今年で創業270周年を迎える老舗ブランド、ヴァシュロン・コンスタンタン。同社は「ヒストリーク・222」に待望のSSモデルを加え、その幕開きを宣言した。
Text by Tsubasa Nojima
Edited by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2025年3月号掲載記事]
「ヒストリーク・222」にステンレススティールモデルが登場
今年で創業270周年を迎えるヴァシュロン・コンスタンタン。同社がそのメモリアルイヤーの第1弾として発表したのが、「ヒストリーク・222」のステンレススティールモデルだ。2022年に18Kイエローゴールドモデルが登場し、話題を呼んだヒストリーク・222だが、やはり日常使いしやすいステンレススティールモデルを望む声は多かった。晴れて今回、多くの時計愛好家が熱望したモデルが現実のものとなった。

ヴァシュロン・コンスタンタン222周年を記念し誕生した「222」に、新たな解釈を加えたモデル。復刻にあたっては、基本的なデザインをそのままに、日付窓をやや中央寄りにするなどの小改良にとどめられた。シャープに磨き込まれたケースや剛性感を増したブレスレットなど、現行機らしい、優れた外装が与えられている。自動巻き(Cal.2455/2)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径37mm、厚さ7.95mm)。50m防水。475万2000円(税込み)。
オリジナルの「222」は創業222年を記念し1977年に登場した、いわゆるラグジュアリースポーツウォッチだ。ヨルグ・イゼックがデザインしたこのスタイルは、約20年後に登場する「オーヴァーシ―ズ」の原型になった考えられる。
同社の歴史を物語るアイコニックピースを復刻してきた「ヒストリーク」コレクション。その中に属する今回の新作も、フルーテッドベゼルやケース5時位置のマルタ十字など、オリジナルに敬意を表したデザインが与えられている。一方、現代的なアレンジも注目に値する。文字盤においては、日付窓をやや中央寄りとすることでミニッツマーカーの欠けをなくし、判読性を高めた。剛性感を高め、両開き式バックルによって装着感を高めたブレスレットにも着実な進化を感じる。ムーブメントに至っては現行主力のキャリバー2455/2系を搭載し、スポーティーウォッチらしい実用性を獲得した。

オリジナルモデルに新たな解釈を加えたヒストリーク・222は愛好家たちからどんな評価を得るのであろうか。そして忘れてはならないのが、本作がヴァシュロン・コンスタンタン創業270周年を飾る第1弾だということ。この記念すべき年に、これからどんな新作が登場してくるのか、今から楽しみでならない。