「スリー・ブリッジ」コレクションから、サファイアクリスタル製ブリッジとケース、ムーブメントのスケルトナイズにより、宙に浮くようにトゥールビヨンを際立たせる新作が登場した。
細田雄人(本誌):編集 Edited by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2024年7月号掲載記事]
トゥールビヨンを際立たせる 徹底したスケルトナイズ
アイコンであるブリッジとケースをサファイアクリスタル製とし、トゥールビヨンを搭載する新作。マイクロローター自動巻きによりムーブメントを隠さず、両面から造形を楽しむことができる。自動巻き(Cal.GP09400-2354)。27石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約60時間。サファイアクリスタルケース(直径46mm、厚さ15.25mm)。30m防水。4945万6000円(税込み)。
1867年、ジラール・ペルゴの創業者コンスタン・ジラールは、懐中時計をヌーシャテル天文台コンクールに出品し、その後17年間破られなかった記録とともに1位を獲得した。この時、ブリッジをムーブメント上で3つ平行に並べることで、従来は構造部品に過ぎなかったこのパーツを意匠として取り入れている。これがブリッジにデザイン性を見いだした先駆けとなり、現代の時計に大きな影響を与えた。
そんなブランドのアイコンたるスリー・ブリッジの最新作が、ケースをサファイアクリスタルで製作したトゥールビヨンウォッチ、「クエーサー ライト トゥールビヨン スリー・ブリッジ」だ。ブリッジは「ネオ」と名付けられたもので、スリー・ブリッジの中でも立体的で建造物を思わせるデザインを採用する。極めて明るい天体を意味する「クエーサー」の名の通り、サファイアクリスタルケースとムーブメントのスケルトナイズによって光が透過して真っ白に発光しているかのような印象を受ける点が本作の特徴だ。6時方向に大きく空間を設け、透明なブリッジでトゥールビヨンを支持することでキャリッジが宙に浮いたような印象を生み出し、その動きを存分に鑑賞可能としている。今作で取り入れられた新たな意匠として、香箱にも透かし彫りが施されており、全体のデザインと呼応するだけでなく、主ゼンマイが巻き上がっては解放されてゆく様子を楽しむことができるようになった。
光を透過するケースとムーブメントのスケルトナイズによって、その機構を存分に楽しむことのできるクエーサー ライト トゥールビヨン スリー・ブリッジ。ブリッジにデザイン性を見いだしたジラール・ペルゴらしいモデルと言えよう。