ノルケインは、2025年10月30日に「NORQAIN PEAKS」を開催した。このイベントでは日本限定モデル「ワイルドワン スケルトン JP 42MM」の発売とともに、男子体操選手の岡慎之助のブランドアンバサダー就任が発表。スポーツクライマーでアンバサダーとしても活躍する楢﨑智亜(ならさき ともあ)をはじめとしたゲストも登場するなど、見どころの多いものとなった。このイベントに行ってきたので、その様子をレポートする。

Text by Shin-ichi Sato
[2025年11月5日公開記事]
熱かった「NORQAIN PEAKS」
ノルケインは2025年10月30日、新作となる「ワイルドワン スケルトン JP 42MM」の発売と、男子体操選手の岡慎之助がブランドアンバサダーに就任することを発表するイベント「NORQAIN PEAKS」を、東京・渋谷のCÉ LA VI TOKYOで開催した。イベントには、岡選手とスイス・ノルケインの副社長であるトビアス・カッファー、ノルケインジャパンCEO兼ファウンダーの濱鍜健治(はまか けんじ)のほか、スポーツクライマーでアンバサダーとしても活躍する楢﨑智亜(ならさき ともあ)、「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2025」に選出された若手経営者で、Grand Central代表の北口拓実がゲストとして招かれた。
イベント会場には時計メディアをはじめとした報道関係者以外にもノルケインファンが多く招かれ、トビアス・カッファーによる新作の魅力解説や、ブランド哲学である「挑戦」をテーマとしたトークセッションが行われた。ノルケインは、このようなイベントをブランド立ち上げ時より頻繁に行っている点が特徴だ。これは、ブランドとファンの距離が近く、ブランドのフィロソフィーと各モデルのコンセプトをファンに直接伝達すること、そしてファンの声をくみ上げ、新作の企画へ盛り込むことを重視するブランドの姿勢を象徴するものである。

発表された日本限定モデル「ワイルドワン スケルトン JP 42MM」
イベントで発表された日本限定となる新作「ワイルドワン スケルトン JP 42MM」は、ターコイズブルーをアクセントカラーにしたモデルだ。「ワイルドワン」は、異素材を組み合わせた独自構造によってケースカラーの選択に自由度を持たせつつ、軽量で、極めて高い耐衝撃性を有するモデルであり、そんな同コレクションのキャラクターはそのままに、特別な1本へと仕立てている。

自動巻き(Cal.N08S)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約41時間。ノルテックケース(直径42mm、厚さ12.3mm)。200m防水。日本限定。102万3000円(税込み)。
ワイルドワンの構造は、ムーブメントを収めたチタン製コンテナに、ラバー製のミドルケースおよび独自のカーボン複合材であるNORTEQ(ノルテック)を重ねたものである。今般発表された日本限定モデルのワイルドワン スケルトン JP 42MMでは、アンスラサイトグレーのラバー製ミドルケースに、ブラックのノルテックを組み合わせ、わずかなコントラストをケースデザインに加えている。文字盤側からはオープンワークが施された自動巻きムーブメントCal.N08Sが鑑賞でき、そこにターコイズブルーの控えめなアクセントが加えられている。
ブラックとグレーによる落ち着いたトーンにまとめつつ、ノルテックに控えめに浮かび上がるカーボン由来のテクスチャーや、側面からのぞくラバー製ミドルケースといった異なる素材による表情の違いが引き立てられたケースデザインは、日本人の美意識を取り入れたものと言えるだろう。
イベントでは、トビアス・カッファーが本作や従来モデルを手に取りながら魅力を解説した。このイベントでのファンの反応や、直接に寄せられた声は、今後の販売戦略や新作の企画へとフィードバックされることだろう。
また、今般のイベントに合わせ、ノルケインの各モデルが展示された。会場では、限定モデルを含む貴重なタイムピースを実際に手に取ることができた。このようなノルケインのサービス精神がファンの心をつかむのではないだろうか。

ワイルドライフアンバサダーであるディーン・シュナイダーとのパートナーシップを記念した限定モデル。ラバーストラップには、ハクナ・ミパカのオアシスに着想を得た大胆な幾何学模様が描かれる。自動巻き(Cal.N08S)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約41時間。ノルテックケース(直径42mm、厚さ12.30mm)。200m防水。世界限定200本。93万5000円(税込み)。

体操男子・岡慎之助がノルケインのアンバサダーに就任
イベントでは、男子体操選手の岡慎之助がブランドアンバサダーに就任することが発表された。岡は、2024年のパリ五輪の体操男子個人総合と鉄棒で金メダルを獲得したことをはじめとして、男子団体でも金メダルを獲得、2025年もアジア選手権で団体・個人総合ともに優勝するなど、輝かしい実績を残すアスリートである。
一方、すべてが順調であったわけではなく、2022年に右膝前十字靱帯を断裂し、長期のリハビリを余儀なくされていた。ここからパリ2024夏季オリンピックでの活躍に至るまでのたゆまぬ挑戦が、ノルケインのフィロソフィーと共鳴したのであろう。

岡は、ノルケインの印象について、「かっこいいなとひとめぼれしたブランドです。競技中は着けられませんが、世界選手権への移動中やプライベートでは身に着けています」と言及。また、普段から時間管理を徹底しており、「分単位で計画を立て、起きる時間や朝食の時間なども細かく設定している」と自身のエピソードを紹介した。
岡慎之助、楢﨑智亜、北口拓実らによる「挑戦」がテーマのトークセッション
岡のアンバサダー就任発表の後に、岡とトビアス・カッファー、濱鍜に加え、楢﨑、北口をゲストに加え、「挑戦」をテーマとしたトークセッションが行われた。
岡は「先週まで(インドネシアの)ジャカルタで世界選手権に出場していました。昨年のパリ五輪の結果もあり、プレッシャーを感じながらも、自分なりに大きな挑戦ができた大会でした」と振り返った。また、「(ジャカルタでの世界選手権では個人総合5位という)結果としてはとても悔しいものでしたが、この経験を来年につなげていきたいと思っています。今大会で見えた課題をひとつひとつ克服していくことがこれからの鍵になるので、成長のためにも挑戦し続ける姿勢を忘れずに、日々取り組んでいきたいです。ロサンゼルス五輪という大舞台では、4冠を達成できるようにしたいと思っています」と、今後に向けた挑戦を語った。

楢﨑は「今年の前半戦は指の怪我で一度休養を取り、自分を見つめ直す時間を持つことができました。その中で新たな気付きもあり、来年以降がますます楽しみだと感じています」と語った。さらに、「プライベートではフィンランドで実際の岩への挑戦も続けています。もともと自然の山を登ることが好きで、クライミング以外でも自然の中で自分を試すようにしています。世界で最も難しい岩がフィンランドにあるのでそれに挑戦しています。前回は登り切ることができなかったので、明日も再びフィンランドへ行く予定です」と挑戦への意欲を語った。

一方、25歳で起業してビジネスの世界で活躍する北口は、日々の挑戦で心掛けていることについて「会社のビジョンにもありますが、周囲からどれだけ信頼や投資を得られるか、自分の功績や実績を通してどれだけ刺激や影響を与えられるかを意識しています。そうした考えを元に、経営判断やオフィスのデザインなどさまざまな取り組みを行っています。25歳での起業そのものも、大きな挑戦のひとつでした」と語った。



