2025年にセイコーが発表した限定モデルを一挙紹介

2025年もセイコーからは数多くの限定モデルがリリースされた。セイコーはさまざまなサブブランドを擁しており、クラシカル、スポーティー、近未来的、ポップカルチャー、エレガントなど、それぞれのテイストに合った限定モデルが発表された。また、その多くがコラボレーションモデルであり、セイコーおよびコラボパートナーの双方にとってうれしい企画となっている。今回は、本年に発表されたセイコーの限定モデルを一挙紹介する。

キングセイコー「バナック ピーナッツ75周年記念限定モデル」Ref.SDKV011

「キングセイコー バナック ピーナッツ75周年記念限定モデル」Ref.SDKV011は、2025年デビューの「キングセイコー バナック」に追加された『ピーナッツ』とのコラボレーションモデル。ピーナッツは「スヌーピー」をはじめとする個性豊かなキャラクターが登場するコミックであり、1950年の連載開始より本年で75周年となる。文字盤にはキングセイコーの名にちなみ、「ジョー・クール」として王冠をかぶった大学生に扮したスヌーピーの姿と、「ウッドストック」が描かれる。また、ピーナッツが新聞で連載を開始したことから着想を受け、文字盤の背景には紙の質感を再現したホリゾンタルパターンが施される。

プレザージュ「クラシックシリーズ クラフツマンシップ 有田焼『無釉』ダイヤル 限定モデル」Ref.SARX127

　プレザージュ「クラシックシリーズ クラフツマンシップ 有田焼『無釉』ダイヤル 限定モデル」Ref.SARX127は、セイコー プレザージュに追加された有田焼文字盤の限定モデル。従来の有田焼を用いたモデルとの大きな違いは、一般的な磁器に施される釉薬をかけない「無釉（むゆう）」仕上げを採用している点である。近年確立されたこの表現方法は、有田焼の素材である陶石本来のマットで温かみのある風合いを備える点と、釉薬をかけることで埋まってしまう造形のディティールをそのまま表現可能である点が特徴である。本作は、この特徴を反映し、マットな質感で、繊細で精密な菱形文様を文字盤に施している。

プレザージュ「クラシックシリーズ アップサイクル・レザーストラップ限定モデル」Ref.SARX135

　プレザージュ「クラシックシリーズ アップサイクル・レザーストラップ限定モデル」Ref.SARX135は日本の靴ブランドであるリーガルとのコラボレーションによるプレザージュの限定モデル。革靴製造で生じた端材を再利用したアップサイクル・レザーストラップを採用している点が最大の特徴である。リーガルのトラディショナルなレザーシューズのイメージを反映し、伝統色の白茶（しらちゃ）をグラデーションで表現した文字盤と、立体的な装飾を施したベゼルによってクラシカルなデザインとしている。本作の日本国内向けモデルでは、リーガルの人気モデルである「サドルシューズ」の端材を使用し、特徴的な黒とソーテルのコンビカラーを取り入れた交換ストラップが付属する。

東京2025世界陸上の開催を記念した2モデル

「スピードタイマー GPSソーラー デュアルタイム・クロノグラフ 東京2025世界陸上記念限定モデル」Ref.SBED015とセイコー プロスペックス「スピードタイマー ソーラークロノグラフ 東京2025世界陸上記念限定モデル」Ref.SBDL119は、セイコーがオフィシャルタイマーを務める東京2025世界陸上競技選手権大会の開催を記念した限定モデル。大会のメインカラーとなっている“江戸紫”から着想を得た文字盤が特徴である。

　Ref.SBED015は、高性能モデルが並ぶ「Nexter」にも採用されるCal.5X83を搭載し、GPS電波受信による自動時刻修正、ソーラー発電、第2時間帯表示、クロノグラフなど、充実した機能を備える。Ref.SBDL119は、先のRef.SBED015よりも明るいパープルが華やかな印象に仕立てられた光発電クォーツのクロノグラフモデルである。

セイコー プロスペックス「スピードタイマー GPSソーラー デュアルタイム・クロノグラフ 東京2025世界陸上記念限定モデル」Ref.SBED015
GPSソーラー（Cal.5X83）。フル充電時約6カ月稼働（パワーセーブ時約2年）。SSケース（直径42mm、厚さ12.9mm）。10気圧防水。国内限定250本。33万円（税込み）。

セイコー プロスペックス「スピードタイマー ソーラークロノグラフ 東京2025世界陸上記念限定モデル」Ref.SBDL119
光発電クォーツ（Cal.V192）。フル充電時約6カ月稼働。SSケース（直径39.0mm、厚さ13.3mm）。10気圧防水。世界限定6000本（うち国内800本）。10万3400本（税込み）。

プロスペックス「スピードタイマー」に追加された日産「ダットサン240Z」とのコラボモデル4型

　プロスペックス「スピードタイマー」のRef.SBDC219、Ref.SBEC029、Ref.SBDL121、Ref.SBDL123の4モデルは、1969年に発表されたセイコー「1969 スピードタイマー」と日産「ダットサン240Z」の歴史から着想を得た限定モデル。

　Ref.SBDC219は、コラボレーションモデルの発表と同時にデビューした3針モデルをベースとしている。本作はブラックを基調として、4時位置のリュウズで操作する回転式のインナーベゼルや、ストラップの裏側にレッドを用いて、東アフリカ・サファリラリーを制したダットサン240Zのカラーリングを取り入れている。

　クラシカルな印象のあったRef.SBDC219に対して、モダンデザインのRef.SBEC029は、メカニカルクロノグラフモデルである。ケースまでブラックに仕立てられた本作には、タキメーターの一部と、クロノグラフ秒針にレッドを用い、アイコニックなカラーリングを表現している。また、このタキメーターは航空機よりも速度帯の低いモータースポーツに適した仕様となっている点にも注目だ。

　Ref.SBDL121とRef.SBDL123は同スペックで配色違いの2モデルとなる。Ref.SBDC219同様のモータースポーツに適したタキメーターを備えるクォーツクロノグラフモデルであり、ダットサ240Zのボンネットから着想を得てマットブラックに仕立てたブレスレットの中ゴマが特徴である。ブラック文字盤とレッド文字盤の2種類で、ここでもダットサン240Zのカラーリングを取り入れている。

近未来をテーマとしたアストロン「Nexter」の3モデル

　セイコー アストロン「Nexter 2025 限定モデル」Ref.SBXC183とRef.SBXC185は近未来をテーマに、“光子（Photon）”をコンセプトとした限定モデル。文字盤には断続的につながる横縞のホリゾンタルパターンが採用され、光が走るような躍動感が強調されている。ベゼルはセラミックパーツと多角形状の飾り縁による限定仕様の二層構造が用いられ、異素材のコントラストによって、先進性が際立つデザインだ。GPSソーラームーブメントのCal.5X83は、GPS衛星電波受信によるタイムゾーン修正と時刻の自動修正を備え、ワールドタイム、デュアルタイム表示、クロノグラフを有しており、セイコー アストロンらしい多機能を実現している。

　Ref.SBXD037は、同様に近未来をテーマにしつつ、宇宙船の内部空間をコンセプトとした限定モデル。ベゼルは異なる金属の二層構造が採用され、上層6カ所の切り欠きから下層をのぞかせる造形が与えられている。切り欠きの位置は12のインデックスに呼応するよう配置され、デザイン性に加えて視認性を高める役割も果たしている。本作には3針タイプのGPSソーラームーブメントのCal.3X62が搭載されており、タイムゾーン修正や自動時刻修正などの機能によって、機能は充実したものとなっている。

セイコー 5スポーツとPepsi®とのコラボレーションの2モデル

　セイコー「5スポーツ Pepsi® コラボレーション限定モデル」Ref.SBSA319とRef.SBSC023は、世界中で愛されるペプシとのコラボレーション限定モデル。ペプシは1890年代から続く長い歴史を有し、その間においてスポーツや音楽、エンターテインメントとの関係性を深めることで、ポップカルチャーの発展に貢献してきた。若者を中心に幅広い年齢層に親しまれていることと、伝統を重んじながらアップデートを続けていることが両ブランドの姿勢に共通し、今回のコラボレーションが実現した。

　今回発表された2モデル共に、ペプシの特徴的なブルーとレッドのカラーリングが取り入れられている。時分秒表示のRef.SBSA319は、ホワイトのペプシ缶をイメージしたモデルで、缶の両端のアルミ部を思わせるステンレススティール製ケースとブレスレット、ホワイトの文字盤、ブルーとレッドのツートンベゼルが特徴である。

　GMT表示針を備えるRef.SBSC023は、ブラックのペプシ缶をイメージしたモデルで、ブラックの文字盤にブルーとレッドのツートンベゼルが組み合わされる。このベゼルは、24時間表示となり、2つのカラーによって昼夜を表示している。また、“PEPSI”のロゴが浮き彫りとなったラバーストラップが組み合わされる。

　さらに、両モデル共にペプシ缶のような特別ボックスに収められ、コレクションアイテムとしても魅力的である。

セイコー 5スポーツ「Pepsi® コラボレーション限定モデル」Ref.SBSA319
自動巻き（Cal.4R36）。24石。2万1600振動／時。パワーリザーブ約41時間。SSケース（直径38mm、厚さ12.1mm）。10気圧防水。世界限定7000本（うち国内500本）。5万1700円（税込み）。

セイコー5スポーツ「Pepsi® コラボレーション限定モデル」Ref.SBSC023
自動巻き（Cal.4R34）。24石。2万1600振動／時。パワーリザーブ約41時間。SSケース（直径42.5mm、厚さ13.6mm）。10気圧防水。世界限定7000本（うち国内500本）。7万3700円（税込み）。

5スポーツ「バンフォード コラボレーション限定モデル」Ref.SBSA315

　セイコー 5スポーツ「バンフォード コラボレーション限定モデル」Ref.SBSA315は、ロンドンを拠点とする高級カスタムウォッチブランドのバンフォード ウォッチ デパートメントとのコラボレーション限定モデル。バンフォード ウォッチ デパートメントは大量生産の時代に失われたパーソナライゼーションの技術を再発見したいという願いから、2003年にロンドンでジョージ・バンフォードによって設立されたブランドである。本作は、ジョージ・バンフォードが想い描く“パラダイスへの旅”というコンセプトをもとに、セイコーのアーカイブモデルをコラージュして、レトロフューチャーな世界観にまとめられている。

　注目は、ブルースケルトンの文字盤で、セイコー5 スポーツのデイデイト表示ディスクが見える仕立てとなっている。このブルーと分針及び秒針、回転ベゼルに用いられたオレンジはコントラストをなす。また、オレンジは赤色が焼けたかのような印象を受け、四角を連ねたデザインの回転ベゼル上のスケールと共にレトロな雰囲気たっぷりの仕上がりである。

漫画『宇宙兄弟』の世界観を表現したコラボレーション限定モデル

「セイコーセレクション　Sシリーズ デジタルクォーツ 宇宙兄弟コラボレーション限定モデル」Ref.SBJG023とRef.SBJG024は、漫画『宇宙兄弟』の世界観を表現したコラボレーション限定モデル。『宇宙兄弟』は、主人公の南波六太（なんばむった）が、さまざまな困難に立ち向かいながら宇宙飛行士としてミッションに挑む物語である。この物語が始まる年が2025年であり、その年に本作が発売されることに、作者の小山宙哉が強く共感したところからコラボレーションがスタートすることとなった。

　ふたつのコラボレーションモデルには、六太と、その弟の日々人の名が付けられており、作中でふたりが再会する際に着用している宇宙服のデザインが取り入れられている。六太モデルとなるRef.SBJG023は、シルバーカラーのケースをブラックで引き締めるデザインとなっている。日々人モデルとなるRef.SBJG024は、宇宙服の「ロシアンライトニングゴールド」をイメージしたゴールドカラーをケースとブレスレットに採用している。両モデルともに、宇宙空間での着用に思いを馳せることのできるナイロンストラップが付属する特別仕様だ。

「ルキア」30周年を祝うedenworksコラボレーションの限定モデル

「ルキア 30周年記念 edenworks コラボレーション限定モデル」Ref.SSQW094とRef.SSWA014は「ルキア」30周年を祝う限定モデル。また、フラワークリエイターの篠崎恵美が主宰する「edenworks」とのコラボレーション第3弾としても企画されている。花々が満開に咲き誇り、幸福感のあふれる様子を時計全体で表現している点が見どころだ。

　Ref.SSQW094はシャンパンゴールドカラーのラウンド型モデルで、Ref.SSWA014はピンクゴールドカラーのトノー型モデルとなる。共に30周年にちなんで、30分を指す6時位置には2匹、3時位置には1匹の合計3匹の蝶をデザインしている。さらに、デイト表示を備えるRef.SSQW094では、30日だけ、鮮やかなレッドカラーのハートマークが表れる仕立てとなっている。

　本作は、篠崎がフラワーガーデンをイメージしてデザインしたスペシャルボックスに収められる。このボックスは時計を収納するだけでなく、小物入れとしても楽しむことができる。

パワーデザインプロジェクト「コレクション1」 の3モデル

　セイコー「パワーデザインプロジェクト コレクション1」Ref.SSEH021、Ref.SSEH023、Ref.SSEH024は、腕時計の新たな可能性を探るデザイナー主導のプロジェクト“パワーデザインプロジェクト”の限定モデル。パワーデザインプロジェクトは、セイコーのデザイナーが主体となって、腕時計の楽しさや面白さにさまざまな観点から光を当て、斬新なアイデアを生み出すことを目的とした試みであり、2001年から2009年まで展開されたのち、2022年に13年ぶりの復活を果たしている。本作は、1984年のアーカイブモデルから着想を得て発表された、本プロジェクトのファーストコレクションにあたる。

　ベースとなったアーカイブモデルは、真珠を連ねたようなブレスレットウォッチであったが、12時側のこまを大柄な円盤状に、6時側をそれよりもコンパクトにしつつ、形状に変化を加え、アシンメトリーでランダムな多様性のあるデザインとなっている。

　3モデル共にデザインは共通で、Ref.SSEH021はシルバーカラー、Ref.SSEH023はブラック、Ref.SSEH024はゴールドカラーの3色展開となる。