ビジネススーツに合わせるメンズ腕時計ならカルティエ「タンク」がお勧め!

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2025.12.20

ビジネスシーンにおいて、腕時計は時間を知るためのツールであると同時に、着用者の個性やスタイルを表現するアイテムとなり得る。本記事では、男性のスーツスタイルに合わせるうえで好ましい腕時計として、カルティエのアイコンウォッチのひとつである「タンク」から、おすすめモデルを5本紹介する。

Antoine Pividori © Cartier
新居賢人:文
Text by Kento Nii
[2025年12月XX日公開記事]


100年以上の歴史を持つ腕時計「タンク」

 1847年に、ルイ=フランソワ・カルティエによって創業されたカルティエ。王侯貴族を主な顧客として発展し、世界的なジュエラーとしての地位を築く一方で、1904年には世界で初めて量産された腕時計「サントス」を開発するなど、時計製造の分野でもその存在感を強めてきたブランドだ。

 そんなカルティエを代表するコレクションのひとつが、1917年に発表された「タンク」である。本コレクションは、第一次世界大戦期のルノー製戦車の平面図に着想を得たとされており、ベゼルを持たない、ケースとラグを一体化させたレクタンギュラーケースを特徴としている。その直線的で洗練されたデザインは発表当初から大きく変わることなく、時代を超えて多くの人々に愛用され続けてきた。

カルティエ タンク

Nick Welsh, Collection Cartier © Cartier
写真は1920年に製造された「タンク」。初期モデルから現在に至るまで、基本スタイルは変わらないことがうかがえる。

 また本コレクションが持つ、アールデコ様式の先駆けともされるデザインは、格調が求められる場面にも合わせやすく、ビジネスシーンでの着用に適している。多くのモデルが薄型設計で、シャツの袖口に収まりやすい点も実用において魅力的なポイントだ。加えて、タンクが誇る1世紀以上にわたる歴史は、手元にステータス性を与えるだけでなく、着用者の流行に左右されない普遍的な価値観を演出するうえでも役立つだろう。

 現行のタンクコレクションは、伝統を重んじる「タンク ルイ カルティエ」や、モダンな「タンク フランセーズ」といったシリーズ展開に加え、機械式モデルから光発電機能を持つソーラービートモデルまでをそろえ、幅広いニーズをカバーしている。カジュアルなコーディネートになじむデザインのモデルも多彩に登場しているため、ビジネスカジュアルや普段使い用に合わせる腕時計としても好ましい。

 以下に、タンクコレクションの中から主要な5つのシリーズを取り上げ、それぞれの特徴と代表的なモデルを紹介する。

「タンク マスト」Ref.WSTA0054

 2021年に登場した「タンク マスト」は、初代タンクの意匠と、1970〜1980年代にかけて人気を博した「マスト ドゥ カルティエ」のエッセンスを、現代的に再解釈したコレクションである。擁するラインナップは、均整の取れたプロポーションと、装飾を削ぎ落としたミニマルなデザイン哲学を特徴としている。

カルティエ タンク マスト

© Cartier
カルティエ「タンク マスト」Ref.WSTA0054
クォーツ。SSケース(縦33.7×横25.5mm、厚さ6.6mm)。日常生活防水。60万5000円(税込み)。

 Ref.WSTA0054は、深みのあるバーガンディカラーで彩られたラッカーダイアルが、ひときわ強い個性を放つモデルだ。インデックスと秒針が取り払われ、時分針とメゾンのロゴのみという研ぎ澄まされたレイアウトが採用されている。加えてストラップには、ダイアルの色彩と呼応するバーガンディのアリゲーターレザーが用いられており、コーディネートにシックな彩りを添える1本に仕上がっている。

 また本作はミディアムモデルに該当するが、ステンレススティール製ケースは縦33.7mm、横25.5mmというコンパクトなサイズ感となっている。また、薄型のクォーツ式ムーブメントの搭載もあり、厚みが6.6 mmにまで抑えられているのも特筆すべき点だ。

 なお、リュウズの先端には、カルティエの象徴でもあるブルーのシンセティック スピネルがカボションカットでセットされており、ミニマルな表情の中で際立つシンボルとなっている。

「タンク マスト ソーラービート™」Ref.WSTA0138

 同じくタンク マストからは、光発電機能を持つソーラービート™ムーブメントを搭載するRef.WSTA0138を選出した。一次電池式のモデルに比べて、定期的な電池交換の煩わしさが抑えられた、忙しいビジネスパーソンにも適したモデルである。

カルティエ タンク マスト ソーラービート™ Ref.WSTA0120

Antoine Pividori © Cartier
カルティエ「タンク マスト」ソーラービート™ Ref.WSTA0138
光起電発電 ソーラービート™。SSケース(縦33.7×横25.5mm、厚さ6.6mm)。日常生活防水。57万7500円(税込み)。

 本作のダイアルは、ローマ数字のインデックスやレイルウェイ ミニッツトラックに、テンパーブルーの時分針を組み合わせた、タンクにおける王道的な表情を持つ。その一方で、ダイアルの表面には肉眼で視認できないほど微細な孔が設けられており、ムーブメントへの光の透過を可能としている。これにより、伝統的なデザインを一切損なうことなく、ソーラークォーツウォッチとしての実用性を確保しているのである。

 コンパクトなステンレススティール製ケースは、ブラックのストラップが組み合わされ、洗練されたモノクロームの外観を備える。ちなみにこのストラップには、りんごの廃棄物から作られた非動物性素材が使用されており、光発電機能と合わせて、環境への配慮を示す要素となっている。もちろん、ストラップやブレスレットを付け替えることで、異なるスタイリングを楽しむことも可能だ。

「タンク フランセーズ」Ref.WSTA0067

「タンク フランセーズ」は、ケースからブレスレットへと流れるような、一体感のあるデザインを有するコレクションである。ここでは、2023年の刷新を経た現行ラインナップの中から、ラージモデルに属するRef.WSTA0067を紹介する。

カルティエ タンク フランセーズ Ref.WSTA0067

Antoine Pividori © Cartier
カルティエ「タンク フランセーズ」Ref.WSTA0067
自動巻き。SSケース(縦36.7×横30.5mm、厚さ10.1mm)。日常生活防水。101万6400円(税込み)。

 本作の最大の特徴は、そのモダンで力強い外観にある。直線美が際立つケースとブレスレットは、サテン仕上げが多用され、シャープかつ都会的な外観を演出。合わせて、多角形のリュウズもケースと一体化するようにデザインされており、全体のシルエットを妨げないようになっている。一方で、その先端にセットされた丸みのあるブルー スピネルが、シャープな造形の中で柔らかなアクセントとして映えている。

 シルバーダイアルには、ローマ数字のインデックスとレイルウェイ ミニッツトラックを配置。載せられたテンパーブルーの針が、表情のアクセントとなるだけでなく、視認性も高めている。また本作は3時位置に日付表示窓を備えるほか、秒針のある3針仕様を採用しており、ビジネスシーンにも適したモデルと言える。

 ケースサイズは縦36.7mm×横30.5mmという存在感のある大きさで、機械式自動巻きムーブメントを搭載している。一方で、その厚みは10.1mmにまで抑えられており、力強さと快適な装着性を両立したサイズバランスとなっている。

「タンク ルイ カルティエ」Ref.WGTA0346

「タンク ルイ カルティエ」には、3代目当主ルイ・カルティエも愛用した初代タンクの意匠を、忠実に継承した顔触れがそろう。この“正統派”タンクとも呼ぶべきコレクションからは、エレガントなRef.WGTA0346をピックアップした。

カルティエ タンク ルイ カルティエ Ref.WGTA0346

Antoine Pividori © Cartier
カルティエ「タンク ルイ カルティエ」Ref.WGTA0346
自動巻き(Cal.1899 MC)。24石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約39時間。18KPGケース(縦38.1×横27.75mm、厚さ8.18mm)。日常生活防水。248万1600円(税込み)。

 本作のケース素材には18Kピンクゴールドが採用され、その柔らかな色調と丹念な仕上げによって、格調高い外観が生み出されている。また、ケースの縦枠の先端に独特の丸みが与えられたほか、リュウズの先端にはメゾンのジュエラーとしての側面を象徴するサファイアのカボションがセットされるなど、オリジナルである1922年モデルを彷彿とさせるデザインを実現している。

 ダイアルは、箔押しのシルバーにイエローバーニッシュ仕上げが施されており、かつミニマルな機能にとどめられているため、クラシカルな趣をたたえている。中央から放射状に広がるパターンによって、角度を付けたインデックスやレイルウェイ ミニッツトラックとの調和が演出されている。またこれにより、ダイアルからの光の反射が抑えられ、テンパーブルーの時分針が表情の中で際立って見える。

 ムーブメントは、自動巻きのCal.1899 MCを搭載する。薄型設計を特徴としており、本作の8.18mmというスリムなケース厚の実現に大きく寄与している。その優雅で上品な佇まいは、重要な商談やフォーマルな場にふさわしく、ドレスウォッチの好例と言えるだろう。

「タンク アメリカン」Ref.WGTA0300

「タンク アメリカン」は、1921年に登場した縦長の「タンク サントレ」に現代的な解釈を加えて誕生した、派生コレクションのひとつだ。タンクの持つ直線的な力強さに、手首に沿う曲線美を融合させた、優美なシェイプを魅力としている。

カルティエ タンク アメリカン Ref.WGTA0300

Antoine Pividori © Cartier
カルティエ「タンク アメリカン」Ref.WGTA0300
自動巻き。18KYGケース(縦44.4×横24.4mm、厚さ8.6mm)。日常生活防水。289万800円(税込み)。

 このモデルを特徴づける湾曲した縦長のケースは、人間工学に基づいて設計されており、手首へのフィット感を高めるという機能的な側面も持つ。Ref.WGTA0300では、このケースに18Kイエローゴールドを採用し、ドレッシーな印象をいっそう高めている。また、ケースの曲線とは対照的に、多角形にデザインされたリュウズにはブルーサファイアがセットされ、デザイン全体の効果的なアクセントとなっている。

 加えて、シルバー調のダイアルでは、ケースの形状に合わせて縦に引き伸ばされたローマ数字インデックスがレイアウトされ、デザインの統一感が高められた。

 内部には、自動巻きの機械式ムーブメントを搭載。ストラップは、ツヤを抑えたネイビーブルーカラーのアリゲーターレザーが取り付けられ、現代的な一面を添えている。ビジネスシーンはもちろんのこと、パーティーなどの華やかな場面にも適した1本と言える。



Contact info: カルティエ カスタマー サービスセンター Tel.0120-1847-00


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