2024年のベストクロノグラフを『ウォッチタイム』ドイツ版編集部が選出!

FEATUREWatchTime
2025.02.05

矢のように過ぎていった2024年。『ウォッチタイム』ドイツ版編集部が、2024年に発表されたクロノグラフから、ベストだと思う5本を選出した。どれも個性的でアイコニックな魅力にあふれた腕時計ばかり。選ばれるのが当然なモデルで占められているが、どこかドイツ的なセンスを感じるチョイスである。なお、ランキング形式ではなく、順不同だ。

ベストクロノグラフドイツ

Originally published on watchtime.net
Text by Rüdiger Bucher
[2025年2月5日公開記事]

ドイツ的2024年のベストクロノグラフがこれだ!

『ウォッチタイム』ドイツ版編集部が2024年に発売されたクロノグラフウォッチの中からベスト5を選出。アイコニックなデザイン、そして心をつかんで離さない文字盤のモデルばかりだ。なお、ランキング形式ではなく、順不同での紹介となる。

ショパール「アルパイン イーグル XL クロノ」チタンモデル

ショパール アルパイン イーグル XL クロノ

ショパール「アルパイン イーグル XL クロノ」Ref.298609-3008
自動巻き(Cal.CHOPARD 03.05-C)。45石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。Tiケース(直径44mm、厚さ13.15mm)。100m防水。ショパールブティック限定。369万6000円(税込み)(問)。ショパール ジャパン プレス Tel.03-5524-8922

 ショパールが満を持して発表した、「アルパイン イーグル XL クロノ」のチタンモデルが持つ並外れた魅力は、まずは文字盤にあるだろう。この文字盤から目を背けることは難しい。モデル名にも採用された、イーグルの瞳の虹彩からインスパイアされたラインが描き出す模様、そしてローヌ・ブルーと呼ばれるアイスブルーカラーが、実際のイーグルの瞳以上に魅力的な印象を与えている。

 時・分針およびアワーインデックスにはスーパールミノバX1が塗布されており、暗闇での視認性も申し分ない。文字盤とベゼルを含む、正面から見たデザインは、ケースやストラップといった、腕時計の他の部分と見事に調和していると言えるだろう。そう思わせる重要な要素は、ベゼル上4カ所にある2本のネジ。この意匠のオリジンは、1980年に発表された「サンモリッツ」にさかのぼるものだ。

 チタン製ケースの直径は44mm、厚さは13.15mmである。なお、リュウズとプッシャーは、ルーセントスティール製だ。自動巻きムーブメントCal.CHOPARD 03.05-Cは、クロノグラフ機構の制御にコラムホイールを採用。また、クロノグラフのリセット用に、エラスティックアームを備えた3つのハンマーが用いられている。『ウォッチタイム』ドイツ版の9月、10月合併号では、この腕時計をテスト企画で取り上げており、上位の成績を達成した。

ホワイト文字盤「スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル」

オメガ スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル

オメガ「スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル」Ref.310.30.42.50.04.001
手巻き(Cal.3861)。26石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径42mm、厚さ13.2mm)。50m防水。125万4000円(税込み)。(問)オメガ Tel.0570-000087

 この腕時計に即座に反応するオメガファンは、長らくホワイト文字盤のムーンウォッチを心待ちにしていたに違いない。2023年11月にアメリカ合衆国・ニューヨークで開催されたイベント、プラネット オメガでのこと。6代目ジェームズ・ボンドであるダニエル・クレイズが、このホワイトのムーンウォッチを身につけて現れたのだった。これが本作の初お披露目となった。

 2024年3月初頭、オメガは公式にホワイト文字盤を備えた「スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル」を発表。すぐに話題となり、カルト的な人気を獲得した。ダブルドームのサファイアクリスタル製風防、ドット・オーバー・ナインティが記された、アルミニウムインサートベゼルが、この腕時計の特徴として挙げられるだろう。文字盤の外縁にはミニッツトラックが配されており、分と分の間は、搭載するムーブメントCal. 3861の3Hz振動(2万1600振動/時)に合わせて、3分割されている。

 手巻きムーブメントのCal. 3861は、シリコン製ヒゲゼンマイを備え、厳格な検査であるマスター クロノメーターの基準を満たしているため、1万5000ガウスの磁場に耐えることができる。パワーリザーブは約50時間、防水性能は50m防水だ。

 ブレスレットとストラップは、3種類から選ぶことができる。エクステンション付きのステンレススティール製ブレスレットを備えたRef. 310.30.42.50.04.001(125万4000円(税込み))と、ブラックカラーのラバーストラップを備えたRef.310.32.42.50.04.001(119万9000(税込み))、小さな穴の空いたレーシング仕様のレザーストラップが付属するRef. 310.32.42.50.04.002(119万9000(税込み))だ。

“パンダ”文字盤「タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ」

タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ Ref. CBS2216.BA0041

タグ・ホイヤー「タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ」Ref. CBS2216.BA0041
自動巻き(Cal.TH20-00)。33石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。SSケース(直径39mm)。100m防水。94万500円(税込み)。(問)LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー Tel.03-5635-7030

 小さめサイズのクロノグラフには独特な魅力があり、そのファンは増加の一途をたどっている。“パンダ文字盤”のタグ・ホイヤー「タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ」は、直径39mmというサイズに適したデザインがなされた腕時計だ。ステンレススティール製の本作の全体のバランスはとてもよく、一度着用すると手放せなくなるに違いない。それに加えて、絶妙な針の長さ、中心部分がへこんだマッシュルーム型プッシャー、盛り上がった外周部分を持つくぼんだ文字盤という特徴が魅力の源だ。

 この腕時計では、クロノグラフ機能に関する針はレッドカラーで塗られている。そのため、時刻表示に用いられる針と容易に区別することが可能だ。ボックス型のサファイアクリスタル製風防は、シルバーカラーの文字盤をフードのように覆っており、独特な印象を与えている。

 本作は裏蓋側も十二分に注目に値する。サファイアクリスタルを用いた裏蓋からは、自社製ムーブメントCal.TH20-00をながめることができる。コート・ド・ジュネーブで仕上げられたブリッジと、クロノグラフ制御用のコラムホイールを見て楽しめるのだ。「TAG HEUER TH-20 THIRTY-THREE(33) JEWELS SWISS」という文言が入れられた、スケルトン仕様の回転ローターにも要注目である。

“デューン”文字盤「ポルトギーゼ・クロノグラフ」

IWC ポルトギーゼ・クロノグラフ

IWC「ポルトギーゼ・クロノグラフ」Ref. IW371624
自動巻き(Cal.69355)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約46時間。SSケース(直径41mm、厚さ13.1mm)。3気圧防水。123万7500円(税込み)。(問)IWC Tel.0120-05-1868

 良いプロポーション。これはIWC「ポルトギーゼ」の強みと言えるだろう。大きなサイズの腕時計として発表された、ステンレススティール製ケースの41mmのポルトギーゼは、実際の直径よりも大きく見える。この腕時計の細いベゼルのためだろう。このために、デューンと名付けられたサンドカラー文字盤をよく見わたすことができる。

 30分積算計が12時位置、スモールセコンドが6時位置という、インダイアルが垂直に配置されたレイアウトは、IWCのDNAを表現したものだ。サンセリフ体のアラビア数字インデックスと、繊細な針によって、本作の正面デザインはとても魅力的であり、マッシュルーム型プッシャーともマッチしている。搭載するムーブメントはIWCの自動巻きムーブメントCal.69355。付属するストラップはブラックカラーのアリゲーターストラップだ。

ジン「156.1」

ジン 156.1

ジン「156.1」
自動巻き(Cal.SZ01)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約46時間。SSケース(直径43mm、厚さ15.45mm)。10気圧防水。92万4000円。(問)ホッタ Tel.03-5148-2174

 ジンが2024年9月に発表した「156.1」は、視認性に優れた興味深いデザインの文字盤と、注目に値する歴史的背景を持つ、傷に強いケースを組み合わせたモデルである。156.1はジンが1980年代から1990年代にかけて販売していた「155」と「156」の系譜に属するモデルだ。「155」はホイヤーによるドイツ連邦軍のRef.1550SGを、ヘルムート・ジンがブラッシュアップした腕時計である。

1994年にオーナーとなったローター・シュミットは、ケースの改良を行い、いくつかのモデルにそのケースを採用。2024年に発表された最新モデルに至るまでこのケースは採用されている。本作の特徴はいくつか挙げられるだろう。まずはジン自社製の自動巻きムーブメント、Cal.SZ01を搭載していることだ。加えて、航空機の機体をあしらった60分積算計用の針と、耐傷性に優れたテギメント加工が施され、蓄光塗料により夜間でも高い視認性を誇るベゼルが挙げられるだろう。ストラップ、ブレスレットの選択肢の幅の広さも特徴と言える。

 156.1のベゼルは広く、実際の直径である43mmよりも小さな印象を受ける。前出のIWCのポルトギーゼ・クロノグラフとは対照的だ。


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