10万円から100万円以上の高級デジタルウォッチ5本選んで紹介する。安価なカジュアルウォッチとしての印象が強いデジタルウォッチだが、現代では優れた機能性に高級感をプラスしたモデルも発売されている。
Text by Tsubasa Nojima
[2025年1月14日公開記事]
大人の男性にこそふさわしい、ハイエンドなデジタルウォッチ
液晶ディスプレイなどを用いることで時刻をはじめとする情報を表示するデジタルウォッチ。極わずか機械式のデジタルウォッチも存在するが、大半は量産に向くクォーツムーブメントを搭載したものであり、腕時計としての価格帯も安価なものが主流であった。しかし昨今、腕時計の趣味性が高まり、持ち主の個性を表現するアイテムとして定着するにつれて、クォーツ式のデジタルウォッチにも高級化のトレンドが訪れている。
液晶ディスプレイを用いたデジタルウォッチには、アナログウォッチにない魅力がある。例えば、針などの物理的な制約が少ないため、アラームやクロノグラフ、ワールドタイマーなど多くの機能を搭載できるということが挙げられるだろう。また、アナログウォッチでは強い衝撃を受けることによって歯車や針が歪み、時計としての機能を停止してしまうこともあるが、デジタルウォッチでは衝撃にも比較的強いという特性がある。
そんな優れた実用性に高い審美性を備えた高級デジタルウォッチは、遊び心を忘れない大人の男性にもふさわしい存在だ。ややニッチであるものの、だからこそ自己表現のツールにもなりえるその世界を覗き見てみよう。
カシオ G-SHOCK「MRG-B5000B-1JR」
「MR-G」らしいハイエンドな仕様を与えられた、初代G-SHOCKのデザインを継承するモデル。ケースを複数のパーツに分割し、その間に緩衝体を組み込むことで、金属製の外装でありながらも優れた耐衝撃性が与えられている。光発電クォーツ。フル充電時約22カ月駆動(パワーセーブ時)。Tiケース(縦49.4×横43.2mm、厚さ12.9mm)。20気圧防水。49万5000円(税込み)。(問)カシオ計算機お客様相談室 Tel.0120-088925
カジュアルウォッチの定番であるカシオのG-SHOCK。その最上級ラインである「MR-G」は、G-SHOCKを象徴する並外れた耐衝撃性能と高級感あふれる外装を両立させた、アクティブなライフスタイルを送る大人の男性にふさわしいシリーズだ。
デザインのベースとなっているのは、G-SHOCKの初代モデルである「DW-5000C」。ケースとバンドにチタンをはじめとする金属素材を多用することによって、シャープなエッジや立体感を作り出している。特にベゼルにはプラチナと同等の輝きを持つとされるコバリオンを採用しており、素材由来の金属感を楽しむことが可能だ。プッシュボタンやケースバックにはゴールドカラーが採用され、華やかさも十分。初代と同じスクリューバック仕様であることにも注目だ。
ワールドタイムやストップウォッチ、フルオートカレンダー、電波受信機能など、機能性に優れていることもG-SHOCKの特徴。さらに本作ではBluetoothを用いてスマートフォンに接続し、専用アプリ上で時刻修正やワールドタイム設定などができるモバイルリンク機能も搭載されている。
オメガ「シーマスターレガッタ」Ref.216.92.46.79.10.001
第37回アメリカズカップを記念して発売された、アナログとデジタルのコンビネーションモデル。過酷なレースにもふさわしいチタン製の屈強な外装を纏っている。クォーツ(Cal.5701)。Tiケース(直径46.75mm、厚さ15.6mm)。50m防水。114万4000円(税込み)。(問)オメガ Tel.0570-000087
国際的なヨットレースであるアメリカズカップ。その第37回を記念して製作されたのが、本作である。デザインのベースとなったのは、1993年の誕生以降ロングセラーとして支持されている「シーマスター ダイバー300M」。本作ではアメリカズカップを象徴するブルーとレッドを取り入れたカラーリングが与えられ、シーマスターらしいスポーティーな印象を一層強めている。ケースバックには第37回アメリカズカップのロゴが立体的なエンボス加工によって施され、特別感を演出する。
ダイアルはアナログとデジタルを組み合わせたコンビネーションタイプ。アナログ表示が直感的な時刻の読み取りを助け、大型の液晶が優れた機能性を発揮する。本作には、ムーンフェイズ表示、クロノグラフ、セーリングのログブック、温度計、加速度計、3つのアラーム、そしてレガッタレース機能が搭載されており、4つのプッシュボタンを用いて操作することが可能だ。
ストラップは、ケースに一体化したデザインのラバー製を採用。クイックチェンジシステムが搭載されており、簡単にケースから脱着することができる。
ブライトリング「エアロスペース B70 オービター」Ref.EB70101A1O1E1
気球による世界初の無着陸世界一周という歴史的な偉業からの25周年を記念して誕生したモデル。ケースバックには、実際に使用された気球の切れ端が収められている。クォーツ(Cal.B70)。6石。Tiケース(直径43mm、厚さ12.95mm)。10気圧防水。64万3500円(税込み)。(問)ブライトリング・ジャパン Tel.0120-105-707
1993年3月21日にベルトラン・ピカールとブライアン・ジョーンズが成し遂げた、気球による世界初の無着陸世界一周から25周年を記念して発売された「エアロスペース B70 オービター」。当時、ブライトリングはこの取り組みを支援しており、使用された気球の名前は「ブライトリング オービター3」であった。ダイアルに用いられたグラデーションオレンジは、気球のカプセルの色をモチーフとしており、ケースバックにはブライトリング オービター3の一部が収められている。歴史的な偉業を腕に身に着けることができる、唯一無二の魅力を備えたモデルだ。
ダイアルはアナログとデジタルのコンビネーション。アラビア数字インデックスが、パイロットウォッチらしい高い視認性を生んでいる。機能面では、1/1000秒計クロノグラフやカウントダウンタイマー、第2時間帯表示、アラーム、パーペチュアルカレンダーを搭載している。100%クロノメーターを掲げるブライトリングの例に漏れず、本作もC.O.S.C.公認クロノメーターを取得した高精度を発揮する。
ハミルトン「PSR」Ref.H52404131
1970年に発表された「ハミルトン パルサー」の復刻モデル。オールブラックの外装にブルーの時刻表示がクールな印象をもたらす。クォーツ。SS+ブラックPVDケース(縦41×横35mm、厚さ13.3mm)。10気圧防水。15万5100円(税込み)。(問)ハミルトン/スウォッチ グループ ジャパン Tel.03-6254-7371
数々の革新的な時計を世に送り出してきたアメリカ発の時計ブランド、ハミルトン。本作は、同社が1970年に発表した世界初のLED式デジタルウォッチ、「ハミルトン パルサー」の復刻モデルである。LEDの代わりに液晶ディスプレイ(LCD)と有機EL(OLED)を備えたハイブリッド式のディスプレイを採用するなど、現代的なアップデートが加えられている。ディスプレイに浮かぶ数字のカラーはブルー。3時位置のプッシュボタンを押下することによって一時的に輝度を高め、暗所での視認性を高めることが可能だ。時刻のみを表示するシンプルなディスプレイは、洗練された大人向けデジタルウォッチの証しである。
ケースとブレスレットは、ステンレスにブラックPVDコーティングを施すことによって、オールブラックに仕上げている。やや丸みを帯びたケースフォルムが、1970年代らしいレトロフューチャーなテイストを醸し出す。ディスプレイを保護するサファイアクリスタルや10気圧の防水性など、日常使いにも安心な仕様であることもうれしい。
シチズン プロマスター「エコ・ドライブ コンビネーションウオッチ」Ref.JV1006-51L
大型で解像度の高いディスプレイを備えた、アナログとデジタルのコンビネーションモデル。アウトドアシーンで活躍する豊富な機能を搭載しつつ、優れた視認性をかなえている。光発電クォーツ。フル充電時約3年駆動(パワーセーブ時)。SSケース(直径43.9mm、厚さ14mm)。20気圧防水。13万7500円(税込み)。(問)シチズンお客様時計相談室 Tel.0120-78-4807
シチズン プロマスターの「LAND」シリーズに属する多機能なフィールドウォッチ。12時側に配された大型のディスプレイが特徴だ。このディスプレイには、解像度の高いMIP(メモリインピクセル)液晶が採用されている。
ダイアルはマットなブルーを採用し、ホワイトのインデックスや針との高いコントラストによって視認性を高めている。4時位置には機能セレクターであるインダイアル、7時位置には光発電の充電残量を示すインダイアルが配され、これらはクロノグラフ起動時に積算計としても機能する。
クロノグラフ以外にもカレンダーやアラーム、タイマー、ワールドタイムなどの機能が搭載され、大型で高精細なディスプレイに情報が表示される。フランジには方位表示が配され、8時位置のリュウズを用いて回転させることで、簡易的な方位計として活用することが可能だ。
直径43.9mmのケースはステンレススティール製。20気圧防水を備え、アウトドアシーンにもふさわしい堅牢性を発揮する。ベゼルをはじめとする随所にグレーめっきを施すことでメリハリをつけるなど、デザインにも工夫が盛り込まれている。