2025年 ヴァシュロン・コンスタンタンの新作時計を一気読み!

2025.04.04

2025年、創業270年を迎えるヴァシュロン・コンスタンタン。すでに今年はステンレススティール製の「222」がリリースされて大きな話題を呼んでいたが、さらにウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブで「トラディショナル」「パトリモニー」そして「レ・キャビノティエ」から新作モデルを発表。周年らしく、その顔触れは百花繚乱となっている。

ヴァシュロン・コンスタンタン 2025年新作


2025年新作時計①「トラディショナル」270周年モデル

 1755年に創業し、以来、一度も途切れることなく時計製造を続けてきたヴァシュロン・コンスタンタンは、今年で創業270周年を迎える。この周年を祝う特別な限定モデルが、ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブで8本登場した。そのうちの4本が特徴的なパターンを文字盤に備えた「トラディショナル」である。

ヴァシュロン・コンスタンタン パトリモニー

ヴァシュロン・コンスタンタン「トラディショナル・マニュアルワインディング」Ref. 82172/000P-H062
手巻き(Cal.4400 AS/270)。21石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。Ptケース(直径38mm、厚さ7.77mm)。3気圧防水。世界限定370本。541万2000円(税込み)。

ヴァシュロン・コンスタンタン パトリモニー

ヴァシュロン・コンスタンタン「トラディショナル・マニュアルワインディング」Ref.82172/000R-H118
手巻き(Cal.4400 AS/270)。21石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。18KPGケース(直径38mm、厚さ7.77mm)。3気圧防水。世界限定370本。389万4000円(税込み)。

 トラディショナルは、18世紀のスイス・ジュネーブにおける高級時計製造の厳格な伝統に敬意を表したコレクションで、高い技術水準に独特の時計製造の美学を融合させている。薄く優美なラウンドケースと細く仕立てられたベゼル、ドーフィン針はミニマルでありながらも、ポリッシュ面の多いケースや段差が設けられたラグ、そしてコインエッジが刻まれたケースバックなど、トラディショナルならではのディテールによって、独創的なドレスウォッチにもなっている。

 そんなトラディショナルに手巻きムーブメントを搭載した270周年モデルのトラディショナル・マニュアルワインディングは、文字盤に幾何学模様があしらわれていることが大きな特徴だ。1880年からヴァシュロン・コンスタンタンを象徴するマルタ十字から着想を得た模様。かつて、主ゼンマイが納められる香箱のカバーに取り付けられていたパーツのデザインがマルタ十字に似ていたことから、同社では精度への取り組みの象徴としてこのモチーフを扱ってきた。

ヴァシュロン・コンスタンタン パトリモニー

オーセンティックなシルバー文字盤には6時位置のスモールセコンドや文字盤外周のミニッツウェイトラックが溶け込んでおり、独特なパターンが与えられながらも、あくまでクラシカルなドレスウォッチのスタイルを守っている。

 周年モデルとして打ち出されたのは、プラチナまたは18Kピンクゴールドケースの腕時計。どちらも直径38mm、厚さ7.77mmと薄くエレガントだ。

 搭載されるムーブメントはCal.4400 AS/270。今回の周年モデルそれぞれに用意されたこのムーブメント、ブリッジに“コート・ユニーク”仕上げが施されている。この仕上げは1世紀以上も前にヴァシュロン・コンスタンタンによって生み出されていたが、2021年に「ヒストリーク・アメリカン 1921」を復刻させた際に改めて使われるようになった。複数のブリッジ上で途切れない、流れるようなラインの印象を与えるために、職人らは周年モデルのムーブメントごとに動作に対する正確な微調整を行った。ゆえに、この技巧の完成には500時間以上が費やされた。

トランスパレントバックからCal.4400 AS/270が鑑賞できる。コート・ユニーク仕上げのほか、同社の270周年を祝うエンブレムも刻印されており、さりげないながら周年にふさわしいムーブメントとなっている。パワーリザーブ約65時間と、実用性も兼ね備えていることがポイント。

 また、トラディショナルには華やかな周年モデルも追加されている。「トラディショナル・ムーンフェイズ」と「トラディショナル・マニュアルワインディング」の径33mmモデルだ。

ヴァシュロン・コンスタンタン「トラディショナル・ムーンフェイズ」

ヴァシュロン・コンスタンタン「トラディショナル・ムーンフェイズ」Ref.83570/000R-H060
手巻き(Cal.1410 AS/270)。22石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。18KPGケース(直径36mm、厚さ8.90mm)。3気圧防水。世界限定270本。717万2000円(税込み)。

ヴァシュロン・コンスタンタン「トラディショナル・マニュアルワインディング」

ヴァシュロン・コンスタンタン「トラディショナル・マニュアルワインディング」Ref.1405T/000R-H061
手巻き(Cal.1440 /270)。19石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。18KPGケース(直径33mm、厚さ7.70mm)。3気圧防水。世界限定270本。484万円(税込み)。

 どちらも18Kピンクゴールド製ケースにマザー・オブ・パールの文字盤が採用されており、さらにダイヤモンドがセッティングされた、エレガントで華やかなモデルだ。使われているダイヤモンドはムーンフェイズモデルがベゼルとラグに81個(約1.28ct)、33mm径モデルがベゼルに54個(約0.87ct)だ。

マザー・オブ・パール文字盤はさりげない光沢を放っており、ミニマルなエレガンスがこの意匠からも感じられる。もっとも、さりげない中にもしっかり周年モデル用のマルタ十字から着想を得たパターンがあしらわれており、特別な1本であることを感じさせる。

 どちらもピンクのアリゲーターレザーストラップが組み合わされており、ダイヤモンドやマザー・オブ・パールの輝きと相まって、手元を華やかに彩ってくれるだろう。

 なお、この両モデルもトランスパレントバックとなっており、特別なコート・ユニーク仕上げや丸マルタ十字から着想を得たモチーフを観賞することができる。


2025年新作時計②「パトリモニー」270周年モデル

「パトリモニー」からも、270周年モデルが4本登場した。「パトリモニー・ムーンフェイズ・レトログラード・デイト」と「パトリモニー・オートマティック」だ。

ヴァシュロン・コンスタンタン「パトリモニー・ムーンフェイズ・レトログラード・デイト」

ヴァシュロン・コンスタンタン「パトリモニー・ムーンフェイズ・レトログラード・デイト」Ref.4010U/000G-H057/4010U/000R-H117
手巻き(Cal.2460 R31L/270)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。18KWGまたは18KPGケース(直径42.5mm、厚さ9.7mm)。3気圧防水。世界限定各270本。各783万2000円(税込み)。

ヴァシュロン・コンスタンタン「パトリモニー・オートマティック」

ヴァシュロン・コンスタンタン「パトリモニー・オートマティック」Ref.85180/000G-H035/85180/000R-H116
自動巻き(Cal.2450 Q6/270)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。18KWGまたは18KPGケース(直径40mm、厚さ8.65mm)。3気圧防水。世界限定各270本。各514万8000円(税込み)。

 パトリモニーは、1950年代にヴァシュロン・コンスタンタンが製造していた超薄型ラウンドケースを持った腕時計から着想を得たコレクションだ。トラディショナル同様、クラシックかつミニマルなスタイルが特徴的で、細身のベゼルや薄型のラウンドケース、わずかにドーム形状となった文字盤やその文字盤上に配されたアプライドインデックスおよびバトン型針が、フォーマルシーンにふさわしい装いの、オーセンティックなドレスウォッチとなっている。

ヴァシュロン・コンスタンタン「パトリモニー・オートマティック」

レトログラード式のデイトと扇形のムーンフェイズに270周年記念モデルの意匠が加わることで、シンプルな中にも洗練されたキャラクターが付加されている。なお、この高精度ムーンフェイズの調整が必要なのは122年に一度のみだ。

 搭載するムーブメントはパトリモニー・ムーンフェイズ・レトログラード・デイトが手巻きのCal.2460 R31L/270、パトリモニー・オートマティックが自動巻きのCal.2450 Q6/270。自動巻きムーブメントのローターにも、同社の象徴であるマルタ十字モチーフが使われている。

 なお、すべての270周年モデルのケースバックには、個別のシリアルナンバーが刻まれている。


2025年新作時計③「トラディショナル・オープンフェイス」270周年モデル

 長い歴史の中で、オープンワーク文字盤の製造も早い段階から行ってきたヴァシュロン・コンスタンタン。1918年、天体カレンダーを搭載した懐中時計でオープンワークを部分的に施した文字盤を採用し、その後2002年、Ref.47247でこのオープンワークというスタイルの文字盤を復活させたレトログラード日付表示モデルを製造。2019年の「トラディショナル・ツインビート・パーペチュアルカレンダー」や2021年の「「トラディショナル・コンプリートカレンダー・オープンフェイス」、そして2023年の「トラディショナル・トゥールビヨン」へとつながっていく。

 そんな、同社にとって特別な技術遺産であるオープンワークが、270周年の節目のスタイルとして選ばれたのは当然かもしれない。機構を“見せる”、特別なモデルがプラチナ製ケースを携えて3種、登場している。

ヴァシュロン・コンスタンタン「トラディショナル・パーペチュアルカレンダー・レトログラード・デイト・オープンフェイス」

ヴァシュロン・コンスタンタン「トラディショナル・パーペチュアルカレンダー・レトログラード・デイト・オープンフェイス」Ref.4030T/000P-H054
自動巻き(Cal.2460 QPR31/270)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。Ptケース(直径41mm、厚さ10.94mm)。3気圧防水。世界限定370本。1733万6000円(税込み)。2025年7月発売予定。

ヴァシュロン・コンスタンタン「トラディショナル・トゥールビヨン・レトログラード・デイト・オープンフェイス」Ref.6010T/000P-H055
自動巻き(Cal.2162 R31/270)。30石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約72時間。Ptケース(直径41mm、厚さ11.07mm)。3気圧防水。世界限定370本。3036万円(税込み)。2025年7月発売予定。

ヴァシュロン・コンスタンタン「トラディショナル・トゥールビヨン・レトログラード・デイト・オープンフェイス」

ヴァシュロン・コンスタンタン「トラディショナル・コンプリートカレンダー・オープンフェイス」Ref.4020T/000P-H038
自動巻き(Cal.2460 QCL/270)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。Ptケース(直径41mm、厚さ6.35mm)。3気圧防水。世界限定370本。1038万4000円税込み)。2025年4月発売予定。

 オープンワークに加えて、「トラディショナル・パーペチュアルカレンダー・レトログラード・デイト・オープンフェイス」とトラディショナル・トゥールビヨン・レトログラード・デイト・オープンフェイス」には、レトログラード日付表示が備わっていることも特筆すべき点だ。1940年、「ドン・パンチョ」の愛称で親しまれたRef.3620という個体があったという。ずっと沈黙していたこのドン・パンチョは、2019年のオークションで再びその姿を現した。2000年代初頭、創業245周年を迎えたヴァシュロン・コンスタンタンは、レトログラード日付表示を搭載したタイムピースを打ち出しており、2019年の“再会”と相まって、レトログラード日付表示は同社にとって特別な機構のひとつとなったのだ。

ヴァシュロン・コンスタンタン「トラディショナル・パーペチュアルカレンダー・レトログラード・デイト・オープンフェイス」

複雑機構を搭載しながらも、ケースは薄く仕立てれている。また、与えられた高級腕時計らしい繊細な仕上げが、所有欲を刺激する。

 3モデルすべてのプラチナケースはトラディショナルらしいラグやケースバック、細身のベゼルを備えている。一方で文字盤には270周年モデル独特のパターンがあしらわれており、オープンワークフェイスと調和している。

 もちろんケースバックもシースルーで、コート・ユニークやマルタ十字のモチーフの刻印といった、270周年記念モデルの仕様を楽しめる。

 各モデルは世界限定370本の生産。ヴァシュロン・コンスタンタンが長年培ってきたウォッチメイキングが結実したような名品たちである。


2025年新作時計④「レ・キャビノティエ・ソラリア・ウルトラ・グランドコンプリケーション -ラ プルミエール-」

 270周年の節目として、ヴァシュロン・コンスタンタンからさらなる驚きの新作時計が披露されている。同社が「これまでにない最も複雑な腕時計」と称する、41の機構を搭載する超弩級のコンプリケーション「レ・キャビノティエ・ソラリア・ウルトラ・グランドコンプリケーション -ラ プルミエール-」だ。本作に搭載される機能とは、パワーリザーブ表示やクロノグラフ、永久カレンダーやムーンフェイズ、トゥールビヨンといったなじみのあるものから、時を測る計器として3つの“時”を文字盤の両面を使って同時に表示しつつ、天文学、特に太陽と地球、月の位置関係に起因する天体現象と、星空に目当ての星が表れるまでの時間を表示する機能など、とても多岐にわたる。

ヴァシュロン・コンスタンタン「レ・キャビノティエ・ソラリア・ウルトラ・グランドコンプリケーション -ラ プルミエール-」

ヴァシュロン・コンスタンタン「レ・キャビノティエ・ソラリア・ウルトラ・グランドコンプリケーション -ラ プルミエール-」Ref.9600C/000G-231C
自動巻き(Cal.3655)。204石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。18Kホワイトゴールドケース(直径45mm、厚さ14.99mm)。ユニークピース。

 特筆すべきは、Cal.3655が実現する特徴的な3つの“時”の表示と、天体機能だ。

 まず3つの“時”の表示のうちひとつ目は“常用時”で、これは我々が一般的に“時刻”として取り扱っている時間であり、表面のセンター時分針によって表示される。本作では、地球上の地点によって異なる時刻を同時に示すワールドタイムと、第2時間帯表示も併せて備えている。

 ふたつめは“恒星時”である。恒星時での1日にあたる1恒星日は、天球上に固定された恒星を基準として地球が360度自転する周期を指し、その周期とは23時間56分4秒である。地球が1回自転する24時間との差は、地球が太陽を中心とした公転によって移動することから生じるもので、季節や星空の移ろいとかかわりの深いものである。この恒星時の表示は時計裏側に配置され、分は外周部、時はその下に配された回転ディスクによって表している。

 3つめは“太陽時(回帰時)”である。太陽時は太陽が天頂を通過する時刻を正午とする時刻で、日時計によって知ることができる時刻と言い換えることができる。天頂の通過から次に天頂に到達するまでの間隔が1太陽日となるが、その長さは季節によって変動し、24時間に対して差異を生じる。これが均時差である。本作の表面6時位置にはカウンターに均時差を表示しており、常用時と組み合わせることで太陽時を知ることができる仕組みとなっている。

ヴァシュロン・コンスタンタン「レ・キャビノティエ・ソラリア・ウルトラ・グランドコンプリケーション -ラ プルミエール-」

傑出したメカニズムにも驚かされるが、審美性や視認性にも配慮されているところから、ヴァシュロン・コンスタンタンのウォッチメイキングの姿勢が垣間見える。

 時に関する機能としては、前述の通り永久カレンダーも備える。その表示は、4桁の年表示と閏年表示、月日、曜日に加え、カレンダーや時刻の表記の規格であるISO 8601に準拠する週番号、曜日番号も同時に表示されている点が特徴だ。

 次に、Cal.3655の天文学に関する5つの複雑機構に注目しよう。5つのうち4つは太陽の見かけ上の動きに関連したもので、いずれも時計の表面に備わっている。それぞれ太陽について、“位置”、“高度”、“南中時刻”、“赤緯”である。そして5つめの機構が、腕時計への搭載が世界初となる“天体の時間追跡”機能である。

ヴァシュロン・コンスタンタン「レ・キャビノティエ・ソラリア・ウルトラ・グランドコンプリケーション -ラ プルミエール-」

裏面からも見事な美観が広がる。なお、この星座盤ディスクはブラックがかったサファイアクリスタル製となっているため、ムーブメントの機構ものぞくことができる。

 天体の時間追跡機能は、ある天体、あるいは星座がユーザーの視野の中央に現れるまでの時間を表示するものであり、この機能は時計裏面のスプリットセコンドクロノグラフと星座盤を組み合わせて実現している。ユーザーは追跡したい天体等を選んでおき、クロノグラフをスタートさせる。クロノグラフ秒針が星座盤上のグリーンの基準印に到達したら最初の針を停止させ、もう一方の針は選んだ天体等の位置で停止させる。この時、文字盤中央の小さなカウンターには、天体が目前に現れるまでの時間が指し示される仕組みである。

 このほか本作には、13星座と季節、春分、夏至、秋分、冬至(これらは太陽時と深く関わっている)を示す回転ディスクも備えている。

 さらにCal.3655にはウェストミンスター ミニッツ・リピーター機構が備わっている。ヴァシュロン・コンスタンタンはミニッツ・リピーター機構の製作経験が豊富であることは言うまでもないが、本作では、非常に多くの機能を実現する機構と両立させつつ、時計内で共鳴する軽やかな打鐘音を実現している。

外装からは観賞できないが、トゥールビヨンキャリッジがヴァシュロン・コンスタンタンの象徴であるマルタ十字のモチーフとなっていることも特筆すべき点だ。

 なお、Cal.3655はムーブメントの直径が36mm、厚さは10.96mmであり、直径45mm、厚さ14.99mmの18Kホワイトゴールド製ケースに収められた、実用的なサイズ感に仕立てられている点である。このサイズを実現するためには、表示部と操作系、ムーブメント内の部品配置が最適でなければならず、本作ではムーブメント担当の時計師がケースの技術開発を手掛けている。


2025年新作時計⑤「レ・キャビノティエ –トゥール・ド・リルへ敬意を表して-」

「レ・キャビノティエ –トゥール・ド・リルへ敬意を表して-」と題して、ローヌ川上の小島に位置する「トゥール・ド・リル」をそれぞれ異なる手法で描き出した3モデルが発表された。

ユニークピースを手掛ける、ヴァシュロン・コンスタンタンの専門部署アトリエ「レ・キャビノティエ」。前述した複雑機構はもちろん、「レ・キャビノティエ –トゥール・ド・リルへ敬意を表して-」のような、工芸品のような美をつくり出す職人技や芸術性が感じられる特別なコレクションである。

 ローヌ川はヨーロッパ最大の湖であるレマン湖より連なり、そのほとりにジュネーブは位置している。ジュネーブは、中世からルネサンス期にかけてヨーロッパの南北を結ぶ重要なルート上の検問所や経由地として発展した歴史を持つ。フランス語で“島の塔”を意味するトゥール・ド・リルは、軍事的にも経済的にも要衝となるジュネーブを守るために13世紀に建築された城砦の一部であり、その後のジュネーブを見守り、そして親しまれる存在となっていった。18世紀にはジュネーブは宝飾品、装飾芸術品、そして時計産業の地として発展。そして、1755年に工房を開いたのがジャン=マルク・ヴァシュロンであり、これがヴァシュロン・コンスタンタンの起源である。

 1843年、メゾンはトゥール・ド・リルに工房を置き、1906年には最初のブティックをトゥール・ド・リル内にオープンさせている。このように、ジュネーブおよびヴァシュロン・コンスタンタンの歴史にはトゥール・ド・リルが深く関わっているのだ。

 そして、ジャン=マルク・ヴァシュロンによる1755年の工房開設から270周年となる今年に発表された「レ・キャビノティエ –トゥール・ド・リルへ敬意を表して-」の3モデルは、このトゥール・ド・リルをそれぞれ異なる手法で描き出した3つのユニークピースである。

ヴァシュロン・コンスタンタン「レ・キャビノティエ –トゥール・ド・リルへ敬意を表して- グラン・フー・ミニアチュール・エナメル」

ヴァシュロン・コンスタンタン「レ・キャビノティエ –トゥール・ド・リルへ敬意を表して- グラン・フー・ミニアチュール・エナメル」Ref.2400C/000P-418C
自動巻き(Cal.2460)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。Pt950ケース(直径40mm、厚さ9.42mm)。3気圧防水。ユニークピース。

「レ・キャビノティエ –トゥール・ド・リルへ敬意を表して- グラン・フー・ミニアチュール・エナメル」は、グラン・フーエナメルの文字盤に、ミニチュア―ル・エナメルペイントによってトゥール・ド・リルと、その前に広がるベル・エール広場を描いた1本である。この図柄は、19世紀の画家ジャン・デュボワが描いてスペングラー社が印刷した石販印刷を元にしたものだ。本作ではこの原画を元に、18世紀にジュネーブで発展したミニチュア―ル・エナメル技法を用いて、透明感や立体感のある文字盤に仕立てられた。

 エナメルの技法では、焼成によって顔料の色調が変わってしまうことがあるため、本作は製作前に繰り返しテストが行われた。また、製作が始まっても白いエナメルによる下地作りに始まり、1層分の絵を描いた後に焼成し、また描くことが繰り返し行われており、本作の完成には1ヵ月以上も費やされた。

ヴァシュロン・コンスタンタン「レ・キャビノティエ –トゥール・ド・リルへ敬意を表して- フィギュラティブ・ギヨシェ&グラン・フー・ミニチュア―ル・エナメル」

ヴァシュロン・コンスタンタン「レ・キャビノティエ –トゥール・ド・リルへ敬意を表して- フィギュラティブ・ギヨシェ&グラン・フー・ミニチュア―ル・エナメル」Ref.2400C/000P-420C
自動巻き(Cal.2460)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。Pt950ケース(直径40mm、厚さ9.42mm)。3気圧防水。ユニークピース。

「レ・キャビノティエ –トゥール・ド・リルへ敬意を表して- フィギュラティブ・ギヨシェ&グラン・フー・ミニチュア―ル・エナメル」は、手作業によるギヨシェ彫りとミニチュア―ル・エナメル技法を組み合わせて塔の姿を描き出した1本だ。ギヨシェ彫りとして一般的に想起されるものは幾何学的模様が連続するデザインであるが、ヴァシュロン・コンスタンタンが培ってきた技術は、より精密で、自由度の高いデザインを実現可能なものだ。この技法は、直線を刻む1台の手動ギヨシェ彫り機と、曲線や円を刻むもう1台の手彫り機を巧みに組み合わせて操ることで実現するものである。

 本作では、18Kイエローゴールド製の文字盤の上に、遠近法に従って描かれた立体的な塔の姿が刻まれている。ここにグラン・フー・ミニチュア―ル・エナメル技法によって塔に陰影を与えるように彩色して、本作の文字盤を仕上げている。ミニチュア―ル・エナメルを最小限に抑えることで、緻密で、メゾン独自のギヨシェ彫り技法を際立たせた仕上がりが見どころであろう。

「レ・キャビノティエ –トゥール・ド・リルへ敬意を表して- エングレービング」Ref.2400C/000R-412C 自動巻き(Cal.2460)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。18Kピンクゴールドケース(直径40mm、厚さ9.42mm)。3気圧防水。ユニークピース。

ヴァシュロン・コンスタンタン「レ・キャビノティエ –トゥール・ド・リルへ敬意を表して- エングレービング」Ref.2400C/000R-412C
自動巻き(Cal.2460)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。18Kピンクゴールドケース(直径40mm、厚さ9.42mm)。3気圧防水。ユニークピース。

「レ・キャビノティエ –トゥール・ド・リルへ敬意を表して- エングレービング」は、浅浮き彫りによってローヌ川と塔の姿を描き出した1本である。本作は、1822年にピエール・エスキュイエによって製作された、トゥール・ド・リルの前に架けられた橋の彫金から着想を得たものである。

 本作はケースの厚さ9.42mmと薄型の仕立てであり、文字盤上で許された高さ方向の余裕は1ミリ程度と極僅かである。本作では立体的に風景を描き出すため、モチーフがわずかに表面から浮き出るような繊細なだまし絵効果を与えている。また、建造物のアウトラインや窓枠などはくっきりとした表現で、街路樹や雲、レンガ造りの壁面では柔らかな質感を与えてコントラストを加えており、緻密でありながら優しい印象を受ける仕上がりとなっている。


Contact info:ヴァシュロン・コンスタンタン Tel.0120-63-1755


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