「じゅん散歩」10周年の高田純次、実は元ジュエリーデザイナー。スイス製高級時計を着用

軽快なトークとそのキャラクターで、俳優、コメディアン、タレント、司会者と幅広い活躍の場を持つ高田純次。テレビデビューしてから46年。ダンディな見た目に反した“ちゃらんぽらん”な発言とのギャップが、長年にわたり人気を集めている。実は芸能界に入る前に宝飾関係の仕事をしていた高田純次。そんな彼が選ぶ時計には、どんな美学が隠されているのだろうか。今回は、その腕元に注目した。

高田純次

写真提供:東京スポーツ新聞社
沼本有佳子:文/Text by Yukaco Numamoto
土田貴史:編集/Edited by Takashi Tsuchida
[2025年10月19日掲載記事]

親しみやすさで視聴者を魅了する「じゅん散歩」、ついに10周年

 高田純次の代表的なレギュラー番組といえば、やはり「じゅん散歩」だろう。2015年9月より、月曜から金曜、テレビ朝日系列の午前帯で30分間放送されているこの番組は、高田純次が東京近郊のスポットを散歩しながら情報を届けるという、シンプルながら味わい深い構成が魅力だ。この「散歩」シリーズは、地井武男、加山雄三を経て、高田純次が3代目となる。

 彼の散歩スタイルには、ちょっとした遊び心がある。インスタントカメラや似顔絵を描くためのスケッチブックをバッグに入れて持ち歩き、「今日の一歩一会」として散歩中に出会った人の似顔絵を紹介したり、風景画を披露したりする。こうした演出が、番組に温かみを添えるのだ。

 何より人気の秘密は、店先などで出会った人たちとの軽妙なやりとりにある。親しみやすいキャラクターに加えて、自由奔放ないわゆる“テキトー発言”に対して、一般人が“ボケ返し”に転じることもしばしば。このやりとりの新鮮さによって、幅広い視聴者層の開拓に成功している。

 高田純次には、椎間板ヘルニアと脊髄管狭窄症の手術を経て「じゅん散歩」への起用が決まったという背景がある。3代目に決まった時のインタビューでは「私もこういう番組をやりたかった。私の人生そのものが散歩のようなもの。適材適所。残りの人生30年、歩いてみたい。どのような方にお会いできるか楽しみ」と語っている。

 さらに「ヘルニアの手術をして良かったなと。右足を強化しているので、散歩はもってこい。体調が万全。今でも走れば100メートル9秒ぐらいで走れる」とも。いかにも高田純次らしい飄々としたコメントだが、その緩い雰囲気こそが視聴者にストレスを与えず、10年間も番組を続けることができた秘訣かもしれない。


芸能界入り前は宝飾業界に。ジュエリーデザイナーとしての顔もあった!?

 さて、そんな高田純次の意外な一面をご存知だろうか。実は芸能界に入る前は、まったく異なるキャリアを歩んでいたのだ。

 もともと高田純次は、グラフィックデザインを学んでいた。そして1971年、アンダーグラウンド劇団「自由劇場」の舞台を見て俳優を志願し、研究生となる。しかし自由劇場は1年で退団。その後、イッセー尾形とともに劇団「うでくらべ」を結成するが、こちらも半年ほどで解散してしまう。

 結婚後、劇団の収入では生活できないという現実に直面した高田純次は、ある決断を下す。それが、宝石販売会社への就職だった。そこで彼は宝石営業とジュエリーデザイナーを掛け持ちするという、今の姿からは想像もつかない経験を積んでいたのだ。

 こうした過去があるからだろうか……高田純次は高級時計への思い入れも強いようだ。愛用している時計は、ブレゲ、“マリーンⅡ”や「タイプXX」など、ラグジュアリー感のあるものがお気に入り。その目利きには、宝飾業界で培った美意識が息づいているのかもしれない。

腕元に光るのは、ブレゲの名作“マリーンⅡ”

 その証拠とも言えるのが、2016年9月14日に撮影された東京スカパラダイスオーケストラ・谷中敦とのツーショット写真だ。この投稿では、高田純次が“マリーンⅡ”を着用する姿が確認できる。

2016年9月14日に投稿された東京スカパラダイスオーケストラ・谷中敦の公式インスタグラムより。

「『政治家がするみたいに握手しましょう!』と握手してくれました」と谷中敦がコメントしているが、やはり高田純次の周りにはいかなる場面でも笑いが絶えない。そして高田純次が着用しているのは、ラバーストラップのブレゲ“マリーンⅡ”ラージデイト付きモデルだ。この時計は、航海用精密時計としての伝統を守りながらも、スポーティーな要素を組み込んだ逸品である。ブレゲが長い歴史の中で築いてきたラグジュアリーウォッチの地位を保ちつつ、実用性も兼ね備えている。

 マリーンコレクションの歴史をたどってみよう。1990年に初代マリーンのデザインを手掛けたのは、ロンドンの彫刻学校を経て、ロレックスで時計デザインを研鑽したヨルグ・イゼックだ。そして2004年、第2世代として発表されたのが“マリーンⅡ”である。初代との主な違いはサイズにある。防水性能を向上させた結果、直径が39mmとなり、より実用性が高まったのだ。

 搭載するムーブメントはCal.517GGで、パワーリザーブ約65時間を持つ。ブルースチール針や海の波を思わせるギヨシェ文字盤といった古典的なブレゲのデザイン要素に、スポーティーなテイストが巧みに組み込まれている。特に6時位置に設けられたラージデイトは、新鮮な印象として時計ファンを魅了した。

 さらに注目したいのが、その薄さだ。ケース厚は11.82mmと一般的なスポーツウォッチよりも薄いため、スーツスタイルなどエレガントな装いにもしっくりとマッチする。まさに宝飾品を扱う仕事をしていた経験を持つ高田純次らしい、洗練されたセレクトと言えるのではないだろうか。

ブレゲ「マリーン5817」Ref.5817ST/12/5V8
2004年に登場した第2世代マリーン。Ref.5817はラージデイトを備える代表的モデルであり、“マリーンⅡ”の名称で親しまれている。自動巻き(Cal.517GG)。35石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。SS(直径39mm)。10気圧防水。※販売終了モデル。


散歩のお供にはガーミン。シーンで使い分ける時計愛

 一方で、最近の高田純次の腕元を飾っているのは、ガーミンの「フェニックス6 Pro」だ。ラグジュアリーウォッチとは対照的な、タフなアウトドアスマートウォッチである。

 本人はインタビューでこう語っている。「時計はわりと好きだね。真面目にはっきりと時間がわかるのは時計ぐらいしかないから(笑)。これは走行距離や心拍数が測れるらしいんだけど、使いこなせないから、時刻を見るだけ。頑丈なのもいいね」。ハイテクウォッチの操作はわからない、とのことだが、その頑丈さと機能性は「じゅん散歩」での活用を想定してのことだろう。実際、毎日の散歩には最適な選択だ。

ガーミン「フェニックス6 Pro デュアルパワー」
GPS機能、光学式心拍計、各種アクティビティトラッキング機能を搭載したアウトドアスマートウォッチ。太陽光と電池のデュアルパワーで充電の煩わしさを低減したモデルだ。このモデルはすでに販売終了しているが、後継機「フェニックス8Pro」シリーズがリリースされている。(問)ガーミンジャパン Tel.0570-049530

 興味深いのは、高田純次がかつてこんな発言をしていたことだ。「六本木はロレックスで、銀座はブレゲ」。この言葉からは、行き先やシーンに応じて時計を使い分けるという、彼の時計哲学が垣間見える。宝飾業界で培った感性が、TPOに合わせた時計選びにも活かされているのだろう。

 高田純次には、これからも変わらぬ“テキトー男”として、マルチに活躍を続けてほしい。その飄々としたキャラクターで、「じゅん散歩」はもちろん、バラエティ、ドラマ、司会をこなしている姿をいつまでも見ていたいのだ。彼のスタイルには、どんな状況でもクスッと笑えるガス抜きのような面白さがある。もうすぐ80歳を迎える年齢になっても、そんな姿を貫けることは素晴らしいではないか。

 そして彼の腕元には、これからもどんな時計が輝くのか。高田純次の時計選びに、引き続き注目していこうではないか。


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