日本、そして世界を代表する著名なジャーナリストたちに、ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2025で発表された時計からベスト5を選んでもらう企画。今回はYoutubeチャンネル『ウォッチ情熱応援団』のメインMC、団長が登場。ハイセンスなモデルから機能面を評価したモデルまでを網羅したそのベスト5の顔ぶれはもちろん、今年の新作の傾向を分析した「総評」も必見だ。
1位:パネライ「ルミノール マリーナ チタニオ」
視聴者様からも「神アップデート」という声が多く寄せられた「ルミノール マリーナ」の新作。
防水性能が500mにアップし、なのにケース厚は薄くかつシースルーバックになり、そしてベルト交換も工具不要なインターチェンジャブルに変更されました。
W&WGでは5つのバリエーションが発表されまして、その中で私が最も興味を引かれているのは、チタニオです。
文字盤カラーがグリーンというのもあり、チタンの軽さを視覚的にも感じられるのがいいですね!

自動巻き(Cal.P.980)。23石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。Tiケース(直径44mm、厚さ13.7mm)。500m防水。147万4000円(税込み)。
2位:カルティエ「タンク ルイ カルティエ」LMサイズ
間違いなく「良い時計」の代表格である「タンク ルイ カルティエ」に、自動巻きのバリエーションが追加。
手巻きのLMよりも、横幅で約2mm大きい27.75mmというサイズ感は、今の気分にピッタリと感じました。
小径のバリエーションを増やしているブランドが多い中、逆に大きい方のバリエーションを増やしてきたのは、カルティエとチューダーくらいでしょうか。
さすがのセンスを感じました。

自動巻き(Cal.1899 MC)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。18KPGケース(縦38.1×横27.75mm、厚さ8.18mm)。日常生活防水。236万2800円(税込み)。
3位:チューダー「ブラックベイ 58」
昨年に続いて今年も良かったのは、抜かりなしのマスターク ロノメーター認定で登場した「ブラックベイ 58」の新作。
かつて「コーアクシャル脱進機のための規格」と言われたマスター クロノメーター。
チューダーがその常識を覆したのは、2021年の「ブラック セラミック」からになります。
そこからわずか4年で、もう当たり前のように量産してしまっていることは、本当に凄い。
鮮烈なバーガンディーカラーもいい!

自動巻き(Cal.MT5400-U)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径39mm、厚さ11.7mm)。200m防水。64万9000円(税込み)。
4位:ロレックス「パーペチュアル 1908」
機械もケースもブレスレットも価格(メーカー価格)も、文句なしの1本。
ロレックスらしい実用性能を、フルゴールドのオーセンティックなスタイルにまとめ上げた素晴らしい作品。
普通に考えたら使用シーンがかなり狭いパーティードレス用の時計かと思います。
が、耐磁性も防水性も耐衝撃性もそこそこあり、パワーリザーブも約66時間と、スペックは日常使いに適したそれ。
あえてTシャツでシャラっと着けこなしてみたい。

自動巻き(Cal.7140)。38石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約66時間。18KYGケース(直径39mm)。50m防水。527万3400円(税込み)。
5位:ヴァシュロン・コンスタンタン「トラディショナル マニュアル ワインディング」
「ん?文字盤になんか書いてある?マルタ十字じゃん!かっこいい!」
初見の反応はまさにこんな感じでした。
毎度思うんですが、ヴァシュロンってデザイン上手すぎますよね。

手巻き(Cal.4400 AS/270)。21石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。Ptケース(直径38mm、厚さ7.77mm)。3気圧防水。世界限定370本。541万2000円(税込み)。
総評
全体的には、小径化の波を強く感じた今回のW&WG。
目立つ例として、IWCの「インヂュニア」や、ベル&ロスの「BR-05」、ノルケインの「ワイルドワン」などがありましたね。
どれも単に小さくしただけではなく、それぞれにブランドの哲学が乗った「最適化」が施されており、コレクションの幅を広げるものになっていたのではないでしょうか。
また、チタンやセラミックスの進化も素晴らしいですよね!
上記で紹介したパネライも然り、最近のチタンは本当にステンレススティールと見分けがつかないレベルにまで、質感が高められているものが多くなってきています。
「軽い」ことに対する感じ方は人それぞれですが、扱うのが難しい素材に日々向き合う職人さんたちには、深くリスペクトを捧げたいと思うのです。
セラミックスの例では、インヂュニアのブラックセラミックスも良かったです。
ビス留めの利点を生かして防水性能を確保しつつ、ぺラトン式ムーブメントを望む一部のファンの声に対応していたことに、好感が持てました。
それと、これも多かったなと感じたのは、パーペチュアルカレンダー。
表示の仕方、読ませ方への哲学がブランドごとに異なっていて、デザインとして分かりやすく表れるのが面白い機構ですよね。
ウォッチ情熱応援団 団長のプロフィール

腕時計の面白さを伝えるYoutubeチャンネル・ウォッチ情熱応援団のメインMC。
モノづくりに憧れ、東証一部の電機メーカーへ研究職として就職。しかしマスプロダクトではなく『手仕事』への興味を自覚したことで職人の世界へ転身。
『クラフトマンシップへの賞賛』をテーマに年間およそ300本、これまでに2150本を超える動画を投稿。累計再生回数は6300万回(2025年4月時点)を超える。