特撮ファンを公言し、365日特撮グッズを身につけているお笑い芸人の博多大吉。彼が愛用する腕時計は、一般的な高級時計とは方向性の異なる特撮キャラクターウォッチだ。その独自の美学と、特撮への深い愛情が詰まったコレクションの世界に迫る。
Text by Yukaco Numamoto
土田貴史:編集
Edited by Takashi Tsuchida
[2025年2月23日掲載記事]
芸人の高級時計ブームから外れ、特撮ウォッチの道を選択
お笑いコンビ「博多華丸・大吉」のツッコミを担当する博多大吉は、大学の落語研究会をきっかけに芸能活動をスタート。IPPONグランプリやTHE MANZAIでの優勝歴もあり、現在は漫才だけでなく、司会者、タレントとして幅広いジャンルで活躍している。
そんな博多大吉の趣味のひとつが、「ウルトラマン」シリーズや、「仮面ライダー」シリーズをはじめとする特撮作品だ。彼の特撮愛は相当なもので、ほぼ365日、何かしらの特撮グッズを身に着けているという。
全戦負けなしの「不戦勝」を続ける「時計ジャンケン」
博多大吉は特撮系のTシャツだけで200枚以上を所持するが、もともとコレクションのきっかけとなったのは時計だったそうだ。かつて芸人の仲間内で高級時計ブームがあったが、初代ウルトラマン40周年記念を記念した、「40周年記念ゲルマニウム腕時計」を購入したことをきっかけに、特撮グッズを集めることになった。「この時計なら、ブランドやグレードを競う“時計ジャンケン”に巻き込まれない、全戦負けなしの不戦勝です(笑)」と語る。なるほど、時計ジャンケンとは言い得て妙だ。
該当モデルは2006年に数量限定4000本で発売され、中古サイトでは、当初の販売価格を上回るプレミア価格で取引された事例もあった。特撮ファンというニッチ層に向けて作られた時計とは、いわゆる高級時計とは異なる立ち位置にある。しかし、細部にまでこだわり抜いた造形美は、時計愛好家の興味をも引くものだ。
「仮面ライダー」ならオーズやフォーゼ、作品愛が詰まった特撮腕時計たち
博多大吉の特撮時計コレクションは、他にも「仮面ライダーオーズ時計」「宇宙刑事ギャバン時計」「仮面ライダーフォーゼ時計」と、多彩な特撮作品をラインナップしている。自身のInstagramでは、各作品を観ていたファンからのコメントが飛び交っている。
クォーツ(MIYOTA Cal.2039)。SSケース(直径42mm、厚さ11mm)、3気圧防水(日常生活防水)。販売当時価格1万3200円(税込み)。
仮面ライダーオーズは、2010年9月から約1年間放映された東映制作の特撮テレビドラマである。平成仮面ライダーシリーズ第12作目にあたる本作は、ベルトに装着する3枚のメダルによって、多様な仮面ライダーに変身することが特徴である。3枚のメダルがモチーフとなった文字盤は、ひと目で分かるデザインだ。
仮面ライダーオーズ10周年記念として発売された本作は、短針がアンク(作品中に登場するキャラクター)となっている。作品の世界観が存分に発揮された仕上がりで、ファンにとっては高揚を覚えるはずだ。
クォーツ(Cal. TMI VD53)。SSケース(直径42mm×4厚さ9mm)、10気圧防水。販売当時価格2万5300円(税込み)。
また仮面ライダーフォーゼは、2011年9月から約1年間放映された東映制作の特撮テレビドラマであり、仮面ライダー生誕40周年を記念した作品である。上記の時計は、仮面ライダーフォーゼ10周年を記念してプレミアムバンダイから発売されたものだ。
このモデルは、同時に3種類発売されたうちの「ホロスコープス」バージョンで、ゾディアーツ幹部のホロスコープスをイメージしたクラシカルなダイアルデザインになっている。インデックス部分には12星座の使徒になぞらえたそれぞれの星座のマークを使用。ほかにもホロスコープス用のゾディアーツスイッチや、サジタリウスゾディアーツマントの意匠が取り入れられ、こちらもファンにはたまらないディテールとなっている。
情報収集からイベント司会まで。趣味が切り開いた新たなステージ
こうしたキャラクターウォッチは、一般的な時計とは販売ルートが異なる。ニュースサイト、公式ファンサイトなど、日頃からの熱心な情報収集がなくては、入手にたどり着けないはずだ。量販店、玩具メーカー、アマゾンなどの通販サイトだけでなく、ファンたちが探す範囲は海外サイトやフリマサイトにまで及ぶ。筆者も異なる分野ではあるが経験があり、マニアもしくはコレクターとはそういうものだと実感している。
趣味が発展して、特撮イベントなどの司会など、自身の仕事にも繋げている博多大吉。その突き抜けた様子は見ていて清々しく、好感が持てる。舞台やテレビで着用するスーツスタイルにも、時計やネクタイで好きな特撮アイテムを取り入れているようだ。
これから博多大吉を見かけた際には、ぜひ彼のファッションにも注目していただきたい。