気がつくと、今年も“新作時計の季節”が近づいてきた。2019年までのSIHHとバーゼルワールドに代表される「スイス2大時計フェア」の時代が終わり、2022年から再びリアル開催がスタートした世界最大・唯一無二のスイス時計フェア「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ(略称W&WG)2025」。そのW&WG2025が開催されるまで、いよいよ2カ月を切った。2025年1月中旬以降、W&WG事務局や各出展ブランドから続々と案内が届き始めているが、今回のコラムではW&WG会場外のジュネーブ市内で同時開催されるイベントも含めて、現時点での最新情報をお伝えする。
Photographs & Text by Yasuhito Shibuya
[2025年2月8日掲載記事]
2025年のW&WG開催期間は4月1日(火)から7日(月)の7日間
今年もW&WGの開催場所は、もちろんジュネーブ空港に隣接する見本市会場「パレクスポ」。そして開催期間は、日本では年度初めとなる4月1日(火)から7日(月)までのちょうど1週間だ。前半の4日間である4月1日(火)〜4日(金)のウイークデーの4日間は関係者のためのプレスデーで、残りの5日(土)、6日(日)、7日(月)の3日間はパブリックデー、つまり一般公開日となる。2024年は4月9日(火)〜15日(月)の開催だったから、昨年より約1週間前にスライドしたことになる。
そして今年の最終日となるウイークデーの4月7日(月)は入場料が割り引かれる“ファミリーデー”的な日でもある。もし4月初頭にヨーロッパに滞在する予定で、チャンスがあればW&WGを観たいという時計好きの方は、この最終日である月曜日は週末の土日ほど混んでいないこともあり、この日に訪れることをオススメしたい。
入場料金はパブリックデーである週末の5日(土)と6日(日)は、一般チケットが70スイスフラン(約1万1657円、1スイスフラン=166.53円、2025年2月7日現在、以下同)、ヤングチケットが40スイスフラン(約6661円)、シニアチケットが60スイスフラン(約9992円)だが、最終日の7日(月)ならそれぞれ50スイスフラン(約8327円)、30スイスフラン(約4996円)、40スイスフラン(約6661円)に割引される。
なお、チケットはオンライン予約制で、2月11日(スイス時間)からW&WGの公式サイト上で予約受付が始まることになっている。おそらく紙のチケットは発券されず、スマートフォンのアプリケーションを使った、QRコードタイプのデジタルチケットになるだろう。
一般入場者向けに「プレミアムパッケージ」チケットが登場
筆者のようなジャーナリストやバイヤーには無関係だが、今回のW&WGでは時計フェアを訪れる上顧客のために、新たに「プレミアムパッケージ」というVIPパスのような入場券が新たに登場した。
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これは①1日入場券、②無料駐車場、③セキュリティチェックとクロークの優先レーン、④コーヒー、ランチ付きのVIPラウンジとガイド付きVIPツアー、⑤今年の目玉となる新作プレゼンテーションの優先予約、⑥スペシャルギフト。以上がセットになっており、料金は1日550スイスフラン(約9万1592円)。この料金設定は、まるでF1グランプリの「パドッククラブ」の1日分を彷彿させる。これが一般公開日の最後の3日間のみなのか、それともプレスデーも含めて発売されるチケットなのか、現時点では不明だ。
今年は6つ増の60ブランドが出展
さて、W&WGいちばんの注目ポイントは、出展するブランドとその数だが、今年は2024年の54ブランドから6ブランド増の60ブランド。新たに出展した注目のビッグブランドはLVMHグループのブルガリである。これまでは同時期にレマン湖に面する5つ星ホテルで独自のかたちで新作を発表してきたが、ついに(!)という感じだ。このコラムの最後に、W&WGの公式ウェブサイトに掲載されているブランド一覧の画像を入れておくので、気になる方はチェックしていただきたい。
また、フランク ミュラー ウォッチランドグループもこのW&WG期間中に独自の展示会WPHHを開催する。さらに昨年までジュネーブのデザイン学校で開催されていたもうひとつの時計展示会「TIME TO WATCHES」も、今年はW&WGの敷地内ともいうべき「Villa Sarasin」という場所で開催される。ここはW&WGのシャトルバス乗降場から歩いて約1分。W&WGはシャトルバスを降りて左に向かうのだが、このVilla Sarasinは、右に向かっていくと見える階段を上ったところにあるファンクションルーム施設である。チーズやウイスキーなどの展示会が行われている場所だ。このTIME TO WATCHESは2025年2月8日時点の数字だが、昨年よりかなり多い70ブランドの出展が発表されている。この立地なら、さらに出展ブランドは増えるかもしれない。
さらに、まだ日程は発表されていないが、独立時計師協会AHCI(通称アカデミー)の展示会も例年通り、ジュネーブ市内で開催される可能性が高い。
ますます観光イベント化するW&WG
また、ジュネーブ市内のモンブラン橋をW&WG会場側から反対に渡った先の旧市街、ローヌ通り沿いの高級ブランドのブティック街とその周辺にある時計ブティックや専門店、ローヌ川の中洲にあるFHH本部前の特設テントでは、昨年同様に今年も「IN THE CITY」イベントとして、ブティックオープンや博物館ツアー、時計組立体験教室などが開催されるはずだ。
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昨年も解説したが、今年始まった富裕層の入場者向けと思われる「プレミアムパッケージ」に象徴されるように、W&WG2025は、パレクスポ会場とジュネーブ市内の両方で開催される「世界時計祭り」という観光イベントとしての性格をさらに強めている。これは「スイス時計発祥の地」であるジュネーブだからできる方向性だろう。
まずは今後も順次発表されるであろう、W&WG2025とジュネーブ市内で開催される各種プログラムやイベントの詳細発表を楽しみに待ちたい。