ブラックエナメル文字盤をまとったショパール「L.U.C クアトロスピリット 25」

2025.01.04

ブランド初のジャンピングアワーモデルとして、2021年に限定で販売された「L.U.C クアトロスピリット 25」。同作が、ブラックエナメル文字盤をまとって復活を遂げた。

吉江正倫:写真 Photographs by Masanori Yoshie
細田雄人(本誌):Edited & Text by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2024年9月号掲載記事]


ブラックエナメルで復活した 傑作ジャンピングアワー

ショパール L.U.C クアトロ 25

ショパール「L.U.C クアトロスピリット 25」Ref.161977-1001
マニュファクチュール25周年を記念した限定モデルが、ブラックエナメル文字盤で復活。二重香箱をふたつ並べたCal.L.U.C 98.06-Lは、約8日間というロングパワーリザーブながら、厚さ4.85mmを実現する。手巻き。42石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約192時間。18KエシカルWGケース(直径40.00mm、厚さ10.30mm)。50m防水。世界限定100本。742万5000円(税込み)。

 ショパールマニュファクチュールの開設25周年を記念して2021年に発表された「L.U.C クアトロスピリット 25」は、ブランドとして初のジャンピングアワー搭載モデルだった。ジャンピングアワーは大型のアワーディスクを1時間に1回動かすため、トルク変動が大きくなりがちだ。つまり、精度の安定化やロングパワーリザーブ化が難しい機構と言われている。しかし、ショパールはそんな初のジャンピングアワーに伝家の宝刀、ショパール クアトロ テクノロジーを用いることで約192時間ものロングパワーリザーブを実現。高い等時性も持ち合わせた、完成度の高いジャンピングアワーの登場は、さすがアニバーサリーモデルだと感心したことを覚えている。しかし、同作で最も心引かれたのは、ムーブメント以上に柔らかい表情を持つグランフー・エナメル文字盤だった。

ショパール L.U.C クアトロ 25

時刻は分針+ディスク式のジャンピングアワーによって示される。ホワイトエナメルで焼き付けられたミニッツスケールと、立体的かつ長い分針、時間用の大ぶりなディスクのコンビネーションによって、視認性は高い。

 自社工房で焼かれるショパールのグランフー・エナメル最大の特徴は、焼成後の研ぎを最小限に留めているところにある。多くのエナメル文字盤がそのガラス質を強調するかのように鏡面磨きに力を入れる中で、ショパールはあえて柚子肌とも取れるようなニュアンスを残しているのだ。その方針は2024年の新作として加わったブラックエナメル文字盤でも健在で、一見、艶が際立つ漆黒のようでありながら、その実、強い光を受けると一気に柔和な表情をのぞかせる。写真や遠目に見た時の印象と、実際に手に取り、注視した時とでここまでギャップがあるのならば、 所有者はその二面性のおかげで、いつまでも飽きることなくL.U.C クアトロスピリット 25を着用できるだろう。

 “アルチザン” をブランディングの軸に据えるショパールらしい傑作だ。前作同様、1000本限定なのが悔やまれる。


Contact info:ショパール ジャパン プレス Tel.03-5524-8922


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