メテオライトの結晶構造を際立たせた文字盤に月隕石を用いたムーンフェイズ、アポロ11号による月面着陸時の星空をデザインに取り入れるなど、宇宙とのつながりを表現した新作が追加された。

鉄隕石特有の結晶構造を際立たせたメテオライト文字盤を採用した新作。6時位置のムーンフェイズにはカボション状の月隕石が用いられ、南北両半球の月相を表示する。新開発の手巻きムーブメント、Cal.9914を搭載するのもポイントだ。手巻き(Cal.9914)。45石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径43mm、厚さ13.6mm)。50m防水。264万円(税込み)。
Edited by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2025年3月号掲載記事]
メテオライトと月隕石が印象的な「スピードマスター」
オメガによる新作「スピードマスタームーンフェイズ メテオライト」は、オメガが果たしてきた宇宙開発への貢献や宇宙とのつながりを表現すべく、鉄隕石を文字盤に採用したモデルだ。隕石の多くは、太陽系が形作られる頃に生じた小惑星であり、鉄隕石は何らかの衝撃で飛散した天体の核の一部とされている。この中には、鉄の他にニッケルが多く含まれ、宇宙空間で極めて長い時間をかけて冷却されることで特有の結晶構造が生じる。本作ではこの結晶構造を際立たせるため、ガルバニックグレーもしくはブラックPVDを文字盤に施し、2型で展開している。

スピードマスター ムーンフェイズ メテオライトに搭載されるムーブメントは、新開発の手巻きキャリバー9914だ。当然、コーアクシャル脱進機を採用し、マスター クロノメーターの認定も取得している。最大の特徴は6時位置にムーンフェイズ表示を備えていること。本作のムーンフェイズはカボションシェイプの月隕石がふたつあしらわれ、南北両半球の月相を表示している。また、ムーンディスクに背景として描かれる星空は、1969年のアポロ11号の月面着陸の際に、スイスのビエンヌに位置するオメガ本社から見上げた星空を再現したものとなっている。このほか、3時位置には60分と12時間積算計、9時位置にはスモールセコンド表示とポインターによる日付表示が同軸で配される。
マスター クロノメーターに準拠する極めて高い耐磁性能や実用精度を確保しながら、さまざまなバリエーションを開発し、しかもそれを安定的に量産するオメガ。スピードマスター ムーンフェイズ メテオライトは、そんなオメガの凄みを改めて感じさせてくれるモデルだ。