【お(た)くの細道】ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2025日記 Day 1 ブルガリ発、ホイヤー、カルティエ、ジャガー・ルクルト、グランドセイコー経由カルティエ行き

2025.04.04

やあみんなこんにちは!『クロノス日本版』とwebChronos編集長の広田雅将だよ! 今年も世界最大の時計見本市、ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2025が開催されるので、強制的に動員されることになった。「広田さん、またジュネーブ日記書くんですよね?」「おおん?」というわけで、今年も会場の様子、新作の超雑感などをお届けします!

【お(た)くの細道】ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2025日記 前夜祭 by ヒロタ

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広田雅将(クロノス日本版):写真・文
Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)
[2025年4月4日公開記事]


Day1、スタート!

 2025年4月1日 ウォッチズ&ワンダーズが幕を開けた。7時4分の電車に乗り、8時に会場のPalexpo(パレクスポ)着。昨日宿に入れなかった細田組は、裏技を使って部屋をせしめたらしい。朝飯を食べられなかったため、ホームでサンドウィッチを食っていた。

ジュネーブ空港駅を降り、10分ほど裏道を歩くと会場のパレクスポに至る。通勤する人々がちらほら

嵐の前のなんとらや。この後来る地獄を、我々はまだ知りません。

初日ですから、いろんな準備がある。彼はなぜか、スチームアイロンをぶら下げていた。意味不明っす。

会場の全体図。ブルガリが加わったほか、ウブロとホイヤーが巨大になった。ちょっとバーゼルワールドの香りがしますね。

憩いの場(だったの)が、プレスセンター。冷暖房完備、ゆったりしたソファー付き。しかし2日目以降は地獄と化した


初日の取材はブルガリから!

 8時半からブルガリのブースを訪問。今年初参加なのに、一等いい場所にあるのはさすがの政治力だ。新製品を見た後、CEOのジャン-クリストフ・ババンさんにインタビュー。実は彼、この日をもってLVMH ウォッチ部門の責任者も兼ねることになった。「新しい役職、おめでとうございます!」「いや数日前に66才になったんだよ。まさかこうなるとはなあ」。新しい「オクト フィニッシモ ウルトラ」のトゥールビヨンを見せてもらう。部品点数を減らしたとのこと。また、女性用のジュエリーウォッチも出来が良かった。ブルガリのケースは、かなり面が出ていて、それがジュエリーウォッチの底上げにつながっている。

ブルガリ オクト フィニッシモ ウルトラ トゥールビヨン

ブルガリ、再び世界記録を更新。これは新作の「オクト フィニッシモ ウルトラ トゥールビヨン」。1スイスフランコインと同じぐらいの薄さで、トゥールビヨンを実現してしまった。怖いので僕は触れず。

ブルガリ セルペンティ

今年のブルガリの推しは、自動巻きを載せたセルペンティ。パワーリザーブは約50時間もある。ボナマッサさん(編集部注:ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ)いわく「形を変えずに厚みのある自動巻きを載せるのはホントに大変だった」。

セルペンティのケース。磨きのレベルは写真が示す通り。毎年ブルガリのケースは良くなっているね。

ブルガリ CEO

説明してくれたのは、CEOのババンさん。「インタビュー中なのに申し訳ない、この2本がそろうのは世界初なんだ!!!」。ちなみに彼、LVMH ウォッチ部門の責任者も兼任となりました。おめでとうございます!

ブルガリ オクト フィニッシモ

個人的に萌えたのが、「オクト フィニッシモ」のフル金。適度な重みがある上、装着感は比類ない。あと、全面ブラスト仕上げのケースは指紋が付きにくい。ブラストなのに切り立ったエッジに注目。

ブルガリのブースにて。デザイナーのファブリツィオさんはいつもチャーミングなのだ。


タグ・ホイヤーの“F1”祭りへ!

 10時からタグ・ホイヤーで新作をみる。今年のホイヤーは“F1祭り”。そりゃ公式タイムキーパーに返り咲いたのだから当然か。個人的な推しも「フォーミュラ 1」。ただしこれには理由がある。昔のモデルそのままに見えるが、光発電だし、文字盤の質感も悪くない。そして直径38mmというケースサイズは、昔より若干大きいが十分コンパクトだ。正直、これは欲しいぞ。

タグ・ホイヤー フォーミュラ1

僕は大好きです。タグ・ホイヤーの「フォーミュラ 1」。昔風のデザインだが、質感はもちろん全く違う。

タグ・ホイヤー フォーミュラ1

タグ・ホイヤーの「フォーミュラ 1」。どう考えても良いでしょ、これは。

 もうひとつのお勧めは、「カレラ デイデイト」。今年からは“魔改造セリタ”から離れて、なんとAMT(セリタの子会社)と共同製作したムーブメントを載せるようになった。約80時間という駆動時間は、ベーシックなカレラの質を底上げするだろう。後にたばこスペースであったキャロル・カザピさんに話を聞いたところ。「最低3日以上が新しいスタンダードじゃないの?」と話していた。

タグ・ホイヤー フォーミュラ1

新しい「カレラ デイデイト」には、左右にコマを引っ張ってバラバラにできるブレスレットが採用された。一見もろそうだけど、かなり強く引っ張らないとコマは抜けない

 ちなみにこの時計、外装も良くなった。文字盤も改良されて、ベゼルが細くなった結果、開口部はより拡大した。しかし、文字盤外周のフランジを深くえぐり、インデックスを文字盤中心に寄せることで、間延び感を巧みに解消している。これは上手いね。それともうひとつ、ブレスレットのコマを左右に引っ張って外す、という謎の調整システムが組み込まれた。触った感じガタは出にくそうだが、まだ判断はできない。機会があれば使ってみたいところです。さておき、個人的にはフォーミュラ 1欲しい。

タグ・ホイヤー F1

タグ・ホイヤーのブースは“F1祭り”でした。右に見えるのは、1988年にアイルトン・セナが乗っていたガチのマクラーレン。博物館から持ってきたのだろう。


広田が出発前に気になるブランドとして挙げていたカルティエへ

 11時45分から、カルティエのタッチ&フィール。要は新作を一通り触れる回だ。今年のカルティエはシェイプに注力していて、それが一層文字盤にまで広がったのが新しい。全部書くとwebや本誌のネタがなくなるからほどほどにしておくけど、文字盤の仕上げはラッカーあり、ペイントあり、そして下地の処理も、プレスあり、レーザーありとやれることをやっていた。鉄仮面こと「タンク ア ギシェ」は大人気だが、今年はプラチナの1モデルを除いて、数年間製作するというから、手に入りやすくなったのは間違いない。いずれも外装の質感は圧倒的だ。

みんな大好きカルティエ「タンク ア ギシェ」。今までと違って1年〜3年は生産するとのこと。つまり今までよりは手に入れやすくなった、はず。


ランチ休憩からのジャガー・ルクルト

 カルティエが終わった後、12時半から昼食。プレスラウンジはちょっと良くなっていて、ラーメンもどきが提供された。うーん味は微妙。コンビニのラーメンサラダを劣化させたような感じだ。食事をしつつ、レポートをまとめて14時にジャガー・ルクルト訪問。ブースツアーに参加する。

プレスラウンジで提供された“ラーメンもどき”。

 ブースを回るだけだが、今回はなんと、案内役がジャガー・ルクルト開発総責任者の浜口さんだ。彼に何でも聞けるのだから、こんなに贅沢な時間はない。新作の凝ったディテールを聞けば「もう大変な大変なんだよー」という彼の叫びも理解できる。

ジャガー・ルクルト 浜口さん

ジャガー・ルクルトの説明をしてくれたのは、開発責任者の浜口尚大さん。彼に説明をお願いするのは、かなり申し訳ないなあ。でもいろいろ聞けました!

ジャガー・ルクルト ミニッツリピーター

ジャガー・ルクルトのブースにて。これはミニッツリピーターの音をチェックする機械。10年ほど前に導入されたとのこと。

ジャガー・ルクルト レベルソ・ワールドタイマー

新作の「レベルソ ワルドタイマー」は、裏側にコティエ式のワールドタイムがある。聞けば、丸くくり抜いたサファイアの中心を薄く削り、そこにラッカーを流し込んで成形で作った地球をはめ込んでいる。途方もない手間だ。

ジャガー・ルクルト レベルソ

めちゃくちゃ欲しい。「レベルソ」に新しく加わったのが、ミラネーゼブレスのモデル。正直、このミラネーゼは今まで触ったどのものよりも良い。お値段642万4000円(税込み)は、高いけど、他に比べればありでは?

 そのあと、同社のCEOに帰り咲いたジェローム・ランベールさんにインタビュー。詳細は書けないけど、今後間違いなく面白いモデルが出てくる。会話の中で、何度もギュンター・ブリュームラインの名前が出てきたのは印象的だった。「最近は時計の市場が広がったけど、すべて知ってるような人は減ったね」とは彼の個人的な述懐である。僕に言う資格はないけど、同感。しかし、ランベールさんあんなに明るい人だったっけ?


セイコーの内藤社長にインタビュー→再びカルティエへ

 ランベールさんの後、15時半からセイコーの内藤昭男社長にインタビュー。穏やかだがキレッキレの人。アメリカ市場にグランドセイコーを定着させたのは改めて納得だ。詳細に話を聞いたので、ちょっとうかつには書けません。景気を聞いたところ「アメリカ市場は予測できませんね」とのこと。

グランドセイコー エボリューション9 コレクション スプリングドライブ U.F.A.

これはひょっとして2025年のベストになるかも。グランドセイコーの「エボリューション9 コレクション スプリングドライブ U.F.A.」。超絶年差スプリングドライブに、軽いブライトチタンの外装と、直径37mmの小ぶりなケースを持つ。これはやばい。

 16時15分から、カルティエのヘリテージを牽引するピエール・レネロさんと会う。完全なイギリス英語を使う紳士で、博覧強記ぶりは凄まじい。今年のデザインと、どうやって一貫性と多様性を確保したのかを聞く。個人的に推す「タンク」のMMサイズ(レーザー文字盤)が、彼の推しと一致していたのはうれしかった。理由は記事に書くつもり。

 ライネロさんのインタビューのあと、カルティエの商品撮影。タッチ&フィールでは十分な情報が得られないので、張り付いていろいろ聞く。改めて、抜けのなさではピカイチかも。しかも昔のように、製品から荒れがなくなった。

カルティエ タンク LM

カルティエの「タンク」に新しく加わったのがLMサイズ。といっても、今までのLMがMMとなり、その上に設けられた新サイズである。サイズ感はレベルソのトリビュートに近い。なんと自動巻きのCal.1899 MCを搭載。


カルティエのディナー→駅前でカップ焼きそば(日清麺)

 19時に仕事を終えた後、カルティエの皆さんとディナー。ロレックス本社のあるアカシア地区近くのフュージョン料理屋にて。渋滞で到着が45分遅れ、ディナーは19時半からスタート。終わりまでいたかったけど電車が間に合わないので、お酒はたった3杯(たった3杯だ)だけのみ、食事も早めに終わらせた。美味しかったのでもっとゆっくりしたかったわ。

 21時15分にアカシアからトラムに乗り、コルナバン駅でSBBに乗り換え、各駅停車に揺られて、22時16分にモージュ着。いよいよ食べるものがないので駅前のCoopでカップ焼きそば(日清製です!)と水を買い、ホテルで仕事をする。翌日1時就寝。寝る前にめちゃくちゃレオピンロイヤルを飲む。

帰りの電車にて、カルティエのディナーを早く抜けて、鈴木裕之さんとモージュに帰る。ふたりとも、ぐったりだわ。

ホテルから駅までの旅路。確かに景色は良いんだ、景色は。

スイスに来たら必ずこれは買う。Biottaの野菜ジュース。根菜が効いてて美味しいのだ。当然大人買いしました。

初日。ホテルのレストランが開いてなかったので泣きながらカップ麺を食べる。美味しゅうございます。


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