エルメスからパテック フィリップまで! 元『地球の歩き方』web編集長、数藤健が選んだ2025年新作ベスト5

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2025.04.23

日本、そして世界を代表する著名なジャーナリストたちに、ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2025で発表された時計からベスト5を選んでもらう企画。今回は元『地球の歩き方』web編集長にして、現在は『ENGINE』で時計担当を務めるフリーランスエディターの数藤健が実際に会場で見た時計から5本を選んだ。


・ジャガー・ルクルト「レベルソ・トリビュート・ジオグラフィーク」

ついに出たか! と笑みがこぼれた。銀色の陸地(日本列島もある!)、青い海、一覧できる見やすい都市名、大型デイト……。機能も意匠も秀逸。身に着け旅に出るも良し、アームチェアに座りディスクを動かしつつ旅先を夢想するも良し。

ジャガー・ルクルト 2025年新作 レベルソ

ジャガー・ルクルト「レベルソ・トリビュート・ジオグラフィーク」Ref.Q714845J
手巻き(Cal.834)。18石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(縦49.4×横29.9mm、厚さ11.14mm)。3気圧防水。330万円(税込み)。


・ロレックス「オイスター パーペチュアル ランドドゥエラー」

一般公開日の人だかり基準では今年の “Star of the show”。ブレスレット一体型ケースにフルーテッドベゼル、新型ムーブメント、シースルー裏蓋、36mmケースありと話題満載。スポーティーなハニカム模様文字盤は、精悍さが増す黒も待たれる。

ロレックス「オイスター パーペチュアル ランドドゥエラー 40」Ref.127334
自動巻き(Cal.7135)。3万6000振動/時。パワーリザーブ約66時間。SS×18KWGケース(直径40mm)。100m防水。225万5000円(税込み)。


・エルメス「エルメス カット タンシュスポンデュ」

時間の制約や経過を一時的に忘れる──。時が止まったような感覚になる“保留された時”機構は、エルメスならではの英知と遊び心の発露。気持ちが昂ぶったら深呼吸して8時位置のボタンをひと押し。4時位置の反時計回りインジケーターも粋。

©Joël Von Allmen
エルメス「エルメス カット タンシュスポンデュ」
自動巻き(Cal.H1912)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KRGケース(直径39mm)。10気圧防水。予価750万2000円(税込み)。2025年8月発売予定。


・パテック フィリップ「カラトラバ 5328」

『ENGINE』5月号にラブレターを書いたRef.5226と共通のデザイン文法で仕上げられた、手巻き約8日間パワーリザーブモデル。腕に乗せたら意匠、質感、量感、視認性すべてが自分の好みど真ん中で思わず唸った。若々しさが感じられるのも魅力。

パテック フィリップ「カラトラバ」Ref.5328
自動巻き(Cal.31‑505 8J PS IRM CI J)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約192時間。18KWGケース(直径41mm、厚さ10.52mm)。3気圧防水。1119万円(税込み)。


・IWC「インヂュニア・オートマティック 35」

今年を象徴する小径時計の代表として推す。単純に小型化するのではなく、パーツや細部のデザインの“最適解”を追究し、着用感含めとても完成度の高い35mm径のブレスレット時計に仕上がった。ゴールドをパートナーとシェア使いもいい。

IWC「インヂュニア・オートマティック 35」Ref.IW324903
自動巻き(Cal.47110)。23石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。18KRGケース(直径35mm、厚さ9.4mm)。10気圧防水。575万3000円(税込み)。


総評:「東京でも時計の祭典を!」

Watches&Wonders Geneva(W&WG)が、一昨年から一般公開を始めたのは大英断だと思う。今年は対前年比21%増の2万3000枚のチケットが販売された。70スイスフラン(ヤング=40、シニア=60)と、決して安くはない土曜・日曜日分は早々に売り切れた。駐車場や休憩ラウンジの利用権、ランチ、ギフトなどの特典が付く550スイスフランの「プレミアムパッケージ」も事前完売である ※データはW&WG財団発表。

かつてのバーゼルワールドでは、一般入場者はショウケースを外から眺めるのみだった。しかしW&WGでは展示ブースの中まで招き入れるブランドが多数。各ブランドの世界観に浸り、新作やアートピースを間近で眺められる絶好の機会となっている。時計好きの老若男女が整然と並び、目を輝かせつつ品定めし、笑顔で語り合う。多言語が飛び交い、グランドセイコーのブースを誇らしげに鑑賞する日本からの観光客もいた。

自動車のジュネーブショウはなくなったけれど、時計のサロンは復活し隆盛への道を歩んでいる。東京でもセイコー、シチズン、カシオ、オリエントスターなどが一堂に会し、世界中の愛好家が集う時計の祭典はできないものか。大メーカーに限らず、ミヨタやミナセ、クオ、ノットなどの展示も見てみたい。日本が誇る独立時計師である浅岡肇氏や “ウォッチ・ガイ”飛田直哉氏の肉声=講演を聞きたいファンも多いことだろう──。帰路の飛行機の中で、私はそんなことを夢想・妄想していた。



数藤健のプロフィール

編集記者。ビジネス誌『週刊ダイヤモンド』で1998年からバーゼル/ジュネーブの時計見本市取材を開始。新潮社『ENGINE』編集部に2003~09年に在籍(クルマ&時計担当)。その後『地球の歩き方』MOOK/Web編集長などを経て21年に独立。23年からENGINE誌コントリビューティング・エディターも務めている。


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