2025年4月22日にリリースされた、「MR-G」の最新“フロッグマン”を着用レビュー。2023年のファーストモデル「MRG-BF1000R」が出た時よりも新鮮味は上回ったという、その理由とは?
Photographs & Text by Yuzo Takeishi
[2025年4月22日公開記事]
G-SHOCK「MRG-BF1000RG」を着用レビュー
G-SHOCKの中でも高い人気を誇るフロッグマンを、最高峰シリーズ「MR-G」のクォリティで作り上げた「MRG-BF1000R」が発売されたのは2023年のこと。その後、MR-Gフロッグマンは限定モデルも含めてバリエーションを拡充しており、今回インプレッションした「MRG-BF1000RG」もそのひとつにあたる。確かに従来モデルとの違いはルックスのみではあるのだが、ケースとストラップのカラーを一新したことで、本作はMR-Gフロッグマンに新しい魅力を与えている。
ゴライアスガエルをイメージした新鮮な色使い
特徴的な左右非対称のフォルムはそのまま、外装パーツを76個に分割することで細かな箇所にも徹底した研磨を施し、一方では優れた耐衝撃性能やISO規格に準拠した200mの潜水用防水も実現。最高峰シリーズにふさわしい仕上げと性能を両立したことで、コアなG-SHOCKファンからも好評を得ているのがMR-Gフロッグマンだ。2023年3月にデビューし、直後にはフロッグマン初のイエローバージョン「DW-6300-9」をベースとした限定モデルもリリース。翌2024年にはチタン製ブレスレットを組み合わせたモデルを追加するなど、着実にラインナップを増やしてきた。その最新作として発表されたのがMRG-BF1000RGだ。
タフソーラー。フル充電時約29カ月駆動(パワーセーブ時)。Ti(縦56×横49.7mm、厚さ18.6mm)。200m防水。57万2000円(税込み)。2025年5月23日(金)発売。
確かにMR-Gフロッグマンの登場は衝撃的だったが、デザインに関して言えば、その新鮮味はMRG-BF1000RGが圧倒的に上回っているように感じる。
ファーストモデルのMRG-BF1000Rはブラックをベースに、ダイバーズモデルらしく、海を想起させるブルーをアクセントカラーに使用。2024年に発売された「MRG-BF1000B」もG-SHOCKのキーカラーであるレッドを配すなど、いずれのモデルもG-SHOCK、そしてフロッグマンにふさわしいルックスにまとめていた。
しかし、新作ではチタン製ケースをシルバー色に一新。ストラップは世界最大のカエル、ゴライアスガエルをイメージしたというカーキで彩り、さらには秒針やダイアル3時位置のモード針をオレンジに彩色することにより、ツールウォッチとしての印象を強めている。筆者にとっては、初めて手にしたG-SHOCKが「DW-6000CJ」のグリーンであったことから、グリーンやカーキといった色合いのG-SHOCKを好んでしまうのだが、やはりミリタリーやアウトドアの印象が強いカーキは、マッシブな造形のG-SHOCKによく似合う。ダイバーズウォッチとしてのパフォーマンスは保持しつつも、カシオが言う「大人のアドベンチャーマインドを刺激するカラー&デザイン」を取り入れたことで、フロッグマンのデザインの振り幅を拡げることにつながったのではないだろうか。
確かなフィット感が得られるデュラソフトバンド
ちょうど1年前になるが、webChronosのインプレッション企画でチタン製ブレスレットを採用したMRG-BF1000Bの実機レビューを行った(記事:https://www.webchronos.net/features/111989/)。一方、今回のMRG-BF1000RGはMR-Gフロッグマンの初作と同様、デュラソフト(フッ素ラバー)製のストラップを組み合わせたモデルだ。H駒のピッチを短く設計したチタン製ブレスレットは軽量で手首への馴染みもよく、快適な着け心地だったことを覚えているが、こちらのデュラソフトバンドもまた、装着感の高さを実感できる。
デュラソフトバンドは厚みがあり耐久性も高いように感じられるが、そのしっかりとした見た目に反して質感は実にしなやか。しかもケースは縦56×横49.7mmとかなり大きいサイズであるにも関わらず、ケースとストラップとの接合部は可動域が広いため、時計と手首の間には隙間が生まれず、まるであつらえたかのように手首にぴったりとフィットする。つまり、腕を激しく動かしても、時計がズレないのだ。もちろん従来モデルと同じくケース素材にはチタンを用いているため、マッシブなルックスからは想像できないほど軽快。長時間着けていても煩わしさを感じないこともまた、本作の魅力だ。
プッシュボタンやリュウズの操作性にも配慮がうかがえる
操作感についても、プロフェッショナル用のダイバーズウォッチをベースとしているだけに、ユーザーに配慮した設計になっている。4カ所に配置されたプッシュボタンは大きめにデザインされているので押しやすく、一方ではしっかりと押し込まないと各機能が作動しないため、アクティビティーの際に誤操作する心配もない。また、ねじ込み式のリュウズは1段引きでローカルタイム、2段引きでホームタイムをそれぞれ設定できるのみならず、リュウズを前後に回すことで時間の送り/戻しが直感的に行えるのも使いやすい。
もうひとつ、ユニークかつ便利なのが、G-SHOCKの他モデルにも使われている針退避機能。ダイアルの構成要素が多いモデルにおいて、針を一時的に移動させてインダイアルの表示を見やすくする機能だが、本作でも10時位置のプッシュボタンを操作することで時分針がインダイアルに重ならない位置に動き、判読しやすくしてくれる。特に、7-8時位置の第2時間帯表示を確認したいときには有用な機能だ。
もちろん、G-SHOCKのコアである耐衝撃構造や、ISOに準拠した200mの潜水用防水といった性能は既存のMR-Gフロッグマンを踏襲。そのため、日常はもちろん、アウトドアアクティビティーでも安心して着用できる。こうした高い基本性能を有しながら、フロッグマンの名を冠したモデルとしては、実に新鮮なカラーリングを取り入れているのが、本作における最大の持ち味だろう。
MR-Gフロッグマンが発表された際、筆者は1993年に発売されたフロッグマンの初号機「DW-6300」を踏襲した色使いのモデルが展開されることを期待した。それは図らずもDW-6300-9をベースとした限定バージョンでかなえられたが、その後、果たしてMR-Gフロッグマンに新色が追加されるのかは、気になる点ではあった。結果としてアナウンスされたのは、マッドマスターやマッドマンといった“陸G”を想起させる、カーキ色をフィーチャーしたモデル。サプライズなデザインではあったが、マッシブな造形のフロッグマンだからこそ実はこうした色使いが欲しかったのだと、実機を手にして感じた。