優れた技術力を有するマニュファクチュールとして、高い支持を得るジャガー・ルクルト。同社は、19世紀という早期より女性向けの時計を開発してきた歴史を持つ。その姿勢は現代も変わらず、同社のコレクションには女性にも使いやすい魅力的なモデルが多くラインナップされている。今回は、その中から厳選した5本を紹介したい。
Text by Tsubasa Nojima
[2025年2月7日公開記事]
屈指のマニュファクチュール、ジャガー・ルクルトが手掛ける名作を紹介!
1833年に、アントワーヌ・ルクルトがスイスのジュウ渓谷に開いた工房から始まった高級時計ブランド、ジャガー・ルクルト。同社は、名だたるブランドへムーブメントを供給してきたという歴史を持つ、屈指のマニュファクチュールであると同時に、19世紀という早期より女性向けの時計を開発していたことでも知られる。腕時計が登場する以前では、ペンダントやブローチなどの装飾品に時計を組み込み、1929年にはハイジュエリーウォッチ向けの極小ムーブメント、Cal.101を開発するなど、女性のために独創的な時計を多く手掛けてきた。
現代においてもその姿勢は変わらず、代表作である「レベルソ」では複数のサイズを展開し、2012年にはレディースコレクションである「ランデヴー」を発表している。高級時計になじみのない方にとっては少々マニアックなブランドにも思えるジャガー・ルクルトだが、確かな技術力と高い審美性が宿るコレクションは、ぜひとも幅広い層に手に取っていただきたい魅力にあふれている。同社が誇るラインナップより、特に女性にお勧めしたい5本を紹介しよう。
「レベルソ・クラシック モノフェイス」Ref.Q2608440
アイコニックでありながらも、シンプルなデザインが魅力の「レベルソ・クラシック」。レベルソには複数のサイズ展開があるため、自分の手首に合ったものを選ぶことが可能だ。手巻き(Cal.846)。18石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約38時間。SSケース(縦35.78×横21mm、厚さ7.4mm)。3気圧防水。121万8800円(税込み)。
「レベルソ・クラシック」のスモールサイズモデル。レベルソは、ポロ競技において時計の風防を衝撃から保護するための反転ケースを備えたコレクションだ。ミドルケースをスライドさせることで、表裏を変更することができる。裏面をソリッドバックとしたモノフェイスと、裏面にもダイアルを配したデュオフェイスの2種類が存在するが、本作はモノフェイス仕様のモデルである。裏面には、文字やイラストなどをエングレービングし、パーソナライズすることが可能だ。
全体のデザインは、数あるレベルソの中で最もオーソドックスなもの。中央にはギヨシェが施され、プリントによるアラビア数字インデックスとブルースティールのバトン型時分針が組み合わされている。
ステンレススティール製のケースは、レクタンギュラー型。ケースのラグ付近には、レベルソのアイコニックな意匠であるゴドロン装飾様式の3本線が施されている。ムーブメントは、手巻き式のCal.846を搭載する。
「レベルソ・クラシック デュエット」Ref.Q2572570
60個のブリリアントカットダイヤモンドをあしらった18Kピンクゴールドケースを持つ、華やかなモデル。表裏で印象の異なるダイアルを配している。自動巻き(Cal.968A)。30石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。18KPGケース(縦40×横24.4mm、厚さ9.5mm)。3気圧防水。462万円(税込み)。
華やかな18Kピンクゴールド製ケースと、反転式のデュオフェイスを備えたモデル。表面はアラビア数字のアプライドインデックスにバトン針を組み合わせたシルバーダイアル、裏面はドーフィン針を配した上品なブラックラッカーダイアルを採用している。着用シーンや気分に合わせて瞬時にダイアルを切り替えることができるのは、デュオフェイスならではの魅力だ。
ケースのラグ付近にブリリアントカットダイヤモンドをセットしているのも、本作の特徴だ。煌びやかなケースは、ちょっとしたドレスアップからパーティシーンまで、腕元を上品に飾ってくれることだろう。ストラップは、トープカラーのアリゲーターレザー製が装着されている。
ムーブメントは、自動巻きのCal.968Aを搭載。一段引きの状態で、表裏両面のダイアルの時刻を同時に調整することができる。薄型のムーブメントであるため、デュオフェイスを備えた自動巻きモデルでありながら、ケースの厚さを9.5mmに抑えている。
「ランデヴー・クラシック ムーン」Ref.Q3572430
柔らかな書体のアラビア数字インデックスやムーンフェイズ、ギヨシェ装飾など、上品さに溢れたダイアルが特徴。シースルーバックを通して、ムーブメントを鑑賞することができる。自動巻き(Cal.925A)。30石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。18KPGケース(直径34mm、厚さ9.56mm)。5気圧防水。470万8000円(税込み)。
2012年に誕生したレディースコレクションの「ランデヴー」。その中でも本作は、特に華やかさを特に強調したモデルである。シルバーのギヨシェダイアルには、優美な書体のアラビア数字インデックスが並び、ムーンフェイズが配されている。ダークブルーラッカーに星々をちりばめたムーンディスクによって、月の満ち欠けを知ることが可能だ。ムーンフェイズの神秘的な情景に輝きを添えているのが、ダイアルとベゼルにセットされたブリリアントカットダイヤモンド。このダイヤモンドは全部で107石、合計0.76カラットに及ぶ。
ラウンド型のケースは、18Kピンクゴールド製。短めのラグによって、コンパクトな印象に仕上がっている。ベルトは、ブラックのアリゲーターレザー製。クイックリリース機構が採用されており、レバーを爪で操作することによって、簡単にケースから脱着することが可能。
搭載するムーブメントは、自動巻きのCal.925A。ストライプ装飾を施したローターや受け、ブルーの針などをシースルーバックから鑑賞することができる。
「ランデヴー・クラシック ナイト&デイ」Ref.Q3448410
立体的なナイト&デイ表示が特徴のモデル。さりげなくセットされたダイヤモンドが、手元に輝きをもたらす。ダイアルには、中央と外周で異なるパターンのギヨシェ装飾が施されている。自動巻き(Cal.898A)。30石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。SSケース(直径34mm、厚さ8.52mm)。3気圧防水。183万4800円(税込み)。
日常使いに便利な、ステンレススティール製ケースを採用したランデヴー。上述したモデルと同様、優美な書体のフローラル数字インデックスに、フローラル型の時分針を組み合わせている。放射状に広がるギヨシェが施されたシルバーダイアルには、6時位置に楕円状の開口部を設け、昼夜を判別するためのナイト&デイ機能を搭載。インデックスに合わせてセットされたダイヤモンドが、さりげない輝きを放つ。
ケースは、直径34mm、厚さ8.52mmと、確かな存在感と袖口にすっきり収まる上品さを兼ね備えたサイズ。3気圧防水を備えているため、多少の気遣いさえ忘れなければ、日常生活でも安心して使用することができる。
ストラップは、針やナイト&デイの色味に調和した、ブルーのアリゲーターレザー製。フォールディングバックルが装着されており、腕から簡単に脱着することが可能だ。ストラップの付け根にはレバーが配され、爪でスライドさせることによって、容易にストラップを変更することができる。
「マスター・ウルトラスリム デイト」Ref.Q1238480
薄型ケースをまとった端正なドレスウォッチ。直径39mmというサイズは、パートナーとのシェアウォッチとしても使いやすい。自動巻き(Cal.899)。32石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。SSケース(直径39mm、厚さ7.89mm)。5気圧防水。148万7200円(税込み)。
シンプルなドレスウォッチとして、男女問わず高い人気を誇る「マスター・ウルトラスリム」コレクション。今回紹介するのは、6時位置にデイト表示を配した実用的なモデルだ。ダイアルは、落ち着いた印象のブルーグレーカラー。サンレイ仕上げによって上品に仕上げている。くさび型のインデックスと、ドーフィン型の時分針がクラシカルな印象だ。
“ウルトラスリム”の名の通り、厚さ7.89mmの薄型ケースを採用している。ラグに面取りを加えることで、薄型ケースでありながらも立体感を創出している点に注目だ。ポリッシュ仕上げを施した端正なデザインは、フォーマルシーンにも調和する。
ブラックのアリゲーターストラップは、クイックチェンジ機構によって簡単にケースから取り外すことが可能だ。フォールディングバックルは、腕への脱着に伴って生じるストラップの痛みを軽減させる。
ジャガー・ルクルトを代表する自動巻きムーブメント、Cal.899を搭載し、その仕上げと動きをシースルーバックから鑑賞することが可能だ。