ブランド史上、最もサステナブルな挑戦。ユリス・ナルダン「ダイバー ネット ヴァンデ・グローブ」

2025.01.03

過酷なヨットレースに挑むチャレンジ精神に呼応し、ブランド史上最もサステナブルなモデルが誕生した。ケースやストラップに加え、脱進機にまでリサイクルあるいはサステナブルな素材が用いられる。

ユリス・ナルダン「ダイバー ネット ヴァンデ・グローブ」
過酷なヨットレースに挑むチャレンジ精神に呼応したモデル。ユリス・ナルダンは前回大会に続き、今回もオフィシャルパートナーおよびタイムキーパーを務める。自動巻き(Cal.UN-118)。50石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。ナイロフォイル×カーボンフォイルケース(直径44mm、厚さ14.81mm)。300m防水。世界限定300本。225万5000円(税込み)。
佐藤しんいち:文 Text by Shin-ichi Sato
細田雄人(本誌):編集 Edited by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2025年1月号掲載記事]


ユリス・ナルダン「ダイバー ネット ヴァンデ・グローブ」を深掘り

 ユリス・ナルダンがこれまでに生み出したモデルの中で、最もサステナブルなモデル「ダイバー ネット ヴァンデ・グローブ」が発表された。本作は最も過酷なヨットレースのひとつとされるヴァンデ・グローブの開催に合わせて企画されたモデルだ。このヨットレースは、最低でも70日以上陸に上がらず、単独・無寄港・無支援で世界1周を行うルールで、操船技術だけでなく、天候や大波、疲労や孤独、ボートの損傷といった困難を克服しなければゴールできない。過去9回の開催で挑戦者はたった200名、完走者はわずかに114名というから、その過酷さが伝わってこよう。

 ダイバー ネット ヴァンデ・グローブは、この不可能とも思える挑戦に挑む姿勢に呼応し、誕生した。また、サステナブルなテーマを掲げてケースサイドやラグ、ケースバックには、レースのスタート地点であるレ・サーブル・ドロンヌで集められた漁網と、アップサイクル・カーボンファイバーを組み合わせたナイロフォイルを用いる。さらにベゼルにはレース用ヨット製造時の余剰カーボンファイバーからのアップサイクル素材であるカーボンフォイル、ムーブメントを支えるコンテナはオーストリアの鋳造所で生じる廃棄物をリサイクルした鉄素材、ストラップは漁網をリサイクルしたファブリック。そして搭載されるCal.UN-118のダイヤモンシル脱進機も、生産時の廃棄物からのアップサイクル・シリコンウェハーを用いる徹底ぶりである。

ダイアルはサンドブラスト仕上げを施したグレー。そこにヴァンデ・グローブのオフィシャルカラーであるレッドとブルーの“X”の文字があしらわれる。6時位置の日付表示は、第10回大会およびそのレースの出発日である11月10日にちなみ“10” のみレッド、それ以外はブルーで描かれている

 このように、時計の主要部品のほとんどにサステナブルな素材を用いるというチャレンジングなモデルながら、過酷な環境に対応する300m防水や約60時間のパワーリザーブを実現し、性能面でも妥協のない仕上がりとなっている。



Contact info: ユリス・ナルダン/ソーウインド ジャパン Tel.03-5211-1791


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