輝きの経年変化に強いという特徴を持ち合わせている。
ダイアルの素材は、モデル名が示す通りメテオライト製。インデックスや針、ブランドロゴ、カレンダーディスクに至るまでケースと同じ色味にそろえられ、一体感を高めている。メテオライトは天然素材のため、同じ模様がひとつとして存在しないということも魅力である。
搭載しているムーブメントは、Cal.8901。コーアクシャル脱進機やシリコン製ヒゲゼンマイを搭載し、優れたスペックを誇るだけではなく、ローターとテンプ受けの素材には18Kセドナ™ ゴールドが採用されている。
オメガ独自の合金であるムーンシャイン™ ゴールド製のケースとブレスレットを採用したラグジュアリーなモデル。ダイアルにはメテオライトを用いている。自動巻き(Cal.8901)。30石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約50時間。18Kムーンシャイン™ ゴールドケース(直径41mm、厚さ13.5mm)。5気圧防水。654万5000円(税込み)。(問)オメガ Tel.0570-000087
パテック フィリップ「ゴールデン・エリプス」Ref.5738/1
「ゴールデン・エリプス」の中でも大ぶりなRef.5738に金属製ブレスレットを組み合わせた初のモデル。特筆すべきはその18Kローズゴールド製ブレスレットの造形だ。細かなチェーン状のリンクで構成され、上品さとしなやかさをかなえてくれる。さらにクラスプには微調整機構も搭載され、使い勝手への配慮も忘れられていない。なお、このブレスレットの開発には約15年もの歳月が費やされ、組み立てにあたっては、300個の以上のリンクが職人の手作業によってひとつずつ組み上げられているという。
ダイアルは、ソレイユ仕上げを施したエボニーブラックカラー。バーインデックスとシュヴー型の時分針を組み合わせたシンプルなデザインながら、まさに黄金比というべき整然とした造形美が感じられる。18Kローズゴールド製のケースは3気圧防水を備え、オニキスをあしらったリュウズが取り付けられている。
ソリッドバック仕様のため、実際に目にすることは難しいが、本作には薄型自動巻きムーブメントであるCal.240が搭載されている。
装着感と上品さを両立させる新開発のブレスレットを採用したモデル。ブレスレットを構成するパーツのうち、300個以上を職人の手作業によって組み上げている。自動巻き(Cal.240)。27石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。18KRGケース(縦39.5×横34.5mm、厚さ5.9mm)。3気圧防水。951万円(税込み)。(問)パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター Tel.03-3255-8109