2025年4月1日より、スイス・ジュネーブで開催されるWatches & Wonders Geneve。今年の出展ブランドは60を超え、過去最多だ。そんな中でも、最も注目を浴ている時計ブランドの新作がロレックスだ。同社が事前公開していたティザームービーから、どんな時計がリリースされるのか予想していた読者も多いのではないだろうか。そんなロレックスの新作時計を本記事でまとめて紹介。目玉は新コレクションとなる「オイスター パーペチュアル ランドドゥエラー」だ。
Text by Chieko Tsuruoka (Chronos-Japan)
[2025年4月1日掲載記事]
ロレックス2025年新作①「オイスター パーペチュアル ランドドゥエラー」
「明日の世界を創造している人々のための時計」と銘打たれて誕生したロレックスの新作「オイスター パーペチュアル ランドドゥエラー」。ケースと滑らかに一体化したブレスレット、そして六角形のパターンが与えられた文字盤が、近年のロレックスの現行モデルにはなかった雰囲気をまとっている。

自動巻き(Cal.7135)。3万6000振動/時。パワーリザーブ約66時間。Ptケース(直径40mm)。100m防水。942万7000円(税込み)。

自動巻き(Cal.7135)。3万6000振動/時。パワーリザーブ約66時間。SS×18KWGケース(直径40mm)。100m防水。225万5000円(税込み)。

自動巻き(Cal.7135)。3万6000振動/時。パワーリザーブ約66時間。18KERGケース(直径36mm)。100m防水。1334万6300円(税込み)。
もっともこのケース・ブレスレットフォルムに懐かしさを覚えるユーザーも多いかもしれない。ロレックス自身も1969年のクォーツモデル、そして1974年の「デイトジャスト」で同様のスタイルを採用していたことを取り上げ、そのスタイルをランドドゥエラーで再解釈したとプレスリリースに記している。
ブレスレットも特徴的だ。ランドドゥエラーのために開発され、“フラットジュビリー”と名付けられたこのブレスレットは、ジュビリーブレスレットのように細かなリンクで構成されながらも角張った形状をしており、センターリンクとリンクの稜線にポリッシュ仕上げが、それ以外の面にはサテン仕上げが与えられている。堅牢性と耐久性を考慮した、特許出願中のアタッチメントシステムが採用されていることも特筆すべき点だ。また特許を取得したセラミックス製インサートが本作にも採用されているが、ロレックスでは初めてブレスレットをミドルケースに固定するバネ棒を、この素材で保護した。

文字盤のモチーフは、フェムト秒レーザーで切り取られたものだ。セルとセルを隔てる溝の繊細なラインのエッチング加工にも、同じレーザーが使用されているとのこと。6と9のみアラビア数字インデックスとなっているのは、「エアキング」からインスピレーションを得ている。なおプラチナ製ケースにはアイスブルー文字盤が、ホワイトロレゾールモデルまたは18Kエバーローズゴールドモデルにはインテンスホワイト文字盤が備わっており、インデックスすべてにダイヤモンドがセッティングされたモデルもリリースされた。アイスブルーにはサンレイ仕上げが、インテンスホワイト文字盤にはファインサテン仕上げがあしらわれている。

このように外装に新しさを見出せる新作ランドドゥエラー。しかしさらに驚かされるのが、新開発の自動巻きムーブメントCal.7135を搭載させていることだ。ロレックスは今回32件の特許を出願しており、そのうちの18件は本コレクションのみのもので、さらに16件はムーブメント関連のものなのだ。
Cal.7135は「1908」に搭載されてきたCal.7140の進化形で、3万6000振動/時へとハイビート化したムーブメントだ。さらに従来のスイスレバー脱進機ではなく、“ダイナパルス エスケープメント”とロレックスで名付けられた、新しい脱進機が搭載されている。

これまでブルーパラクロム素材をメンズモデルの脱進機に用いてきたロレックスだが、シリコンを採用したシーケンシャル ディストリビューションエスケープメントによって、回転運動を通じて動力が伝達される仕組みとなったこの脱進機。ナチュラル脱進機のような構造をしているが、独自機構となっている。画像に見える独特の形状をしたふたつの歯車がディストリビューションホイールで、その歯車と噛み合っているのがトランスミッションホイールだ。このダイナパルス エスケープメントがテンワの振動を維持するインパルスロッカーを作動させる。スイスレバー式のようにスライドさせるのではなく、ふたつの歯車の違いの回転運動が相互作用となるため、エネルギー消費が削減され、高い効率を維持できるのだという。シリコンであるため、磁気にも強い。
オシレーターもロレックスの革新を象徴する。動画に映るテンプ軸は、ロレックスが特許を取得したハイテクセラミックで製造されており、高い剛性と強度が求められる、このバランススタッフの製造にのみ使用されている。なお、文字盤のパターン同様、フェムト秒レーザーで切断されている。テンワは真鍮製だが、ロレックスが最適化した合金で、セラミックスと同様に磁場への優れた耐性を備えている。
ヒゲゼンマイはこれまでメンズモデルに採用されてきたブルーパラクロムに代わって、シロキシ ヘアスプリングに。コイルの形状が進化し、剛性を高めるために厚みが増している。このヘアスプリングは、3万6000振動/時というハイビートに欠かせないパーツとなっている。
ふたつの最適化された耐衝撃装置である高性能パラフレックス ショック・アブソーバーはバランススタッフの衝撃を和らげ、かつこの耐衝撃装置の構造によって、バランススタッフはどの向きでもスムーズに、かつ規則的に回転することができる。また衝撃を受けた後、バランススタッフを最適な形で正常な位置に戻す、改良されたリーフスプリングも備わった。
もちろん高精度クロノメーター認定機であることも記しておく。

この革新的なムーブメントは、トランスパレントバックから観賞することができる。あまり“裏透け”を採用してこなかったロレックスの中にあって、この新開発ムーブメントを目の当たりにしたいファンは少なくないだろう。
今回発表されたランドドゥエラーは全部で10型。ケースサイズ40mmまたは36mmで展開される。
ロレックス2025年新作②「パーペチュアル 1908」
2023年、ロレックスからドレッシーな新コレクションとして発表された「パーペチュアル 1908(以下1908)」。この1908という数字は、「Rolex」がスイスで正式に商標登録された年を示している。1908からリリースされた2025年新作モデルは、コレクション初となるブレスレットを備えた、きらびやかでどこかレトロな雰囲気を感じさせる1本だ。

自動巻き(Cal.7140)。38石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約66時間。18KYGケース(直径39mm)。50m防水。527万3400円(税込み)。
7列に18KYGリンクで構成されたこのセッティモブレスレットは、1908専用として開発されたブレスレットだ。エレガントかつ洗練された外観に加えて、快適な装着感をもたらしてくれる。輝くポリッシュ面が、手元で存在感を放ってくれるだろう。

搭載するムーブメントは既存モデルと同様にCal.7140。トランスパレントバックから観賞することができる。
インテンスホワイト文字盤のほか、インテンスブラック文字盤のバリエーションも同時リリースされている。
ロレックス2025年新作③「オイスターパーペチュアル GMTマスター II」左リュウズのモデル
近年のロレックスにはなかった“レフティ”仕様として、2022年に発表された「オイスターパーペチュアル GMTマスター II」のSSモデルであるRef. 126720VTNR。大きな話題を呼んだこのスタイルの18KWGヴァージョンが登場した。グリーン文字盤を携えて、だ。

自動巻き(Cal.3285)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。18KWGケース(直径40mm)。100m防水。706万2000円(税込み)。
一般的には3時側に取り付けられるリュウズを9時位置へと移動させたことから、ロレックス公式から「左利き向け」とアナウンスされたわけではないものの、“レフティ”として扱われてきたこのスタイル。人気を鑑みてか、新作モデルでバリエーションが追加された形だ。前作同様にブラックとグリーンの2トーンに分かれたセラクロムベゼルを搭載しつつ、文字盤にはグリーンカラーがあしらわれた。しかしこのグリーンは真鍮にラッカーを施したものではなく、セラクロム製とのこと。実機を見ていないので分からないが、セラクロムベゼル同様、高級感ある光沢が感じられる文字盤なのだろう。

搭載するムーブメントは前作と同じくCal.3285。リュウズ位置が9時側に反転しているにもかかわらず、高精度クロノメーター認定の性能を有したムーブメントとなっている。
なおSSモデルにはジュビリーブレスレット版もリリースされているが、本作は3列のオイスターブレスレットモデルのみのラインナップとなっている。
ロレックス2025年新作④「オイスターパーペチュアル GMTマスター II」タイガーアイアン文字盤モデル
近年、貴石や稀少な鉱物を文字盤に採用するロレックス。2025年もそんな地球を感じさせる特別モデルがリリースされている。

自動巻き(Cal.3285)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。18KERGケース(直径40mm)。100m防水。746万7900円(税込み)。
今回の新作モデルに採用されたのは、タイガーアイアンだ。ロレックスが本作で初めて採用したこの変成岩は複雑な構造を有しており、タイガーズアイ、レッドジャスパー、シルバーヘマタイトという3種類の鉱石で構成されている。人工のものとは違った風合いのパターンや、ゴールドとオレンジがかった色合いが神秘的で、外装の18Kエバーローズゴールドと相まって、唯一無二の存在感を示した。
なお、同じくGMTマスターIIから、タイガーアイアン文字盤を採用したモデルが、18KYGモデルでもリリースされている。
ロレックス2025年新作⑤「コスモグラフ デイトナ」ターコイズブルー文字盤
みんな大好き「コスモグラフ デイトナ」にも、新しい文字盤がいくつか追加されている。中でも目を引くのが、一時期「オイスター パーペチュアル」でも話題になった、ターコイズブルー文字盤だろう。

自動巻き(Cal.4131)。47石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。18KYGケース(直径40mm)。100m防水。549万1200円(税込み)。
ラッカーによる明るいターコイズブルーと、スネイルパターンがあしらわれたブラックインダイアルのコントラストが洗練された本作。外装は18KYGに、堅牢かつしなやかなオイスターフレックスブレスレットが組み合わされている。
また、タキメータースケールがあしらわれたセラクロムベゼルインサートと相まって、スポーティーな中に高級感を思わせる仕上がりになっている。なおこのベゼルはPVD加工によって、スケールがプラチナの薄い層でコーティングされている。
販売価格は549万1200円(税込み)。稀少なモデルになることが予想されるが、一度実機を見てみたい2025年新作モデルである。
そのほか、「オイスター パーペチュアル スカイドゥエラー」にグリーン文字盤が追加されている。

自動巻き(Cal.9002)。40石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。18KYGケース(直径42mm)。100m防水。825万9900円(税込み)。
またレディースの新作モデルも豊富にラインナップされているので、順次追加していきたい。