2025年に発表された新作腕時計のうち、買うべきドレスウォッチはこれだ!

2025.04.10

時計業界最大の新作見本市ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブが開催されたこともあり、各社の新作腕時計が一通りそろった(と思われる)2025年。今年も各社から、さまざまなモデルがリリースされている。そのうち、ドレスウォッチに絞って傑作を5本選出。A.ランゲ&ゾーネやジャガー・ルクルトなど、良いスーツを着たくなるような、そんな腕時計を選んでいる。

佐藤しんいち:文
Text by Shinichi Sato
[2025年4月10日公開記事]


2025年の新作腕時計から、注目のドレスウォッチを選ぶ

 2025年に発表された新作モデルのうち、注目のドレスウォッチ5本を紹介する。ラグジュアリースポーツウォッチのブームを経て、再び注目されるようになったこのクラシックなジャンル。クラシックとはいえ、現在はムーブメントの性能や外装の質が向上したことで、実用性は高まり、またそのバリエーションもいっそう豊富になっている。そんなドレスウォッチに絞って、良いスーツを着たくなるようなという基準の下、A.ランゲ&ゾーネやジャガー・ルクルト、ロレックスなどから特筆すべき新作モデルを選んだ。


A.ランゲ&ゾーネ「1815」

A.ランゲ&ゾーネ「1815」Ref.220.028

A.ランゲ&ゾーネ「1815」Ref.220.028
手巻き(Cal.L152.1)。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。18KPGケース(直径34.0mm、厚さ6.4mm)。3気圧防水。385万円(税込み)。

 ドレスウォッチを得意とするA.ランゲ&ゾーネのラインナップの中でも、注目は名作「1815」に追加された新サイズの34mmモデルである。従来モデルはケース径38.5mmで、これはクラシカルでありながら現代的な、バランスの取れたサイズであった。これに対して新作の34mmは現代基準ではかなりコンパクトで、1950年代初頭までを思わせるサイズ感である。時計仕上がり厚さもわずか6.4mmだ。文字盤は時分針とスモールセコンドが配置され、シンプルかつクラシカルだ。

 文字盤色はA.ランゲ&ゾーネがこれまでさまざまな名作に与えてきたブルーだ。時分針とスモールセコンドとシンプルであるが故に文字盤の仕上がりの良さが際立っており、文字盤中央部、スモールセコンド部の高さを僅かに変え、翼面形状のような曲面が与えられたランセット型針によって、狭い空間の中に立体感が加えられている。

A.ランゲ&ゾーネ「1815」Ref.220.028

今般紹介する18KピンクゴールドモデルのRef.220.028の他に、18KホワイトゴールドモデルのRef.220.037が用意される。

 このコンパクトなパッケージングを実現するため、新開発の手巻きムーブメントCal.L152.1が搭載されている。4分の3プレートや青焼きネジ、ゴールドシャトン、彫金を施したテンプ受けなど、グラスヒュッテとA.ランゲ&ゾーネの伝統を色濃く引き継ぎつつ、フリースプラングを採用し、パワーリザーブは約72時間と、現代的な一面も兼ね備える。これらは、A.ランゲ&ゾーネが標榜する「NEVER STAND STILL(決して立ち止まらない)」のスタンスが反映されている点と言えるだろう。


ジャガー・ルクルト「レベルソ・トリビュート・モノフェイス・スモールセコンド」

ジャガー・ルクルト レベルソ・トリビュート・モノフェイス・スモールセコンド

ジャガー・ルクルト「レベルソ・トリビュート・モノフェイス・スモールセコンド」Ref.Q713216J
手巻き(Cal.822)。19石。2万1600振動/時。18KPGケース(縦45.6×横27.4mm、厚さ7.56mm)。3気圧防水。642万4000円(税込み)。

 出自はスポーツだが今やドレッシーなモデルとして受け入れられているジャガー・ルクルトの「レベルソ」コレクション。その中でもひと際ドレッシーなピンクゴールドモデルが発表された。

 発表された「レベルソ・トリビュート・モノフェイス・スモールセコンド」は、18Kピンクゴールドケースに、ピンクゴールド製のミラネーゼブレスレットを組み合わせたモデルだ。このブレスレットはヴィンテージウォッチで見られることの多いもので、細かなリンクをつなぎ合わせていることで凹凸を持ち、柔らかく煌びやかな光の反射が生まれることが特徴である。クラスプはスライド式で、調整の自由度が高く、良好な着用感が期待できる。また、本作の文字盤もゴールドカラーに仕立てられており、ゴールドモノトーンと、非常に華やかなモデルとなっている。

ジャガー・ルクルト レベルソ・トリビュート・モノフェイス・スモールセコンド

アイコンである回転式のケースも健在。その機構の完成度も、かつてに比べて飛躍的に向上している。

 時計の仕上がり厚さは7.56mmで、わずかな(そして効果的な)アップデートが行われたラグアタッチメントによってブレスレットとラグのラインがつながり、ケースとブレスレットの一体感が増している。搭載される手巻きムーブメントは伝統的なCal.822で、ファンならばこの点も魅力に映ることだろう。

 オールゴールドを日々のコーディネートに取り入れる時、本作だけが持つ特有の華やかさとエレガントさで、代えがたい魅力を持つ1本となることだろう。


カルティエ「タンク ルイ カルティエ」

カルティエ「タンク ルイ カルティエ」Ref.CRWGTA0346

© Cartier
カルティエ「タンク ルイ カルティエ」Ref.CRWGTA0346
自動巻き(Cal.1899 MC)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。18KPGケース(縦38.1×横27.75mm、厚さ8.18mm)。日常生活防水。236万2800円(税込み)。

 1922年に誕生し、今なお角型ドレスウォッチの代名詞であるカルティエ「タンク ルイ カルティエ」に新たなラージサイズモデルが加わった。伝統的な「LMサイズ」が縦33.7mm、横25.5mmであったのに対し、新サイズでは縦38.1mm、横27.75mmとなる。ちなみに、先に紹介した「レベルソ・トリビュート・モノフェイス・スモールセコンド」はレベルソの中でもコンパクトなモデルであり、そのサイズがラグを含む縦45.6mm、横27.4mmである。これと見比べると、本作が従来よりも大きい新サイズといっても大きすぎることは無く、トレンドを取り入れつつタンクらしいドレッシーさのあるモデルに仕上がっていることが分かる。

カルティエ「タンク ルイ カルティエ」Ref.CRWGTA0346

「タンク ルイ カルティエ」に追加されたラージサイズモデル。タンクの持つ均整の取れたプロポーションや文字盤デザインを引き継いでいる点は、さすがカルティエ。

 文字盤デザインは従来を引き継いだ均整のあるもので、新たな意匠として放射状に広がるパターンが与えられて躍動感が加わっている。搭載されるムーブメントは、カルティエが誇る次世代の自動巻きムーブメントのCal.1899 MCだ。自動巻きモデルでありながら時計の仕上がり厚さは8.18mmに抑えられており、こちらでもタンク ルイ カルティエのエレガントさが保たれている。

 今回紹介した18Kローズゴールドモデルの他に、伝統的な18Kイエローゴールドケースモデルが用意される。


ロレックス「パーペチュアル 1908」

ロレックス「パーペチュアル 1908」Ref.52508

ロレックス「パーペチュアル 1908」Ref.52508
自動巻き(Cal.7140)。38石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約66時間。18KYGケース(直径39mm)。50m防水。527万3400円(税込み)。

 ロレックス「パーペチュアル 1908」に初となるブレスレットモデルが追加された。パーペチュアル 1908は、パーペチュアルローターを採用した初期のロレックス ウォッチのひとつからインスピレーションを得た新たなコレクションとして2023年に発表されている。なお、“1908”は“Rolex”の商標がスイスで正式に登録された年にちなんだものだ。その外観からは、フルーティングが施されたドームベゼルやポンティフ針、ファセット加工のアワーマーカー、スモールセコンドといった新しいデザインコードが見て取れる。

 今般発表された新作は、それらのデザインコードはそのままに、18Kイエローゴールドケースに、7列リンクのイエローゴールド製ブレスレット「セッティモブレスレット」を組み合わせている。これは、パーペチュアル 1908専用に新開発されたもので、リンクの柔らかな曲面と、リンクの接合によって表れる縦方向の直線が対比を成し、クラシカルでありながら非常にモダンな印象を受ける仕上がりをかなえているのだ。ロック機構は、クラスプ部が目立たないコンシールドタイプで、この特徴的なリンクが手首を包むようなデザインとなる。ロック部にはクラウンがあしらわれる。

 このブレスレットはパーペチュアル 1908用に設計された“初物”ということになるが、ブレスレットの設計・製造を得意とするロレックスであるので、その完成度には期待して良さそうだ。ドレッシーなブレスレットモデルを求める方は要注目である。


シチズン「エコ‧ドライブ ワン」

シチズン「エコ‧ドライブ ワン」Ref.AQ5022-02E

シチズン「エコ‧ドライブ ワン」Ref.AQ5022-02E
光発電エコ‧ドライブ(Cal.8845)。SSケース(直径36.6mm、厚さ4.5mm)。日常生活防水。36万3000円(税込み)。

 ムーブメント厚さ1.00mm、時計仕上がり厚さ4.5mmの超薄型モデルである「エコ・ドライブ ワン」に、新色となるケースカラーのアンバーイエローの新作が発表された。ケースはステンレススティール製で、本作を含む各モデルは表面硬化技術のデュラテクトを施すことで魅力的なカラーを生み出している。

 新色のアンバーイエローに注目しよう。色調は落ち着いたイエローゴールドカラーであり、ブラックの文字盤とのコーディネートによって、本作はクラシカルやヴィンテージライクな印象に仕上がっている。アンバーイエローの名は、樹木から出た樹液が化石化した“琥珀(アンバー)”にちなんでおり、肌への優しさや高い硬度、美しい外観からインスピレーションを受けている。また、長い年月をかけて生み出される琥珀のように、“長年の使用に伴って愛着がわくように”という想いが込められたカラーだ。

 一般的な金めっきではニッケルが用いられることが多く、これがアレルギーを引き起こす要因のひとつとなっている。アンバーイエローを実現するにあたり、アンバーの“肌への優しさ”を実現するためにニッケルを用いず、ニオブチタン合金によって金色を実現している点が大きな特徴だ。さらに、アンバーイエローはデュラテクトの中でもトップクラスの硬さを誇り、一般的な金メッキと比べて10倍から20倍の耐傷性を実現している。

 文字盤は、センターの時分針と広く取られたスモールセコンドでシンプルかつドレッシーなデザインである。スケール部の仕上げを変え、時分針の半分で仕上げを変えるなどして、細やかに視認性を高める工夫が加えられている点にも注目である。


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