いち早く2025年の新作発表が行われている、LVMH ウォッチ ウィーク。ジェラルド・ジェンタが発表したのは、「ジェンティッシマ」コレクション4作目となる「ジェンティッシマ ウルサン ファイアー オパール」だ。「ウニ」をデザインレガシーとする創意工夫にあふれる意匠と、この意匠を実現するハイウォッチメイキングに要注目だ。
ジェラルド・ジェンタ最新作「ジェンティッシマ ウルサン ファイアー オパール」
復活後、時計市場で大きな注目を集めているジェラルド・ジェンタ。「ジェンティッシマ」コレクション4作目となる最新モデルをLVMH ウォッチ ウィーク2025で発表した。「ジェンティッシマ ウルサン ファイアー オパール」である。
自動巻き(Cal.GG005/再設計されたローターを装備したゼニス エリート)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。18KYGケース(直径36.5mm、厚さ9.64mm)。30m防水。価格未定。
本作はデザインと創造性でウォッチメイキングの伝統の枠を押し広げるジェラルド・ジェンタ・ラボが直々に手掛けたものだ。このリミテッドエディションの18Kイエローゴールド製のケースの周りには、個別にネジ止めされた“ファイアーオパール”が並んでいる。
ファイアー オパール、この複雑な宝石は、地質学者を何世紀もの間、困惑させてきた特殊な化学組成からなるものだ。この石の魅惑的なオレンジの色調や創造性や自信を高めるシンボルとしてのその意味合いが、ジェラルド・ジェンタのアーティスティック・ディレクター、マチュー・エジにインスピレーションをもたらした。「このクリエーションを通じて、「ジェンティッシマ ウルサン」のクリエイティブコンセプトの境界を押し広げ、稀少な宝石をまとったアイテムを提供するとともに、有機的な色や美しい宝石、そして美に対するジェンタ氏の情熱に敬意を表した」とエジは説明している。
受け継がれる「ウルサン」のデザインのレガシー
「ウルサン」の物語は、1994年にジェンタ一家がバカンスに訪れたコルシカ島からはじまった。フランス語でウニを意味する「ウルサン」。その姿に魅了されたジェラルドはいつものように、その場で直感的に最初のデザインのスケッチを描き下ろした。棘のある球状の外観はビーズで飾られた丸いケースフォルムとなり、本コレクションのすべてのバリエーションにおいて、モデルへ特有の魅力を与えている。
そして 30年後、ウルサンはメゾン ジェラルド・ジェンタにとって奥深さに満ちた新章を切り開いた。コレクションの4作目は、ジェンタ氏ならではのユニークな美的感覚とシンボルとしての意味を持つパワフルな宝石への魅力をさらに探求している。
鮮やかな美学を通してジェンタを表現
オリジナルのデザイナーの直感的でクリエイティブなアプローチを受け継ぎ、感覚的にデザインされた新作ウルサン ファイアーオパール。この石は、芸術家や音楽家、そして創造性への刺激を求める人々と歴史的に結び付いており、予期せぬものをアートへと昇華させることを象徴している。ジェンタ氏ならではのデザイン原則は、現代的なひねりを加えられながらも至るところに見出すことができよう。ダイアルはオレンジのカーネリアン製で、ジェンタ氏のシグネチャーのフォルムであるファセットカットを施したクリスタルも、ケースのわずかに八角形を帯びた内側の縁にあしらわれている。
直径約36mmの18Kイエローゴールド製ケースには、ガラスブラスト仕上げが施され、同じく18Kイエローゴールド製のピンで個別にひとつずつケースにネジ止めされた 137個のファイアーオパールの輝きとコントラストをなしている。
ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトンのマスターウォッチメーカー ミシェル・ナバスとエンリコ・バルバシーニは、「デザインを引き立たせるため、ディテールに至るまで細心の注意を払ってこの製品を作り上げた。自動巻き『ゼニスエリート』ムーブメントのために、18Kイエローゴールド製の専用ローターを設計した」と語っている。
注目すべきディテール
ジェラルド・ジェンタについて
1969年に設立されたジェラルド・ジェンタ ブランドは、マエストロのジェラルド・ジェンタによる、特別な顧客のための特別な腕時計を製作するという明確なミッションの下、自身のハイウォッチメイキングのビジョンを具現化してきた。1973年に発表した初作を皮切りに、ジェラルド・ジェンタは、円形と直線的な幾何学的形状の相互作用を前提とした型破りな美的アイデンティティを確立。1981年には自身初の超薄型のミニッツリピーターモデル、1994年には当時最も精巧な腕時計であったグランドソヌリを発表し、独立系ウォッチメイキングにおける初期のパイオニアのひとりとして尊敬を集めた。
特にグランドソヌリには、5年にもおよぶ研究開発を必要とした。ウィットと奇抜さを決して恐れないジェラルド・ジェンタは、1984年以降、ディズニーのアニメキャラクターをハイウォッチメイキングの複雑機構と大胆に組み合わせた。これは、当時のウォッチメイキング業界を抜本的に変化させる新たな方向性だった。そして現在、ジェラルド・ジェンタ ブランドは、ともにジェンタと協業したミシェル・ナバスとエンリコ・バルバシーニの監修の下、「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」の支援を得て復活を果たした。
ブランドは、ハイウォッチメイキングの複雑機構を想像力に富んだ時計作品へと再解釈するという、ジェンタの DNA と妥協のないアプローチを復活させることに焦点を当てている。