セイコーは、多彩なデザインや機能を持つ腕時計を提供し続けてきた国産時計メーカーだ。セイコー プロスペックスやセイコー アストロンなど、さまざまなブランドを展開するセイコーのタイムピースの中から、今回は20代男性におすすめの腕時計を5本紹介する。自分自身で腕時計を初めて購入するという人も、すでに何本かお気に入りの腕時計を所有しているという人も、参考にしてほしい。
Text by Kento Nii
[2025年4月9日公開記事]
今、20代にセイコーの腕時計を勧める理由
社会人として新たな一歩を踏み出す20代にとって、腕時計は自身の成長を支えつつ、個性を表現してくれるアイテムのひとつである。例えばまだスーツを着慣れない頃であっても、ビジネスシーンに向いた腕時計を身に着けることで、装いに自信と風格を表すことができるだろう。また、自由に使えるお金が増える年代において、自己を表現できる腕時計は、プライベートの充実にも一役買ってくれるはずだ。
そんな年代にとって、日本を代表する時計メーカーのセイコーは、好適な選択肢のひとつとなる。親しみのある国産メーカーであることに加え、成熟したマニュファクチュールを強みに、確かな品質を持つ腕時計をバリエーション豊かに生産する同社の腕時計は、自身のニーズに合ったモデルを探しやすいだろう。また、展開されるバリエーションの中には洗練されたデザインのモデルも多く、そんな1本を選べば、ビジネスからプライベートまで幅広いシーンでの活躍が期待できる。
そこで本記事では、セイコー プロスペックスやセイコー アストロン、セイコー プレザージュといった同社の主力ブランドから、20代男性におすすめの腕時計を5本ピックアップした。なお、今回紹介する5本には、全てが税込み20万円以下で販売されるモデルであり、かつデイリーユースに向いた機能性と、シーンを問わず着用しやすいデザイン性が備わっていることをピックアップの基準とした。20代でも手の届きやすい価格帯でありながら、セイコーの魅力を実感できる腕時計として、選択肢にぜひ加えてみてほしい。
セイコー アストロン「Nexter」Ref.SBXY065
セイコーは1969年、世界初の量産型クォーツ式腕時計、「クオーツ アストロン」を発売した。これと同じ名を冠し、その先進性を継承するブランドが「セイコー アストロン」である。

GPSソーラー(Cal.8B63)。フル充電時約24カ月駆動(パワーセーブ時)。10石。Tiケース(直径41.3mm、厚さ10.6mm)。10気圧防水。16万5000円(税込み)。
ピックアップしたのはセイコー アストロンの「Nexter」シリーズのうちのひとつ、Ref.SBXY065だ。スポーティーかつ洗練されたルックスを備えており、格子状のパターンを持つブルーダイアルが、スマートでクールな表情を演出している。また、このパターンによって、ダイアル内に立体感が際立っており、視認性も良好となっている。
シリーズに共通する、ケースとブレスレットがシームレスにつながる優美なラインを描くことが、本作の魅力だ。ケースとブレスレットの素材には軽量なチタンが採用されており、10.6mmと厚さが抑えられたケースと相まって、快適な装着感を実現している。洗練されたデザイン、そして着けていて疲れないという美点は、毎日使う腕時計にとって最適な選択肢となる。
また、本作は機能面でも充実している。特に、電波受信機能の搭載は利便性を大きく高めており、標準電波が受信できる地点であればいつでも正確な時間を腕時計で確認することができる。さらに、日付・曜日表示に加え、ワールドタイム、デュアルタイム表示機能も備えており、実際にこれらの機能をフルで使わなかったとしても、多機能を思わせるダイアルデザインに所有欲をくすぐられる時計好きは少なくないだろう。
セイコー プロスペックス「ダイバースキューバ」Ref.SBDC201
セイコー プロスペックスは、本格的なスポーツやアウトドアシーンに対応する高機能性を備えた腕時計を、多彩にそろえるブランドだ。高い耐久性、視認性を追求しており、加えてプロフェッショナルユースにも耐えうる信頼性や、高機能を感じさせるデザイン性が、その魅力となっている。

自動巻き(Cal.6R55)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径41.3mm、厚さ12.5mm)。300m空気潜水用防水。17万6000円(税込み)。
セイコー プロスペックスからは、「ダイバースキューバ」シリーズのRef.SBDC201をピックアップした。300m空気潜水用防水を備えるダイバーズウォッチであり、視認性の高いダイアルレイアウトやリュウズガードを持つケース、逆回転防止ベゼルなどを特徴としている。ツールウォッチとしてのスペックを備える一方で、ベージュカラーのダイアルは海岸線の情景をモチーフに、波のようにゆらめくストライプが刻まれることで、リゾート地でも使いたくなるデザイン性を獲得した。
加えて八角形のベゼルを含め、他のダイバースキューバと一味異なる雰囲気を備えている。このベゼルは、スタイリッシュな一面を表情に添えているだけでなく、回転の操作性も高める仕様である。ケース、ブレスレットに対してポリッシュ仕上げが多用されていることも、エレガントな一面を獲得するのに寄与している。
ムーブメントはCal.6R55を搭載する。約72時間のパワーリザーブを備えており、手動での時刻合わせの頻度を抑えられる、実用的な持続時間と言える。プロフェッショナルな性能を備えながらも、タウンユースにもなじむその意匠は、アクティブなライフスタイルを送る20代の手元に合わせやすい。
セイコー プロスペックス「スピードタイマー」Ref.SBER001
国産初のクロノグラフウォッチを開発したセイコーにとって、セイコー プロスペックスに属する「スピードタイマー」もまた、その伝統と先進性を象徴するシリーズだ。現行コレクションには、さまざまなスポーツ大会で公式計時を務めてきたセイコーが誇る、優れた実用性や計時性能が宿っている。

光発電クォーツ(Cal.8A50)。フル充電時約6カ月駆動。SSケース(直径42mm、厚さ12.9mm)。10気圧防水。12万1000円(税込み)。
Ref.SBER001は、腕時計の計測機器としての側面が強調されたモデルだ。ダイアルには4つのインダイアルが配置されており、2時位置が1/100秒、10時位置が1/10秒、12時位置が秒積算計の役割を果たしている。なお、6時位置は通常モードでは時分を示すが、8時位置のプッシャーでストップウォッチモードにすることで、60分積算計へと切り替わる。
独立したインダイアルを持つレイアウトはユニークなだけでなく、計測中に針が重なることがないため、確実な時間の判読を可能としている。またケースは、操作性の高いポンプ型プッシャーをサイドに備えており、そのルックスはかつてセイコーが計時用に開発したストップウォッチを彷彿とさせる。ちなみに本作は、この斬新さと機能性を兼ね備えたデザインによって、2023年度のグッドデザイン賞を受賞している。
視認性を重視し無駄を排したその表情は、機能美を漂わせており、アイコニックなデザインと相まって、ジャケットの袖口からでも確かな存在感を放つに違いない。ムーブメントは、光発電クォーツムーブメントのCal.8A50を搭載しており、定期的な電池交換の必要が無いモデルである。
セイコー プレザージュ「クラシックシリーズ」Ref.SARX125
セイコー プレザージュは、「100年を超える腕時計づくりの伝統を継承し、世界に向けて日本の美意識を発信する」と標榜されるブランドであり、クラシックさやエレガントさが前面に押し出されたデザインのモデルが多く用意されている。中には琺瑯、七宝、有田焼といった、日本の伝統工芸をダイアルに用いたモデルも登場しており、個性的なドレススタイルを確立している。

自動巻き(Cal.6R55)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径40.2mm、厚さ13.0mm)。10気圧防水。13万2000円(税込み)。
今回紹介したRef.SARX125はセイコー プレザージュの中でも「クラシックシリーズ」に属する1本で、「用の美」と呼ばれる日本の伝統的な美意識にフォーカスする。淡い柿色を意味する“洗柿(あらいがき)”がそのモチーフであり、梨地のサーモンピンクダイアルが、大人びたクラシカルテイストを漂わせている。また、そのドーム型の形状もクラシカルさを高める要素であり、そのドームに合わせるように分針と秒針が緩やかに曲げられるなど、細部に至るまで作り込みが感じられる仕上がりだ。
このダイアルも相まって、本作は全体的に柔和な佇まいが作り出されている。デュアルカーブのサファイアクリスタル風防を持つケースも、柔らかなシェイプで構成されており、丸みを帯びた細かなリンクが連なるドレッシーなブレスレットと合わせて、良好な着用感が期待できるだろう。ちなみにこのブレスレットは、1970年代の腕時計に見られた仕様からデザインの着想を得た。
ムーブメントはCal.6R55を搭載しており、パワーリザーブは約72時間を備えている。また本作はトランスパレントバックとなっており、ムーブメントを鑑賞することもできる。エレガントなルックスに反して、10気圧防水や耐磁性能といった、しっかりとしたスペックも備えており、日常使いに向いた腕時計と言える。
セイコー 5スポーツ「SNXS」Ref.SBSA255
1968年に誕生したセイコー 5 スポーツは、初代モデルの「自動巻き」「防水性」「3時位置のデイデイト表示の小窓」「4時位置に配されたリュウズ」「耐久性に優れたケース・バンド」を引き継ぎつつ、多様な価値観が飛び交う現代を象徴する“5つのスタイル”をデザインコンセプトとしたブランドだ。現行ラインナップも、まさに「多様」なデザインが展開されており、シーンに合わせたモデル選びが楽しめる。

自動巻き(Cal.4R36)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約41時間。SSケース(直径37.4mm、厚さ12.5mm)。10気圧防水。5万3900円(税込み)。
Ref.SBSA255は、「日々持ち歩く相棒」をコンセプトとした「SNXS」シリーズに属する1本だ。ダイアルには、シンプルで見やすいインデックスと針が載せられており、そこに塗布された味わい深い色彩の蓄光塗料がレトロな印象を添えている。落ち着きつつもクラシカルな個性を持つその表情は、スーツスタイルだけでなく、オフの日のカジュアルスタイルにも合わせやすいだろう。
ケースは直径37.4mmとコンパクトなサイズ感で、10気圧防水を備えている。搭載するムーブメントは、Cal.4R36だ。デイデイト表示を備えており、デイリーユースにも向いた仕様となっている。また本作で特筆すべきは、手の届きやすい販売価格だ。初めて機械式時計を手にする20代や、腕時計のエントリーモデルを探している人にとっても、最適な選択肢のひとつとなる。