2025年に発表されたダイバーズウォッチより、5本のモデルを厳選して紹介する。今年も、独自の素材や機構、語れる歴史など、各社ならではの独自性を備えた新作が多数登場した。
Text by Tsubasa Nojima
[2025年4月15日公開記事]
各社の独自性が光る5本の新作ダイバーズウォッチを紹介!
高い防水性と視認性を誇るスポーツウォッチの代表格、ダイバーズウォッチ。もともとは、潜水士や軍のダイバーをはじめとする一部のプロフェッショナルに向けた特殊な時計であったダイバーズウォッチだが、マリンスポーツやカジュアルファッションの流行など、時代の流れとともに一般のユーザーにも普及していった。現代では、ビジネススタイルのカジュアル化に伴い、オンオフ問わず高い人気を誇っている。
そんなダイバーズウォッチより、2025年に発表されたモデルから傑作を5本紹介する。悪天候やレジャーシーンをものともしない優れた堅牢性に加え、各社ならではの独自性が光るモデルが目白押しだ。
チューダー「ペラゴス ウルトラ」Ref.M2543CLA7NU-0001
チューダーのダイバーズウォッチと言えば、ヴィンテージ調のデザインを取り入れた「ブラックベイ」の印象が強いが、モダンでハイスペックな「ぺラゴス」にも傑作は多く存在する。2025年、そのラインナップに加わったのが、「ペラゴス ウルトラ」である。その特徴は、1000mという驚異の防水性能を獲得している点にある。並外れた防水性を備えていながらも、ケースの直径は43mm、厚さ14.5mmと、比較的ボリュームが抑えられていることも魅力だ。ケースにはチタンが採用され、軽量なだけではなく海水などへの耐食性にも優れている。
ダイアルには、マットブラックをベースにホワイトのインデックスと針が組み合わされ、高いコントラストが抜群の視認性を約束してくれる。蓄光塗料はブルーとグリーンの2色が採用され、深海での視認性と判読性も確保されている。
新規に開発されたチタン製ブレスレットには、独自の微調整機構である“T-fit”を備えたバックルや、ビジュアルインジケーターシステムを搭載したダイバーエクステンションが採用されている。ブラックのラバーストラップも付属し、状況に応じて使い分けることが可能だ。

1000mもの防水性を備えたハイスペックなダイバーズウォッチ。搭載するCal.MT5612-Uは、マスター クロノメーター認定を取得したムーブメントだ。自動巻き(Cal.MT5612-U)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。Tiケース(直径43mm、厚さ14.5mm)。1000m防水。83万9300円(税込み)。(問)日本ロレックス / チューダー Tel.0120-929-570
オメガ「シーマスター プラネットオーシャン ワールドタイマー」Ref.215.92.46.22.01.006
600m防水を備えたオメガのダイバーズウォッチ、「シーマスター プラネットオーシャン」の新作として登場したワールドタイム機能搭載モデル。ダイアルの中央には、グレード5チタンをベースとしたレーザー加工とニスによる立体的な世界地図が描かれ、その周囲の24時間表記と合わせて各国の現在時刻を知ることができる。DLC加工が施されたダイアル外周には、レーザー加工とポリッシュ仕上げによるハニカムパターンが並び、スポーティーな印象が強められている。
ケースやベゼルはブラックセラミックス製。浮彫となったダイビングスケールやヘアライン仕上げの表面など、同社の加工技術の高さがうかがえる。
ムーブメントは、METASによるマスター クロノメーター認定を取得したCal.8938を搭載。シースルーバックを通して、ブリッジやローターに施されたアラベスク模様のコート・ド・ジュネーブを楽しむことができる。
ストラップは、ターコイズカラーのステッチが鮮やかなブラックのラバー製。セラミックス製のフォールディングバックルが装着されており、軽快に使用することが可能だ。

ヘリウムエスケープバルブを備えた、プロフェッショナル向けのダイバーズウォッチ。ダイアル中央の世界地図は、レーザー加工とニスによって立体的に仕上げられている。自動巻き(Cal.8938)。38石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約60時間。セラミックケース(直径45.5mm、厚さ18.99mm)。600m防水。228万8000円(税込み)。(問)オメガ Tel.0570-000087
ユリス・ナルダン「ダイバー エアー」Ref.3743-170-2A/0A
世界最軽量の機械式ダイバーズウォッチとして発表された、ユリス・ナルダンの「ダイバー エアー」。ストラップを装着した状態で52g、外した状態で46gという驚異的な軽量性は、外装とムーブメントの両面からのアプローチによって実現したものだ。
ケースは直径44mmと、ダイバーズウォッチらしい迫力を感じることのできるサイズ。ミドルケースにはチタン、サイドパーツにはリサイクル漁網を原料とするNylo®と、カーボンファイバーの複合材、ベゼルにはカーボンファイバーを採用している。いずれも軽量かつ優れた強度を誇る素材であり、堅牢性と軽量性を両立させることに寄与している。
ダイアルとケースバックの両面から鑑賞することが可能なムーブメントは、各パーツを極限まで削り取っている。地板とブリッジはチタン製。三角構造のブリッジを採用することで、5,000Gの耐衝撃テストをクリアするまでの堅牢性が確保されている。12時位置からのぞく大型の香箱によって約90時間のパワーリザーブを達成し、6時位置からは、シリコン製の脱進機を鑑賞することが可能だ。

世界最軽量の機械式ダイバーズウォッチとして発表された新作。一切の無駄を排除したスケルトンムーブメントを搭載しながらも、十分な堅牢性が確保されている。自動巻き(Cal.UN-374)。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約90時間。Ti×カーボンファイバーケース(直径44mm、厚さ14.7mm)。200m防水。600万6000円(税込み)。(問)ユリス・ナルダン/ソーウインド ジャパン Tel.03-5211-1791
ジン「T50 ゴールドブロンズ B」Ref.1052.062

ヴィンテージ感漂うゴールドブロンズ製ケースとダークブルーのダイアル、ブルーのテキスタイルストラップを組み合わせた、世界限定300本の希少モデル。ゴールドブロンズは、ジンが独自に開発した素材であり、銅と錫、ゴールドを混合したブロンズ合金である。一般的なブロンズに比べ、海水への耐蝕性や抗アレルギー性に優れていることが特徴だ。酸化による色味の変化は緩やかに発生し、経年による表情の変化を楽しむこともできる。専用のお手入れクロスが付属し、黒ずみを落とすことも可能だ。ケースバックの素材には、チタンが採用されている。
複数のジンテクノロジーを搭載していることも魅力だ。逆回転防止機構が備わったベゼルは、サイドからネジで固定する特殊結合方式を採用し、ダイビング中などに強い衝撃が加わっても外れる心配がない。Arドライテクノロジーを搭載し、湿気の混入による性能の低下も発生しにくい。
ムーブメントは、約50時間のパワーリザーブを備えたセリタ社製のCal.SW300-1を搭載。ムーブメント自体が薄型であるため、ケースの厚みも12.3mmに抑えられている。

独自素材であるゴールドブロンズを採用した数量限定モデル。500m防水を達成しつつ厚みを抑えたケースには、特殊結合方式のベゼルやArドライテクノロジーが搭載されている。自動巻き(Cal.SW300-1)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。ゴールドブロンズ125ケース(直径41mm、厚さ12.3mm)。500m防水。世界限定300本。予価126万5000円(税込み)。(問)株式会社ホッタ Tel.03-5148-2174
セイコー「プロスペックス ダイバーズ 1965ヘリテージ セイコーダイバーズウォッチ 60周年記念 限定モデル」Ref.SBDC213

セイコーのダイバーズウォッチ誕生60周年を記念して発表された数量限定モデル。デザインのベースは、1965年に発売された同社初のダイバーズウォッチ「62MAS」。リュウズガードのない直線基調のケースや、スクエア型のインデックスなど、アイコニックな意匠を受け継いでいる。
最も注目すべきは、ダイアルだ。爽やかなシルバーダイアルを採用しているだけではなく、力強い波を想起させるようなウェーブ状の型押しが施されている。このパターンは、同社製ダイバーズウォッチのケースバックに刻まれているウェーブマークに着想を得たものである。シルバーダイアルとの調和を図った、グレーのベゼルインサートを採用していることも特徴だ。
ステンレススティール製ブレスレットには、新開発のバックルが搭載されている。約2.5mm単位で6段階まで微調整を行うことが可能であり、潜水時の気圧の変化や日常生活における体調の変化に応じて、簡単に腕回りの長さを変更することができる。
ムーブメントは、約72時間のパワーリザーブを備えたCal.6R55を搭載している。

1965年に登場したセイコー初のダイバーズウォッチのデザインを受け継ぐモデル。シルバーダイアルには、ウェーブマークに着想を得たパターンが施されている。自動巻き(Cal.6R55)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径40mm、厚さ13mm)。300m防水。世界限定6000本(うち国内2000本)。19万2500円(税込み)。(問)セイコーウオッチお客様相談室 Tel.0120-061-012