2025年4月1日より開催されているウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2025にて、パテック フィリップは15種もの多彩な新作モデルを発表した。話題の「CUBITUS」に新サイズが追加されたほか、永久カレンダーや、スプリットセコンドクロノグラフを搭載するコンプリケーションも数多く登場したが、中でも、永久カレンダーとウィークリーカレンダーを備え、約31日間ものパワーリザーブを実現した手巻きデスククロック、Ref.27000M-001は必見である。
「グランド・コンプリケーション」Ref.27000M-001
永久カレンダーとウィークリーカレンダーを搭載した、至高の手巻きデスククロックが披露された。1923年と1927年に、ジェームズ・ウォード・パッカードならびにヘンリー・グレープス・ジュニアへ向けて製作されたデスククロック(現在はパテック フィリップ ミュージアムに所蔵)をインスピレーション源とする、同社の豊かな時計製造技術を体現したコンプリケーションである。
自動巻き(Cal. 86-135 PEND S IRM Q SE)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約31日間。スターリング・シルバーケース(縦164.6 mm、横125mm、奥行き76.73mm)。非防水。1億8656万円(税込み)。
本作に搭載されるのは、約31日間の極めて長いパワーリザーブと日差±1秒の計時精度を誇る、新しい手巻きレクタンギュラー型ムーブメント、Cal.86-135 PEND S IRM Q SEだ。912個もの部品総数で構成される本ムーブメントには、1カ月を通してテンプの安定した振り角を維持する定力装置などが採用されており、その開発にあたって計9件の技術特許が出願されたという。同社が約7年間もの開発期間をかけて実現した、マニファクチュールの集大成と呼ぶべきハイパフォーマンスムーブメントである。
これを納めるキャビネットはスターリングシルバー製だ。カバーは、ギヨシェ装飾の波模様が手作業で施された緑フランケ本七宝で飾られており、その外周には、ベゼルと共通する“綱”のモチーフが刻まれている。
中央に鎮座するシルバーオパーリンカラーのダイアルでは、時分秒、ムーンフェイズ、日付、曜日、月、閏年のサイクル、デイ・ナイトの表示に加え、外周の赤い移動フレームによって週番号が示される。膨大な情報量がシンプルにまとめられているだけでなく、メインの時分針表示のみにローマンインデックスが採用されるなど、判読性にも配慮が見られるダイアルである。
「グランド・コンプリケーション」Ref.5308G-001
ミニッツリピーター、ワンプッシュスプリットセコンドクロノグラフ、瞬時日送り式永久カレンダーを備えた「カドラプル・コンプリケーション」に、18Kホワイトゴールド製ケースモデルが追加された。2023年に、東京で開催されたウォッチアート・グランド・エキシビジョンにて初登場した、カドラプル・コンプリケーションRef.5308Pのバリエーションに当たるモデルだ。

自動巻き(Cal.R CHR 27 PS QI)。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。18KWGケース(直径42mm、厚さ17.71mm)。非防水。1億9588万円(税込み)。
本作では、新たにアイスブルーソレイユダイアルを採用しており、より深いブルーに色付けされたアワーマーカーと時分針が載せられている。6時位置には、スモールセコンドとムーンフェイズが、インダイアルには12時間積算計と60分積算計が配されており、スプリットセコンドクロノグラフに用いられる針のみを白く染めることで、視認性を確保している。
このカドラプル・コンプリケーションは、2011年に発表された「トリプル・コンプリケーション」から派生し、スプリットセコンドクロノグラフが新たに付加されたコレクションである。
搭載されるCal.R CHR 27 PS QIでは、主ゼンマイのトルク強化に加えて、プラチナ製マイクロローターが採用されたほか、クロノグラフ作動時の針飛びを排除するバックラッシュ補正クラッチ歯車、停止時のスプリット秒針のエネルギー消費をなくすアイソレーター機構という、2件の新しい特許技術が用いられている。これらの革新技術の採用によって、エネルギー消費の大きいスプリットセコンドクロノグラフの搭載を実現しているのである。
18Kホワイトゴールド製のケースは全面ポリッシュ仕上げで、2時位置のプッシャーでクロノグラフのスタート・ストップ、4時位置のプッシャーでスプリットセコンドを操作する。また、ブリリアントネイビーブルーのアリゲーターバンドが取り付けられており、特許取得済みの3ブレードホワイトゴールド折り畳み式バックルが組み合わされている。
「カラトラバ」Ref.5328G-001
「カラトラバ」には、瞬時送り式カレンダーと約8日間のパワーリザーブを備えた新作モデルが追加された。ホワイトゴールド製ケースに、新開発ムーブメントCal.31-505 8J PS IRM CIJを搭載した手巻き式モデルだ。

自動巻き(Cal.31‑505 8J PS IRM CI J)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約192時間。18KWGケース(直径41mm、厚さ10.52mm)。3気圧防水。1119万円(税込み)。
特徴的なダイアルには、外周に向かって濃くなるブラックグラデーションのテクスチャードブルーカラーを採用。ホワイトゴールド製のインデックス、時分針が配されており、それぞれに蓄光塗料が塗布されている。また、6時位置にはカレンダーと曜日表示、スモールセコンドを、12時位置にはパワーリザーブ表示を配置している。このパワーリザーブ表示は、9日目のみ“予備日”としてレッドで彩られており、手巻き式の本作の巻き上げ時期を知らせるものとなっている。
搭載するのは、新開発の手巻きムーブメント、Cal.31-505 8J PS IRM CIJだ。伝統的な構造でありつつも、エネルギー効率の高いSilinvar®製のPulsomax®脱進機と、直列に連結されたふたつの香箱を備えることで、約8日間のパワーリザーブを実現している。
ストラップは、ファブリック柄のステッチ入りネイビーブルーカーフスキンバンドが取り付けられるほか、グレイン仕上げのトープカーフスキンバンドが交換用として付属する。
「グランド・コンプリケーション」Ref.5370R-001
グランド・コンプリケーションの中のスプリットセコンドクロノグラフモデルRef.5370に、初の18Kローズゴールド製ケースモデルが追加された。

自動巻き(Cal. CHR 29-535 PS)。33石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。18KRGケース(直径41mm、厚さ13.56mm)。3気圧防水。4571万円(税込み)。
ダイアルは、ブラウンの本七宝製で、30分積算計、スモールセコンドのインダイアルおよび、タキメーターが記された外周部には、ベージュのシャンルべ七宝が使用されている。ブレゲ数字のインデックスおよび各針は、ケースと同様のローズゴールド製だ。ダイアルと優美なケースとの間には調和が生まれており、腕時計全体が味わい深いシックな印象をまとっている。
ムーブメントは、Cal.CHR 29-535 PSを搭載する。手巻き式をはじめとする伝統的な構造を採りつつも、スプリットセコンド機構に関する1件を含む7件の技術特許が取り入れられており、その性能は至って現代的だ。クロノグラフ非作動時のパワーリザーブは、約65時間が保証されている。
ストラップは、腕時計全体の印象に合わせたブリリアントダークチェストナットカラーのアリゲーターバンドを採用。特許取得済みの新しい3ブレード折り畳み式バックルが取り付けられた。
「グランド・コンプリケーション」Ref.6159G-001
Ref.6159G-001は、レトログラードによって日付を表示する永久カレンダーモデルを、独創的かつモダンなスタイルに再解釈したモデルである。

自動巻き(Cal.26-330 S QR)。33石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。18KRGケース(直径41mm、厚さ13.56mm)。3気圧防水。4571万円(税込み)。
特筆すべきはダイアルだ。半透明な「グレー・メタライズ・サファイアクリスタル」が採用されており、ムーブメントの心臓部がダイアル側からのぞく仕様を採っている。さらに、外周に向かって濃くなるグラデーションによって、インデックス、レイルウェイミニッツトラックがくっきりと際立っており、視認性にも難がない。
搭載するムーブメントは、Cal.26-330 S QRで、約65時間のパワーリザーブを備えている。ストラップは、時計本体のモノトーンの表情に合わせた、ステッチ入りのファブリック柄ブラックのコンポジットバンドを採用しており、3ブレード・ホワイトゴールド折り畳み式バックルが取り付けられている。
「コンプリケーション」Ref.4946R-001
パテック フィリップが1996年に開発し、特許を取得した独創的な年次カレンダーを持つコレクションに、18Kローズゴールド製ケースのバリエーションが追加された。

自動巻き(Cal.26‑330 S QA LU)。34石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KRGケース(直径38mm、厚さ11mm)。3気圧防水。877万円(税込み)。
アイコニックな年次カレンダーモデルに加わった本作は、直径38mmのケースを採用し、ジェムセッティングを省略することで、より汎用性を高めたモデルである。絹織物を連想させるチェストナットダイアルでは、アラビア数字インデックスとリーフ針、ミニッツウェイレールトラックがクラシカルな魅力を添えており、温かみのある18Kローズゴールドケースとのエレガントな調和が生まれている。
ムーブメントは、Cal.26-330 S QA LUを搭載する。パワーリザーブは約45時間を有している。ストラップは、デニム柄を持つ、ステッチ入りのチェストナット・カーフスキンバンドが採用され、ローズゴールド・ピンバックルが取り付けられた。
「コンプリケーション」Ref.5542G-010
Ref.5542G-010は、ホワイトゴールド製ケースを持つカラトラバ・パイロット・トラベルタイムをベースに、ラック・アイボリーダイアルと、ファブリック柄のカーキグリーン・コンポジットバンドを組み合わせたモデルだ。ベースモデルが持つエレガントさを残しつつ、ミリタリーテイストを持つモデルへと仕立て上げられている。

自動巻き(Cal. 26‑330 S C FUS)。29石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KWGケース(直径42mm、厚さ10.78mm)。3気圧防水。964万円(税込み)。
味わい深いラック・アイボリーのダイアルには、大ぶりで視認性に優れるアラビア数字とバトン針が載せられており、判読性が確保されている。それぞれに蓄光塗料が塗布されているため、暗所での判読性も抜群だ。また本作では、トラベルタイム表示機能が搭載されており、出発地と現地の時刻、それぞれの昼夜を同時に盤面表示できる。
搭載するムーブメントは、Cal.26-330 S C FUSだ。操作性の高いトラベルタイム機能を備える本機には、誤操作を防ぐため、特許取得済みのセキュリティー・システムも採用されている。パワーリザーブは約45時間を備える。
ケースは18Kホワイトゴールド製で、ミリタリー感を強めるファブリック柄カーキグリーンのコンポジットバンドには、ホワイトゴールド製のネジ止めピンバックルが取り付けられている。
「カラトラバ」Ref.6169P-001
アイコニックな「カラトラバ」コレクションに、プラチナ製ケースを持つ新作モデルが追加された。

自動巻き(Cal.30-255 PS)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。Ptケース(直径38mm、厚さ9.33mm)。3気圧防水。746万円(税込み)。
本作が持つヴィンテージ感たっぷりのサーモンピンクカラーダイアルは、ローズゴールドのめっき処理によるものだ。極めてミニマルなダイアルデザインが採用されており、力強いドーフィン針と、弾丸を思わせるシェイプのアワーマーカーが組み合わされている。これらは、いずれもアンスラサイトカラーで彩られており、ダイアル内で際立つ仕上がりだ。また、プラチナ製のケースは、ベゼルおよびラグの前面がポリッシュに、サイドがサテン仕上げに統一されたことで、質感にメリハリが生まれている。
搭載する手巻きムーブメントは、Cal.30-255 PSだ。その薄型設計は、本作の9.33mmという厚みにも寄与している。また、ストラップには、ダイアルを引き立てるブリリアント・チョコレートブラウンの手縫い風アリゲーター・バンドが採用されており、プラチナ製のピンバックルが取り付けられている。
「CUBITUS」Ref.7128
2024年に、約25年ぶりの新コレクションとして登場し、話題を集めたスクエアウォッチ「CUBITUS」。その新作として、直径40mmのミディアムサイズモデル2種が披露された。

自動巻き(Cal.26‑330 S C/434)。30石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KWGケース(直径40mm、厚さ8.5mm)。3気圧防水。1213万円(税込み)。
バリエーションは、18Kホワイトゴールドケースとブルーグレーダイアルの組み合わせに、18Kローズゴールドケースとブラウンダイアルの組み合わせの2種がラインナップ。いずれのダイアルにも繊細なソレイユ装飾と、象徴的なエンボスパターンが施されており、ケースと同じ素材が用いられた針、インデックスが載せられている。

自動巻き(Cal.26‑330 S C/434)。30石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KRGケース(直径40mm、厚さ8.5mm)。3気圧防水。1213万円(税込み)。
カジュアル・シックを標榜する本作では、ケースにスクエア型のフォルム、丸みを帯びた角といった、エレガントなプロフィールを持ち、ポリッシュ仕上げと縦サテン仕上げのコントラストによって、そのフォルムが強調されている。また、従来の45mm径から5mmサイズダウンしたことにより、いっそう多くの人々の腕元に馴染むようになった。
搭載するムーブメントは、Cal.26-330 S Cだ。21Kゴールド製のセンターローターを備えつつも、その厚みはわずか3.32mmに収まっており、ケースのスリム化にも大きく寄与するものとなっている。パワーリザーブは約45時間を有しており、トランスパレント仕様のケースバックからその機構を見ることができる。
「TWENTY~4」Ref.7340/1R
1999年より展開されている女性向け機械式腕時計コレクションである「TWENTY~4」に、永久カレンダー機能を持つ初のコンプリケーションが登場した。今回リリースされたのは、シルバーダイアルモデルとオリーブグリーンダイアルモデルの2種で、いずれも18Kローズゴールドケースに身を包んでいる。
自動巻き(Cal.240 Q)。27石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。18KRGケース(直径36mm、厚さ9.95mm)。3気圧防水。各1903万円(税込み)。
いずれのモデルも、ダイアルにはローズゴールド製の針、インデックスが配置されており、ケースの輝きとの調和が表情に表れている。3時位置と9時位置のインダイアルでは、曜日、月、閏年が指針表示され、6時位置ではムーンフェイズと日付を表示。この3つのインダイアルを使ったカレンダーとムーンフェイズの組み合わせは、パテック フィリップの永久カレンダーの中でも一目でそれと分かるレイアウトとなっている。
またこの2モデルは、Twenty~4コレクションのラウンドモデルにおける、初のジェムセッティング非採用の腕時計であり、全面ポリッシュ仕上げのローズゴールド製ケースに、落ち着いたエレガンスが漂っている。また、超薄型ムーブメントCal.240 Qの搭載により、ムーンフェイズや、閏年を含む月の長さを自動的に判別できる多機能性を備えつつも、1cmを下回る厚みを実現している。
直径36mmというそのコンパクトなサイズ感は、女性のみならず、男性も愛用しやすいだろう。なお、ブレスレットには、独立した4つの止め金を備えた特許取得済みの折り畳み式バックルが採用されている。