オメガ「シーマスター プラネットオーシャン 600M」に加わった新色モデルは、ハイスペックなのにオシャレすぎ!

2025.01.10

2024年、ひっそりと「シーマスター プラネットオーシャン 600M」のラインナップに加わった、3種の新作モデル。今回、このうちのベージュ文字盤を備えた1本を深掘りする。600mという防水性を持つハイスペックダイバーズウォッチでありながら、オシャレにまとめあげられた本作は、“陸ダイバー”に新しい価値を提案する。

村山千太:写真 Photographs by Senta Murayama
鶴岡智恵子(本誌):文 Text by Chieko Tsuruoka (Chronos-Japan)
[2025年1月10日公開記事]


オメガ「シーマスター プラネットオーシャン 600M」の新色モデルを深掘り

オメガ シーマスター プラネットオーシャン 600M 2024年新作

オメガ「シーマスター プラネットオーシャン 600M」Ref. 215.32.44.21.09.001(左)/Ref. 215.32.44.21.01.002(右)
2024年に追加された新作「シーマスター プラネットオーシャン 600M」のうち、ベージュ文字盤のモデルと“ガンメタル”グレー文字盤のモデル。このふたつのほかに、グリーンベゼルとステンレススティール製文字盤を組み合わせたモデルや、同色のクロノグラフモデルがラインナップされている。ちなみに今回のこのイメージ写真は、フォトグラファーの村山千太氏からの「可愛さを前面に押し出して撮影しよう」という提案のもと、実現した。本文でも記しているが、600m防水を実現する直径43.5mm、厚さ16.2mmというダイナミックなボディを有しつつも、オシャレ、ともすれば「可愛い」スタイルをまとったこのモデルの美点を楽しめる写真だと思う。自動巻き(Cal.8900)。39石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径43.5mm、厚さ16.2mm)。600m防水。(左から)116万6000円、108万9000円(いずれも税込み)。

 ひとつのコレクションの中で、多彩なバリエーションを展開するオメガ。近年ではひっそりとこのバリエーションを追加することも多く、今回取り上げるベージュ文字盤の「シーマスター プラネットオーシャン 600M」も、そんな「ひっそり」ラインナップされたモデルのひとつだ。

 シーマスター プラネットオーシャン 600Mについて簡単に説明すると、2005年にリリースされた、オメガのダイバーズウォッチコレクションである。その名の通り600mという高い防水性能に、逆回転防止ベゼルやヘリウムエスケープバルブといった、ダイバーズウォッチとして必要な機能を有している。2016年にはコレクションを刷新し、よりコンパクトなケースに1万5000ガウスという超耐磁性能に代表されるマスター クロノメーター認定の高性能ムーブメントを搭載させたことで、海・陸ともに使えるダイバーズウォッチというポジションを獲得した。

 これまで本コレクションには記念モデルをはじめ、さまざまな色や素材が使われたバリエーションが加わってきたが、2024年にはベージュ文字盤、“ガンメタル”グレー文字盤、そしてステンレススティール製文字盤の3種が3針モデルとクロノグラフモデルそれぞれに用意された。

オメガ シーマスター プラネットオーシャン 215.32.44.21.06.001

オメガ「シーマスター プラネットオーシャン 600M」Ref. 215.32.44.21.06.001
今回は撮り下ろしできなかったが、実機を見て、個人的に一番気になったのがこのステンレススティール製文字盤を有するモデルだ。この文字盤が、2017年に発表された「レイルマスター」をほうふつとさせる。自動巻き(Cal.8900)。39石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径43.5mm、厚さ16.2mm)。600m防水。108万9000円(税込み)。

 本記事では、ベージュ文字盤が特徴的な1本を深掘りしていく。


オメガの技術力が実現した、オシャレすぎるスタイル

オメガ シーマスター プラネットオーシャン 600M 2024年新作

本作で最も特徴的なのが文字盤のベージュカラーだ。ブラウンカラーに彩られた「Seamaster」や防水性を示すロゴ、セラミックス製ベゼル、そしてベージュのラバーストラップと調和して、洗練されたスタイルを獲得している。

 近年、さまざまな時計ブランドが注力していることのひとつに、「文字盤」がある。各社は色、仕上げ、時には素材に工夫を凝らし、独創的で上質な文字盤を備えたモデルを生み出し続けてきた。オメガもまた、そんな「独創性」「上質さ」において、非凡な手腕を見せる時計ブランドである。もっともオメガの文字盤は、色合いにくすみを持たせたり、あるいは仕上げに変化を加えたりと、奇抜というのではなく、上品なスタイルによって独創性をかなえている。本作もそんなオメガの非凡さ、そしてデザインの巧みさが遺憾なく発揮された1本だ。ベージュのニスを塗布したという文字盤はサンドブラスト仕上げが施されており、この仕上げによってよく見ると細かな梨地が控えめにキラキラと輝き、ベージュカラーに華やかさを添えている。

オメガ シーマスター プラネットオーシャン 600M 2024年新作

今回追加された3カラーの中で、唯一ベゼル素材が異なる本作。シリコンニトライド(窒化ケイ素)のセラミックスを採用しているとのことで、耐熱性や耐衝撃性に優れている。

 シリコンニトライド(窒化ケイ素)のセラミックスが素材として使われたベゼルは、ブロンズカラー。シーマスター プラネットオーシャン 600Mのほかのモデルでは多く見られたツヤのある仕上げではなくサテンとなっており、本作の落ち着いた印象に寄与している。ちなみにインデックスや針、ブランドのロゴも、ツヤのないブラッシュ仕上げで、加えてグレーのPVD加工が施されており、その目の細かさや立体感によって、高い判読性を備えることはもちろん、高級機らしい上質さを実現している。文字盤をはじめ、こういった細部の仕事にこそ、オメガの優れた時計製造技術が感じられるのではないだろうか。

オメガ シーマスター プラネットオーシャン 600M 2024年新作

一見するとファブリック超なストラップはラバー製。しなやかだが堅牢さを感じさせるつくりだ。ホワイトのステッチが本作の雰囲気に調和している。

 このように本作は、ベージュカラーをまとった高級感のある意匠によって、ツールウォッチとしての印象が強かったシーマスター プラネットオーシャン 600Mに、洗練されたエレガントなスタイルを添えることとなった。


決して小さくはない。しかしこの着け心地のよさよ!

オメガ シーマスター プラネットオーシャン 600M 2024年新作

ケース厚は16.2mm。ベゼルやサファイアクリスタル製の風防も厚みを持っており、着用するとニットの袖口からでも高い存在感を示していた。ケースは全体的にツヤ消しになっているものの、仕上げ分けされることで立体感を備えており、いかにも高級ダイバーズウォッチといった心遣いを感じさせる。

 今回取り上げるこのモデル、もともとインプレッションして良いと言われていたことから、少しの時間だけだが、着用もした。

 自身の手首幅よりも大きいケースを持った腕時計というのは、着用時に違和感を覚える場合がある。厚く、重さのあるモデルであれば、この違和感はなおのことだ。本作は直径43.5mm、厚さ16.2mmとダイバーズウォッチとしてはスタンダードであるものの、それなりにボリュームはある。しかし本作のみならず、シーマスター プラネットオーシャン 600Mというコレクション全体に言えることとして、ラグが短く設計されているため、女性の筆者の手首幅でも、着用感は良かった。

 また、重量が137gに抑えられている点(メタルブレスレットを備えたSS製ダイバーズウォッチなどだと、200g近い重量になることも)と、ラバーストラップはしなやかでしっかりと手首に装着させることができたため、ケースが手首上で振られたり大きく浮いたりすることがなかった点も、優れた着用感に寄与しているだろう。オシャレな意匠と相まって、男女問わずに使えるハイスペックダイバーズウォッチに仕上がっている。


“萌える”トランスパレントバックにも要注目

オメガ シーマスター プラネットオーシャン 600M 2024年新作

搭載するムーブメントは他のシーマスター プラネットオーシャン 600Mの3針モデルにも搭載されてきたCal.8900。ロジウム加工されたローターには特徴的なアラベスク調のジュネーブウェーブ装飾があしらわれており、観賞して楽しいケースバックとなっている。

 搭載するムーブメントは自動巻きのCal.8900。近年の多くのオメガウォッチと同様にマスター クロノメーター認定機となっており、1万5000ガウスの超耐磁性能を備えた高性能ムーブメントだ。

 このムーブメントはトランスパレントバックから観賞できる仕様となっている。また、本作のユニークさを強調しているのが、サファイアクリスタルガラスにプリントされたシーホースだ。このシーホース、ブラックカラーにプリントされていると思いきやメタリック調となっており、見る角度を変えたり光源が変わったりすると、シルバーカラーへと変化するのだ。なお、オメガの特許取得済みのナイアードロックシステムによって、ケースバックはねじ込み式であるにもかかわらず、すべての個体においてこのシーホースは正位置で楽しむことができる。

「シーマスター」に古くからあしらわれてきたシーホースのロゴと、ムーブメントの観賞を、ともに楽しめる心憎い仕様と言えるだろう。


“陸ダイバー”への、新しい提案

 “陸(おか)ダイバー”という言葉を聞いたことがあるだろうか? 決まった定義はないと思うが、要するにダイバーズウォッチのスタイルを備えているものの、実際のダイビングで使うのではなく、タウンユースで使いたい腕時計のことだ。同時にこの陸ダイバー、往々にして“陸”でしか使えないスペックのダイバーズウォッチにも使われがちなのだが、今回深掘りした「シーマスター プラネットオーシャン 600M」の新色モデルは、600M防水に代表される堅牢なケースや逆回転防止ベゼル、ヘリウムエスケープバルブといった本格的なダイビングを想定したダイバーズウォッチであるにもかかわらず、洗練された意匠と高級感あるディテールを備えることで、「海でも陸でも使いたくなる陸ダイバー」という新しい価値を提案してくれている。

 女性の手首回りでも着用感は悪くないので、男女問わずハイスペックで、でもオシャレな意匠も楽しめるダイバーズウォッチを探しているユーザーは、一度本作を手に取って、手首に載せてみてほしい。



Contact info: オメガ Tel.0570-000087


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