年末年始のテレビ番組などで、往年の演歌歌手の映像を見て懐かしく感じた人も多いのではないだろうか? なかでも日本を代表する演歌歌手といえば、北島三郎。2024年に北島三兄弟らによるリスペクトコンサートが開催されるなど、今なお唯一無二のオーラを放ち続ける“サブちゃん”こと北島三郎の愛用する時計に着目した。
Text by Yukaco Numamoto
土田貴史:編集
Edited by Takashi Tsuchida
[2025年1月12日掲載記事]
多くの門下生に慕われ続ける北島三郎
自身の芸名「三郎」にちなみ、36室あるとされる東京都八王子市の自宅で、家族や内弟子らと共に暮らす北島三郎。2025年1月時点で88歳になる北島三郎のキャリアがスタートしたのは「NHKのど自慢」だ。当時高校生で、鐘の数はふたつだったが、司会を務めた宮田輝から「良い声だ」と声をかけられたことをきっかけに、歌手の道を志したという。
当初は歌謡曲志向だった。渋谷エリアを中心に流しの仕事をしながら生計を立てていたそうだ。口コミで北島三郎の評判を聞きつけた日本コロムビアの芸能部長が声をかけたことで、本格的な芸能キャリアがスタート。「こういうちょっとした出会いなんだけど、僅かな出会いが人生でものすごい出会いになっていく」と後に語る北島三郎は、人との繋がりを大切にする。演歌の振興や後進の育成にも貢献しており、山本譲二や小金沢昇司など北島ファミリーからは「親父」「先生」と呼ばれ、慕われている。
見るものを圧倒する「ド派手」な演出。その突き抜け方が気持ちいい
2013年に開催された第64回紅白歌合戦で自身50回目の出場を達成。この回限りでの勇退を宣言し、史上初めて紅白両軍のトリの後にスペシャルステージが設けられ、「まつり」を披露した。その勇姿を今なお覚えている方も多いのではないだろうか? 紅白は引退したが、2024年も北島三兄弟らによるリスペクトコンサートが開催されるなど、今なお、世間を盛り上げる存在である。
北島三郎のステージには派手な演出が施され、その華やかな姿は紅白歌合戦を通じて世界中に届けられた。演歌という保守層にとらわれることなく、ファッションにおいても自由に派手さを楽しむ姿勢は、若い世代からも支持を集めている。
有馬記念の大勝負の日に、センチュリーの「ドラゴンストーン」を着用
1966年にハンス・ウルリッヒ・クリンゲンベルグにより創業したセンチュリーの代表作である「ドラゴンストーン」は、神秘的なテクスチャーを持つ独自の12角形のサファイアケースに収められた、その名の通り天空を自由に舞うドラゴンをイメージしたモデルだ。センチュリーは特にサファイアのカッティング技術を得意としており、本作にも36面のハンドカッティングが施され、角度によって異なる表情を楽しむことができる。
北島三郎が着用しているのは直径38.5mmのラージサイズで、ダイナミックなメンズジュエリーウォッチの存在感を放つ。596個のダイヤモンド(総カラット数11.03ct)と、ホワイトゴールド製のケース、ブレスレットと相まって、さらなる輝きを放っている。現在の販売価格は約1800万円と、大御所の腕に相応しい華やかさだ。
上記の写真は自身が所有する競走馬「キタサンブラック」が2017年に有馬記念に出走し、勝利を収めた際に撮影されたものである。馬主にとっての有馬記念は、歌手にとっての紅白歌合戦に相当する大きな存在だ。大勝負の日にこの時計を着用したのは、北島三郎にとってもスペシャルな1本であるということが想像できる。ちなみに、この勝利の後に愛馬をたたえる新曲「ありがとう キタサンブラック」が北島本人の歌唱にて初披露された。
現在、88歳となった北島三郎。彼の長いキャリアと影響力、魂が込められた歌唱が、多くの日本人の心に刻まれている。ジャンルを超えてさまざまな人物に影響を与えた、昭和を代表する北島三郎の仕事を、私たちはいつまでも記憶に留めていきたい。
文字盤およびブレスレットは18Kホワイトゴールド製。ダイヤモンドが596個(11.03ct)もこの時計には使用されている。クォーツ。18KWGケース(直径38.5mm)。10気圧防水。約1800万円(税込み)※現在在庫なし。