ロレックス デイトジャストの80年の軌跡が、初の公式書籍として刊行される。『Oyster Perpetual Datejust – A Watch that Made History』は、1945年の誕生以来、現代時計の基準を築いてきた同モデルの歴史と意義を、224ページにわたって記録したものだ。
計史研究家のニコラス・フォークスがデイトジャスト初の公式書籍を発表
ロレックス「デイトジャスト」の80年にわたる歩みを記録した新たな公式ビジュアルブックが登場した。タイトルは『Oyster Perpetual Datejust – A Watch that Made History』。著者は時計史研究家のニコラス・フォークス、出版社はイギリス・ロンドン発の国際的デザイン&ラグジュアリー誌『Wallpaper』だ。
腕に装着するだけでなく、“時代そのものを語る”腕時計が存在する。その代表格がロレックス デイトジャストだろう。「ありふれている」ロレックスと表現されがちな一方で、ブランドの本質を、最も純粋に体現しているモデルと言えるかもしれない。精度、エレガンス、変化への適応力、そして揺るぎない信頼性。デイトジャストほどロレックスの精神を体現してきた腕時計はない。
ついに登場した正史
今回刊行された書籍は全224ページにわたり、1945年以来、現代時計の基準点であり続けてきたデイトジャストの全貌を描き出す。
1945年、ロレックス創業者ハンス・ウイルスドルフはデイトジャストを「それまでのすべての発見の集大成」として世に送り出した。防水ケース、自動巻き機構、クロノメーター、そして3時位置の日付表示。
当時として画期的だった複合機能は今日においても“ロレックスの当たり前”として受け継がれている。8年後に加えられたサイクロップレンズは、デイトジャストの象徴的ディテールとなった。
ただの歴史書ではない
フォークスの筆致は、技術的事実の羅列にとどまらない。戦後復興の象徴として、著名人の腕を飾った存在として、そしてどの時代にも馴染む普遍的な腕時計として、デイトジャストが果たしてきた文化的役割を鮮やかに浮かび上がらせる。
本書には、新規撮影の写真や未公開のアーカイブ資料が多数収録されており、ロレックスのアンバサダーや歴史の目撃者による証言も掲載されている。それは単なる「入門ロレックス」ではなく、ブランドのDNAを最も純粋な形で宿す腕時計として、デイトジャストを再評価する視点を提示している。
ロレックスの正史シリーズの第2章的位置付け
2024年に高い評価を受けたサブマリーナーの公式書籍に続き、本書はロレックスを象徴するアイコニックモデルを体系的に記録するシリーズの第2だ。価格は125ユーロ。オンライン上のWallpaper Storeにて販売中だ。
冒険の象徴であるサブマリーナーに対し、デイトジャストはいつの時代にも寄り添う腕時計といえるだろう。ビジネスシーンから晩餐会、さらには世代を超えて受け継がれていく存在として、常にその腕にふさわしい。
フォークスはそのデザインを「カメレオンのよう」と表現する。時代ごとに姿を変えながらも、本質は決して揺らぐことがない。それこそが、この書籍が伝えようとする核心である。すなわち、「最も見慣れたものこそ、真に革命的である」ということだ。