オメガの広報担当者が、おすすめモデルを厳選する企画。今回は2024年、売上本数が多かったレディースモデルの人気傾向を分析しつつ、4つのトピックスを下におすすめを選んでもらった。なお、参考とした売上データは日本国内で販売されたものとなっており、免税売上は除かれている。
Text by Chieko Tsuruoka(Chronos-Japan)
[2025年2月17日公開記事]
オメガの広報担当者が、人気のレディースモデルを対象におすすめを選ぶ
2023年よりオメガの広報担当者の協力の下、その年の人気モデルからおすすめを選んで紹介してもらう企画。2024年版の製作もかなったので、本記事で掲載する。
「スピードマスター」や「シーマスター」など、人気コレクションを多数展開するオメガ。アイコニックなデザインや高品質かつ高性能といった美点によって、これまで何本もの時計を所有してきた時計愛好家のみならず、初めて時計を購入する若年層まで、幅広いユーザーから指示されてきた。この幅広さは、ジェンダーを問わない人気にもつながっている。オメガは同一コレクションに複数のサイズや素材、意匠をバリエーションとして加えることで、あらゆる層のニーズに応えられる製品をラインナップしていることも、強みとしているのだ。
今回はそんなオメガの、レディースにカテゴライズされたモデルに焦点を当てる。2024年によく売れたレディースモデルを対象に、広報担当者が人気傾向を分析しつつ、4つのトピックスからおすすめを選んでもらった。また、この売上は日本国内で販売されたデータから、免税分を差し引いたものとなっている。
人気のレディースオメガを買うなら①マザー・オブ・パール文字盤が熱い
昨年版の本企画でも紹介した、マザー・オブ・パール文字盤の「コンステレーション」。ロゴの下にあしらわれた、コンステレーションの象徴でもある星がアクセントになっている。クォーツ(Cal.4061)。(左から)SS×18Kセドナゴールドケース、SS×18KYGケース(直径25mm、厚さ8.1mm)。3気圧防水。各96万8000円(税込み)。
昨年版でも話に上ったが、女性から圧倒的に人気が高いのは、コレクションを問わず「マザー・オブ・パール文字盤」なのだという。これは毎年の傾向であり、オメガに限らず定番品と言って良いかもしれない。広報担当者は「長年飽きずに愛用できるし、男性がパートナーへの贈り物としても選びやすいのでは」と分析していた。
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フランス語で「街」や「都会」を意味する「デ・ヴィル」。中でも1994年に誕生した「デ・ヴィル プレステージ」は、ベーシックで厚すぎないラウンドケースを基調としたエレガントなスタイルとモダンで洗練された印象を両立したコレクション。ビジネスにもパーティーなどといった特別なシーンにも身に着けられる腕時計だ。自動巻き(Cal.8800)。35石。2万5200振動/時。SSケース(直径34mm、厚さ10.1mm)。3気圧防水。77万円(税込み)。
ではマザー・オブ・パール文字盤を備えた人気モデルには何があるかと言うと、「コンステレーション」と「デ・ヴィル プレステージ」が挙げられた。なお、いずれのコレクションも2023年版の記事でもTOP5にランクインしている。
オメガはメンズ・レディース問わず、非常に幅広いバリエーションを展開している。そのため同一コレクションの中のマザー・オブ・パール文字盤であっても、素材やサイズ、ストラップに違いがあることもポイントだ。定番モデルでありながらも、自分の好みや使用シーンに合わせた1本が選べるのだ。
人気のレディースオメガを買うなら②“スピマス”人気に要注目!
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直径38mmケースを持った「スピードマスター 38」。ムーンウォッチをはじめとした他の「スピードマスター」コレクションと比べて、多彩なカラーリングが展開されている。なおインダイアルとカレンダーディスクの小窓の楕円型は、過去の「デ・ヴィル」に見られた仕様から着想を得ている。自動巻き(Cal.3330)。パワーリザーブ約52時間。SS×18Kセドナゴールドケース(直径38mm、厚さ14.7mm)。10気圧防水。116万6000円(税込み)。
2024年のレディースウォッチの人気傾向について、広報担当者も「驚かされた」というのが、女性からも“スピマス”こと「スピードマスター」が購入されていることだ。
スピードマスターは1957年に誕生したオメガのクロノグラフモデルだ。モータースポーツ向けに製造されるものの、1962年にNASAのマーキュリー計画で宇宙飛行士ウォルター・シラーが自身で所有する同モデルを着用したことや、1962年にNASAの公式装備品となり、その後1969年のアポロ11号計画で月面着陸を果たしてから、“ムーンウォッチ”の呼び名を獲得したことで知られている。
こういった歴史やツール感ある意匠によって、“スピマス”は男性に人気のオメガウォッチである。もっとも一口にスピードマスターとは言っても、そのバリエーションはオメガらしくさまざま。現行には直径38mmケースの小径モデルもラインナップされており、女性からは、そんなサイズ感が人気なのだという。
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グレー文字盤を備えたスピードマスター 38。甘すぎず渋すぎず、女性の手元でさりげなく存在感を放ってくれる1本だ。自動巻き(Cal.3330)。パワーリザーブ約52時間。SSケース(直径38mm、厚さ14.7mm)。10気圧防水。85万8000円(税込み)。
「予防可能な失明をなくすこと」を目標に、世界の医療的辺境地で眼科治療と教育を行う非営利団体オービス・インターナショナル。オメガは2011年からこの団体を支援しており、売上金の一部を同組織に寄付するためのオービス記念モデルを打ち出している。本作は、2017年に登場した、その記念モデルである。自動巻き(Cal.3330)。パワーリザーブ約52時間。SSケース(直径38mm、厚さ14.7mm)。10気圧防水。85万8000円(税込み)。
「女性にケース径38mmは大きくない?」と思われるかもしれない。しかし以前、直径42mmサイズの「シーマスター ダイバー300M パリ2024」や38mm径の「シーマスター アクアテラ シェード」を着用した女性の筆者(手首回りは14.7cm)の経験談から述べると、オメガの腕時計はケース全長がコンパクトでラグも長すぎないので、数値と反して細い手首回りでも着用しやすい。普段30mm径以下のサイズを着けているといった女性にとっては大きいと感じるかもしれないが、意外と取り回しやすいので、一度手首に載せてみてほしい。
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宇宙飛行士たちが見た月の裏側をイメージさせる「スピードマスター ダークサイド オブ ザ ムーン」。そのバリエーションとして、「地球から見える月の輝き」を着想減としたのが、この「スピードマスター ホワイトサイド オブ ザ ムーン」だ。自動巻き(cal.OMEGA9300)。54石。2万8800振動/時。パワーリザーブ60時間。セラミックケース(直径44.25mm)。50m防水。196万9000円(税込み)。
今回の取材でさらに驚かされたのが、44.25mm径の「スピードマスター ホワイト サイド オブ ザ ムーン」も、女性からの人気コレクションとして上位にランクインしているということだ。直径44.25mmケースは、男性でも大きい。しかし全長の短さやセラミックス製であるがゆえの軽量さなどが相まって、実機を触ってみると、女性でも身に着けやすいことをうかがわせる。ちなみに今回取材した広報担当者も女性で、このホワイトがまぶしい“スピマス”を着けており、かなりカッコイイ。
人気のレディースオメガを買うなら③ニュアンスカラー文字盤も熱いぞ
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2022年から展開されるラベンダー文字盤。このモデルがリリースされた際に登場した、ピンク文字盤やブルー文字盤のモデルもかわいくてオススメ。クォーツ(Cal.4061)。SSケース(直径28mm、厚さ8.5mm)。3気圧防水。61万6000円(税込み)。
マザー・オブ・パール文字盤が例年人気ということはすでに記した。もうひとつ、レディースオメガで注目を集めているのが、さまざまなニュアンスカラーを備えた文字盤だ。
近年の時計業界では、外装の質という点で競争が激化している。そんな競争のひとつに、文字盤の多様化がある。とりわけカラーの自由度が増しており、かつてはブラックやホワイトといった単色がメインだったこのキャンバスは、今やパステルカラーを備えたり、グラデーションを表現したりといった、多彩な顔を見せるに至っている。
そんな中でオメガもまた、このキャンバス上に独自の優美な世界を描いている。もともとバリエーションの豊富な同ブランドというだけあり、近年の文字盤カラーの豊富さは時計業界で群を抜いている。
クォーツ(Cal.4061)。SSケース(直径27.5mm、厚さ6.3mm)。3気圧防水。46万2000円(税込み)。
(中央)オメガ「コンステレーション」Ref.131.10.28.60.60.001
クォーツ(Cal.4061)。SSケース(直径28mm、厚さ8.5mm)。3気圧防水。61万6000円(税込み)。
(右)オメガ「シーマスター アクアテラ シェード」Ref.220.10.34.20.10.001
自動巻き(Cal.8800)。パワーリザーブ約55時間。SSケース(直径34mm、厚さ11.9mm)。15気圧防水。102万3000円(税込み)。
「例えば同じ青であっても、モデルによって文字盤色の呼び名が異なるんですよ。だって、トーンが同じではないから」とは今回取材した広報担当者の言葉で、確かに同じグリーンでも、例えば上に掲載したモデルでは左から“パイングリーン”“マッチャグリーン”“ラグーングリーン”などといった名称が付いている。
そんな多彩な文字盤を持ったモデルの中で、女性に人気が高いのが最初に紹介した「コンステレーション」のラベンダー文字盤だ。ちなみに昨年版の本企画で、第3位として紹介している。一番人気のマザー・オブ・パールの中に、このモデルが売上上位として食い込んでくるのだ。
クォーツ(Cal.4061)。SSケース(直径27.5mm、厚さ6.3mm)。3気圧防水。46万2000円(税込み)。
(右)オメガ「シーマスター アクアテラ シェード」Ref.220.10.34.20.09.001
自動巻き(Cal.8800)。パワーリザーブ約55時間。SSケース(直径34mm、厚さ11.9mm)。15気圧防水。102万3000円(税込み)。
続いて人気なのはベージュ系だ。ベージュもまた“リネン”や“サンドストーン”などの呼び名があるのが面白い。このベージュ系には、「スピードマスター 38」のカプチーノ文字盤も並んでいる。その次に人気なのが、グリーン系だ。
さまざまなモデルの名前が挙がった中で、広報担当者に一番のオススメを聞いてみると、「デ・ヴィル プレステージ」のいずれかとの回答。「リニューアルしてから文字盤すごく凝っているのに、手頃な価格や、機械式時計なのに34mm径に抑えられたケース」が、推しの理由とのことだ。確かに高級腕時計の価格が上昇し続ける昨今、50万円以下という価格設定はありがたい。
人気のレディースオメガを買うなら④i18Kイエローゴールドの人気が復活
クォーツ(Cal.4061)。SS×18KYGケース(直径27.5mm、厚さ7.2mm)。3気圧防水。96万8000円(税込み)。
(右)オメガ「コンステレーション」Ref.131.25.25.60.55.002
クォーツ(Cal.4061)。SS×18KYGケース(直径28mm、厚さ8.1mm)。3気圧防水。140万8000円(税込み)。
定量的にデータを取ったわけではないものの、女性に人気のカラーゴールドというと、ピンクやレッドゴールドのイメージがある。店頭に並ぶレディースの時計やジュエリーを見てみても、その様相がうかがえる。
しかし2024年のレディースオメガは、18Kイエローゴールド素材が18Kセドナゴールド素材と同等の人気を見せたのだと聞いて、驚かされた。
セドナゴールドはオメガ独自のカラーゴールド合金で、レッドゴールドのような赤みを帯びつつ、経年変化に強いという特性を持つ。ちなみにセドナは太陽系の中で最も赤い小惑星から名前を由来している。従来、レディースに人気というと18Kセドナゴールドモデルが圧倒的であった。しかし昨年は、ここにイエローゴールドも並んできているというのだ。
いかにも金無垢といった発色のイエローゴールドは、ともすれば派手にもなりがちだ。しかしオメガの作り込まれた高級感ある外装にこの素材を添えることで、エレガンスの中に華やかさが生まれている。そんな調和のとれたラグジュアリー感は、大人の女性の手元をいっそう輝かせる。
時計の世界も「多様化」が進む昨今、これまでの装いとは違った1本を選ぼうとした時、こんな瀟洒なモデルは好適ではないだろうか?