4月1日から7日までスイスで開催された、時計の新作見本市ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2025。今回、この見本市で発表された新作時計の中から、読者に「傑作No.1」を選んでもらった。選ばれた新作のうち、最も得票数の多かった上位5本を紹介する。
読者が選ぶ、2025年新作時計の「傑作No.1」とは?
4月1日から7日まで、スイスで時計の新作見本市ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2025が開催された。この祭典は2020年からスタートし、第6回目となる今年は、過去最多の約60メーカー(とブランド)が参加した。
今回、そんなウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブで発表された新作時計の中から、読者にそれぞれの「傑作No.1」を自由回答形式で選出してもらった。集計期間は2025年4月10日から16日まで。この投票をもとに、最も得票数の多かった新作時計TOP5を紹介する。
なお、同一コレクション内に複数のバリエーションが存在する新作時計に関しては、「ひとつのコレクション」としてまとめて集計している。
5位:ノモス グラスヒュッテ「クラブ・スポーツ ネオマティック ワールドタイマー」

自動巻き(Cal.DUW 3202)。37石。パワーリザーブ約42時間。SSケース(直径40mm、厚さ9.9mm)。10気圧防水。77万2200円(税込み)。
第5位は、ノモス グラスヒュッテの「クラブ・スポーツ ネオマティック ワールドタイマー」がラインクイン。新しい自動巻ムーブメントCal.DUW 3202によって、モデル名の通り、ワールドタイム機構を搭載させたことが大きな特徴である。
本作は2時位置のプッシュボタンを押すと、文字盤外周の都市ディスクと時針が連動して動く仕組みとなっている。一般的なワールドタイムに配される、都市ディスクと連動した24時間表示のディスクは持たず、すっきりとしたレイアウトとなっている。もっとも、文字盤のミニッツサークルには、12時位置で基準とする都市から見た「各都市の時差」用のスケールが設置されるため、それぞれのタイムゾーンでの時刻確認も可能だ。さらに3時位置のインダイアルは第2時間帯を表示させることができ、8時位置にセットされたプッシュボタンでインダイアルの時刻をリセットもさせられる。
扱いやすいワールドタイム機構を備えていることに加えて、本作はノモス グラスヒュッテらしく直径40mm、厚さ9.9mmと、コンパクトなサイズ感を実現していることもユーザーにとってはうれしいポイントだ。ルックスよし、機能性よしということで、TOP5のランクインも納得の新作腕時計である。
4位:グランドセイコー「エボリューション9 コレクション スプリングドライブ U.F.A.」

スプリングドライブ自動巻き(Cal.9RB2)。年差±20秒。34石。パワーリザーブ約72時間。ブライトチタンケース(直径37.0mm、厚さ11.4mm)。10気圧防水。151万8000円(税込み)。2025年6月6日(金)よりグランドセイコーブティックおよびグランドセイコーサロンで発売予定。
第4位は、グランドセイコー「エボリューション9 コレクション スプリングドライブ U.F.A.」だ。ちなみにウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブで同時にリリースされた「スポーツコレクション Tokyo Lion テンタグラフ」も多くの得票があったが、新型スプリングドライブムーブメントを搭載した新作がランクインとなった。
そう、本作の最大の特徴はCal.9RB2の存在だ。「第3のムーブメント」とセイコーが称するように、機械式、クォーツ式ではない機構として1999年に製品化されたスプリングドライブ。機械式時計のように主ゼンマイを動力源としながらも、クォーツ(水晶振動子)によって調速するというムーブメントである。今回、このスプリングドライブを年差±20秒という高精度に追い込むと同時に、小径薄型化。ケース直径37.0mm、厚さ11.4mmというコンパクトなサイズ感を実現したのだ。
世界限定80本生産の、プラチナ製モデルも用意されている。スプリングドライブ自動巻き(Cal.9RB2)。年差±20秒。34石。パワーリザーブ約72時間。Ptケース(直径37.0mm、厚さ11.4mm)。10気圧防水。世界限定80本(うち国内40本)。550万円(税込み)。2025年6月6日(金)よりグランドセイコーブティックで発売予定。
スプリングドライブが製造される「信州 時の匠工房」の東側に位置する諏訪・霧ヶ峰高原の、厳冬期の「樹氷」をモチーフとした型打ちパターンがあしらわれた文字盤も必見だ。
3位:ゼニス「G.F.J.」

手巻き(Cal.135)。1万8000振動/時。パワーリザーブ約72時間。Ptケース(直径39.15mm、厚さ10.5mm)。5気圧防水。695万2000円(税込み)。
いよいよTOP3。第3位は、ゼニスがCal.135を復刻し、その復刻ムーブメントを搭載した新しいコレクション「G.F.J.」だ。
Cal.135は、ゼニスによって1949年から1962年まで製造されていた。市販モデルのCal.135と、各社が時計の精度を競った天文台のクロノメーター試験のためのCal.135-Oが存在しており、このCal.135-Oは計235ものクロノメトリー賞を受賞し、1950年から1954年までヌーテシャル天文台の腕時計部門において5年連続で1位を獲得したという優れた実績を残している。なお、「135」はヌーテシャル天文台コンクールの腕時計部門で許される最大サイズの13リーニュ(=30mm)を意味しており、厚さ5mmとなる。

そんなムーブメントを、オリジナルのサイズ、外観、構造に至るまで復刻したとあって、コレクション名にゼニス創業者のジョルジュ・ファーブル=ジャコのイニシャルを冠したのもうなずける。復刻する一方で現代的な改良も施されており、パワーリザーブは約72時間と、実用的だ。
直径40mmを切るラウンドケースにスモールセコンドと、クラシックなスタイルを装いつつも、“ブリック”ギヨシェ模様があしらわれたパーツ、ラピスラズリ、そしてマザー・オブ・パールの3ピース構造となった文字盤が独創的なエレガンスを醸し出している。
2位:A.ランゲ&ゾーネ「1815」

手巻き(Cal.L152.1)。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。18KWGまたは18KPGケース(直径34.0mm、厚さ6.4mm)。3気圧防水。385万円(税込み)。
第2位は、直径34mmと、非常にクラシカルなサイズ感に収められたA.ランゲ&ゾーネ「1815」だ。これまでの1815のケース直径は、ベーシックな3針モデルでも直径38.5mmだった。このケースが、大幅にサイズダウン。1960年代以前の、往年のドレスウォッチを彷彿とさせるスタイルに仕上がった。
このケースサイズに収めるムーブメントが新開発というのが、さすがA.ランゲ&ゾーネ。この手巻きのCal.L152.1は、同ブランドが1990年に復活し、1994年に4つのコレクションを発表してから、75番目に製造されたムーブメントになるのだという。

ラインナップは18Kホワイトゴールドケースまたは18Kピンクゴールドケースの2種。どちらも深みのあるブルー文字盤を備えている。
なお、3位との得票数はそれなりに離れていたものの、1位とはわずか2票差であった。
1位:ロレックス「オイスター パーペチュアル ランドドゥエラー」

自動巻き(Cal.7135)。3万6000振動/時。パワーリザーブ約66時間。Ptケース(直径40mm)。100m防水。942万7000円(税込み)。
読者が選ぶ、ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2025の、傑作時計ランキング。第1位は、ロレックスの「オイスター パーペチュアル ランドドゥエラー」だ。
エッジの効いたケースと一体化したフォルムを見せる、やはりエッジののあるブレスレット、六角形のパターンが与えられた文字盤など、新しい意匠をまとって登場したこの新コレクション。「新しい意匠」とはいえ、この外装のフォルムは1969年のクォーツモデル、そして1974年の「デイトジャスト」で、そして6と9のみアラビア数字インデックスとなった文字盤は「エアキング」で見られたスタイルだが、最近のロレックスではなかった意匠ということもあり、新鮮な印象を受ける。
「新コレクション」「新デザイン」ということだけでもインパクトは大きいが、さらに本作は新開発ムーブメントCal.7135を搭載していることが、最大の「新しさ」と言える。
Cal.7135には“ダイナパルス エスケープメント”とロレックスで名付けられた、新しい脱進機が搭載されている。また、3万6000振動/時のハイビート設計で、ブルーパラクロムではなくシリコンが素材として採用されていたり、ロレックスが独自開発したハイテクセラミックスで作られたテンプ軸が搭載されていたりと、あらゆる点でロレックスの革新性が垣間見える新型ムーブメントとなっている。
このムーブメントがトランスパレントバックから観賞できるというのも、現行ロレックスの中では珍しく、またユーザーにとってうれしい仕様と言える。
今回のランキングでロレックスのモデルは「1908」も多数得票したが、他ブランドの新作時計も抑えて、このランドドゥエラーがトップとなった。
たくさんの投票ありがとうございました!