時計業界のアカデミー賞「GPHG」がよく分かる! 広田雅将のスイス現地リポート

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2025.12.29

時計業界のアカデミー賞と言われるのが、GPHGこと「ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ」だ。リシュモン グループやスウォッチ グループの大半や、ロレックス、パテック フィリップなどが参加していないこのイベントを、時計業界の総意と見なすのは難しいかもしれない。しかし、その規模と影響力を考えると、これは時計業界無二のアワードとは言える。アカデミーメンバーとしてイベントに初参加した『クロノス日本版』およびwebChronos編集長の広田雅将が、その現地リポートをお届けする。

GPHG 2025

GPHG授賞式の様子。GPHGの常連がブルガリだ。今年も「オクト フィニッシモ」コレクションのうちのひとつ、「オクト フィニッシモ ウルトラ トゥールビヨン」でトゥールビヨン賞を獲得した。
広田雅将:写真・文
Photographs & Text by Masayuki Hirota
[2025年12月29日公開記事]


時計業界の“オスカー”、GPHGとは?

 ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ(以下GPHG)は2001年に創設され、2011年以降は公益団体として認定されている財団である。この財団はスイス・ジュネーブ州とジュネーブ市の監督下にあり、両者は財団理事会を通じて、共にGPHGというイベントに関与している。GPHGの目的は「現代における最も卓越した時計作品を毎年顕彰・表彰し、時計製作という芸術を世界規模で推進すること」(GPHG公式サイトによる)。毎年11月に開催されるGPHGの授賞式には、さまざまな時計関係者たちが一堂に集い、「エギーユ・ドール(金の針賞)」を含む、およそ20の賞が各メーカーや個人に授与される。日本の時計好きならば、グランドセイコーの「KODO」や「白樺」などが賞を受賞したことは記憶に新しいだろう。

 もともとはニッチなイベントだったが、2020年以降、GPHGはアカデミーを創設し、選考者の枠を大きく広げた(筆者のような人間が、選考員になれた理由だ)。加えてGPGHは参加ブランドを増やすことで、年々そのプレゼンスを高めつつある。審査員の水準にばらつきがある、賞が多すぎるといった批判もあるが、これに代わりうる賞がないのは厳然たる事実だ。「しばしば時計業界の『オスカー』と称されるGPHGは、時計界の年間スケジュールにおいて欠かすことのできないイベントであり、同分野でもっとも著名なメディアショーケースのひとつ」とGPHGの事務局が語るのは当然だろう。

 毎年秋になると、各メーカーのお偉いさんたちはGPHGが気になってそわそわしはじめる。「GPHGで賞を取れたらいいよねえ」と軽く流せるブルガリのデザイナー、ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニみたいな人は例外中の例外で、それはブルガリはGPHGで賞を総なめにしてきたからだ。賞を得られるかどうかで認知度が変わるとなれば、大きなメーカーも、マイクロメゾンも、こぞって賞を取ろうと血眼になる。事実、かつてGPHGで金の針賞を獲得したカリ・ヴティライネンは筆者にこう語った。「GPHGで金の針賞を取ってから注文が殺到するようになったねぇ」。

 2025年のGPHGは、以前と大きな違いがある。それは、事前に結果が公表されないこと。実際は不明だが、表向きはそのようにアナウンスされている。かつては発表の前日には結果が分かっていたが、今年からは完全な非公表になったのである。つまりそれぐらいGPHGの影響力が巨大になった、ということか。


広田が会場の空気とともに、各賞の受賞作を分かりやすく解説

 2025年の会場になったのは、ジュネーブにある「バティマン・デ・フォルス・モルティス」である。かつての発電所、今は劇場になった場所に、時計関係者がぞろぞろ集まりだした。石を投げたら必ず各メーカーのCEOに当たるんじゃないか、というぐらい、さまざまな人がいる。新しくブレゲのCEOになったグレゴリー・キスリングも、なんとひとりでいるではないか。長らくGPHGから距離を置いていたブレゲも、今年は「クラシック スースクリプション 2025」で再び参加したのである。

GPHG 2025

GPHGの会場となったのが、バティマン・デ・フォルティス・モルティスだ。開始時間が近づくと、時計関係者たちが三々五々集まりだした。いろんなメーカーのCEOやディレクターなどが勢揃い。ここでインタビューができたら、時間省けるのになあ。

GPHG 2025

会場のエントランスをくぐると、大きな広間に出る。スペースがあるので、インタビューなどはここで行われる。開場したてなので人は少なかったが、やがては人で埋め尽くされるようになる。

 大きなエントランスをくぐると、もうひとつ中規模な部屋がある。そこにはテーブルが置かれており、関係者たちがお酒を飲みながら話をしていた。画面には、各メーカーのインタビューが映されている。インタビュアーは、レボリューション誌の創設者にして、時計業界の顔であるウェイ・コー氏。みんな華やかよねえ。『クロノス日本版』編集部の細田雄人、カメラマンの吉江正倫氏、そして広田の3人はどうも場違いだ。

GPHG 2025

奥に進むと、関係者が入れる広間に出る。お酒を飲みつつ、表彰式を見られるという趣向だ。なお、提供されるシャンパンは、スポンサーのローランペリエだ。ここでも要人たちが語り合っていた。

 さらに階段を上がると、そこがGPHGの表彰会場になっている。席数はおおよそ800。ここには専用のチケットを持った人しか入ることができず、つまりは各メーカーのお偉いさんや名だたるジャーナリストしかいない。筆者はたまたまチケットをもらったので、その表彰会場に首を突っ込むことができた。隣に並ぶのはセイコーと東京時計精密のチーム、前の席には、オーデマ ピゲの軍団が陣取っている。ニヤニヤ笑っているのは、複雑時計の開発責任者であるルカス・ラッジだ。その隣にはジュリオ・パピ御大が、さらに隣には副会長のオリヴィエ・オーデマもいる。取材したら効率は良さそうだが、さすがに無粋なのでやめておこう。

GPHG 2025

大きな広間から、さらに左奥の階段を上ると、GPHGの表彰会場になる。全員時計関係者のみ。事前の結果発表がなくなったため、みんな表情は真剣だ。

受賞モデルを広田の解説とともに知ろう

 まず発表されたのは、「チャレンジ賞」。賞を得たのはデニソンの「A.L.D ナチュラル ストーン タイガーアイ」だった。控えめな価格で、天然石の文字盤を採用した点が評価されたのか。ケースはメッキ仕上げだが、質感は良好だった。なお、クロノトウキョウも「2025 Jubilee Sensu EOL‘白藍’」をノミネートしていたが、おしくも受賞ならず。なおこのジャンルでは、クリストファー・ウォードの「C1 Celestial Moonphase x Mr Jones Watches」も個人的には目を引いた。

デニソン ナチュラルストーン タイガーアイ

デニソン「A.L.D ナチュラルストーン タイガーアイ」
クォーツ。SSケース(縦37mm×横33.5mm、厚さ6.05mm)。3気圧防水。660スイスフラン。

GPHG 2025

チャレンジ賞は、価格3500スイスフラン以下の時計が対象となる。写真のファイナリストに残った作品のうち、左下がクリストファー・ウォード、右下がクロノトウキョウのモデル。

GPHG 2025

チャレンジ賞の表彰。受賞したのはデニソンだった。デザイナーであるエマニュエル・ギュエは、時計の見せ所を作るのが本当にうまいね。

 続く「小さな針賞」を得たのは、MB&Fの「マッドエディション M.A.D.2 グリーン」だった。MB&Fの人気を沸騰させたM.A.D.コレクションは、ユニークな造型と、相対的には控えめな価格を実現した限定版。2021年の「M.A.D.1 レッド」が、同じ賞を獲得したことを思えば今年の受賞も納得だが、個人的には大塚ローテックの「5号改」に取ってほしかったなあ。

M A D エディションズ M A D 2

MB&F「M.A.D.エディションズ M.A.D.2 グリーン」Ref.M.A.D.2 Green
自動巻き(Cal.G101)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約64時間。SSケース(直径42mm、厚さ12.3mm)。3気圧防水。3135スイスフラン。

GPHG 2025

販売価格が3000〜1万スイスフランである時計を対象とした賞。写真右下が大塚ローテック『5号改』。

 強豪がひしめいたのは、「スポーツ」部門だった。オーデマ ピゲの「ロイヤル オーク オフショア」、グランドセイコーの“トーキョー ライオン テンタグラフ”、ローラン・フェリエの「スポーツオート 79」といった大作がひしめく中、賞を得たのはショパールの「アルパインイーグル 41 SL ケイデンス 8HF」だった。外装にセラマイズドチタンを用い、そしてムーブメントを5万7200振動/時に高めた本作は、確かに際立ってスポーツウォッチだった。壇上では共同社長のカール・フリードリヒ・ショイフレが淡々と受賞のお礼を述べている。とはいえ、喜びを抑えているように見えるのは、気のせいではないだろう。

ショパール アルパイン イーグル 41 SL ケイデンス 8HF

ショパール「アルパイン イーグル 41 SL ケイデンス 8HF」Ref.298600-3028
自動巻き(Cal.Chopard 01.14-C)。28石。5万7600振動/時。パワーリザーブ約60時間。Tiケース(直径41mm、厚さ9.75mm)。100m防水。世界限定250本。391万6000円(税込み)。

GPHG 2025

スポーツウォッチを対象とした賞。写真左上がオーデマ ピゲの「ロイヤル オーク オフショア」、右上がグランドセイコー「スポーツコレクション SLGC009」、左下がローラン・フェリエ「スポーツオート 79」。

 意外だったのは、「クロノグラフ賞」だ。受賞したのはアンジェラスの「クロノグラフ テレメーター」。筆者が予想していたのは、オーデマ ピゲの「ロイヤル オーク コンセプト スプリットセコンド クロノグラフ GMT ラージデイト」。大作が並ぶ中、地味な手巻きの2カウンタークロノグラフが選ばれるとは想像外だった。ちなみにこの時計は、搭載するムーブメントが素晴らしい。設計はかのフランソワ・ポール・ジュルヌ。彼はTHAの在籍時にこのムーブメントを作り上げ、後に彼自身のムーブメント会社であるTIM、続いて、シチズン傘下のラ・ジュー・ペレにその権利が移った。ムーブメントを見れば受賞は納得だが、しかしこのモデルが取るとはなあ。個人的には、アンデルセン・ジュネーブの「スプリットセコンド クロノグラフ ワールドタイム」が推し。昔のヴィーナス185を搭載したこのユニークピースは、残念ながら受賞はならなかったが、時計好きならば間違いなく刺さるはずだ。そして、ルイ・モネの「1816」。これは地味だけどいい時計だと思うぞ。ブレスレットも改善されたしね。

アンジェラス クロノグラフ テレメーター

アンジェラス「クロノグラフ テレメーター」Ref.0CHC.QI01A.V010Q
手巻き(Cal.A5000)。23石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約42時間。18KYGケース(直径37mm、厚さ9.25mm)。30m防水。世界限定15本。要価格問い合わせ。

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クロノグラフを搭載した時計を対象とした賞。写真の左上がアンデルセン・ジュネーブ「スプリットセコンド クロノグラフ ワールドタイム」、右上がオーデマ ピゲ「ロイヤル オーク コンセプト スプリットセコンド クロノグラフ GMT ラージデイト」、下段中央がルイ・モネ「1816」。

 続く「メカニカル エクセプション賞」に選ばれたのは、グルーベル・フォルセイの「ナノ フドロワイヤント」。トゥールビヨンもクロノグラフもコンプリケーションもあるのに、機械的にすごい賞とはこれいかに。もっとも、ノミネートされた時計を見ると、確かに、どのジャンルにも収まらないものが並んでいる。個人的な推しはルイ・ヴィトンの「エスカル・オ・ポンヌフ」と、ルカ・ソプラナの「デレク・プラット ルモントワール・デガリテ」。グルーベル・フォルセイの、抵抗を1800分の1に減らしたフドロワイヤントという特徴が、選ばれた理由か。仕上げは圧倒的だし、機構もおそらくは魅力的だが、実験的な要素の多い時計である。

グルーベル・フォルセイ ナノ フドロワイヤント

グルーベル・フォルセイ「ナノ フドロワイヤント」
手巻き。2万1600振動/時。パワーリザーブ約24時間。18KWGケース(直径37.9mm、厚さ14.34mm)。3気圧防水。世界限定22本。要価格問い合わせ。

GPHG 2025

特別な機械式時計に贈られる賞が、メカニカル エクセプション賞だ。写真左下がルイ・ヴィトンの「エスカル・オ・ポンヌフ」、そのすぐ右がルカ・ソプラナの「デレク・プラット ルモントワール・デガリテ」。

「アイコニック賞」の勝者は、オーデマ ピゲの「ロイヤル オーク パーペチュアル」だった。アイコニックな造型に、リュウズだけですべてのカレンダーを個別調整できる機構を組み合わせた本作は、確かに受賞に値する。前席に陣取っていたオーデマ ピゲのチームは、名前を読み上げられた瞬間大騒ぎだった。謹厳実直なルカス・ラッジでさえも喜びを爆発させていたのだから、よっぽどのことであるようだ。個人的な予想はブレゲ。しかし、受賞しなかったのは、アイコンとして認知されるにはあまりにもカタチが新しすぎた(あるいは古すぎた)ためか。ピアジェの「ピアジェ アンディ・ウォーホル」はアイコニックなカタチを持つが、まだリリースからは新しい。数年経てば時計業界のアイコンとして認知されるのではないか。もっとも、似たようなデザインのデニソンが受賞してしまったのは、ピアジェにとって惜しまれる。

オーデマ ピゲ ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー

オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー」Ref.26674SG.OO.1320SG.01
自動巻き(Cal.7138)。41石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約55時間。18Kサンドゴールドケース(直径41mm、厚さ9.5mm)。50m防水。要価格問い合わせ。

GPHG 2025

アイコニックな意匠を持つ時計が対象となった賞。写真右上がブレゲ「クラシック スースクリプション 2025」、右下がピアジェ「ピアジェ アンディ・ウォーホル」。

GPHG 2025

アイコニック賞を得たのは、オーデマ ピゲの「ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー」だった。壇上にいるのは、開発責任者のルカス・ラッジ。喜びを爆発させた後、神妙な面持ちで壇上に登っていった。

 そうそうたる大作が並ぶ「レディース賞」を勝ち抜いたのは、ジェラルド・ジェンタの「ジェンティッシマ ウルサン ファイアー オパール」である。オーデマ ピゲ、ルイ・ヴィトン(「コンバージェンス」は傑作だと思う)、ピアジェ、ティファニーにヴティライネンの中にあって、ウニをモチーフにした本作は、確かに際立ってユニークだ。しかし、賞を取るとは本当に意外だった。壇上で喜びのスピーチをしたのは、ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトンのミシェル・ナバスとエンリコ・バルバシーニだった。

ジェラルド ジェンタ ジェンティッシマ ウルサン ファイアー オパール

ジェラルド・ジェンタ「ジェンティッシマ ウルサン ファイアー オパール」Ref.DBBE01A1
自動巻き(Cal.GG005)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。18KYGケース(直径36.5mm、厚さ9.64mm)。30m防水。要価格問い合わせ。

GPHG 2025

左上から時計回りにオーデマ ピゲ「ロイヤル オーク ミニ」、ジェラルド・ジェンタ「ジェンティッシマ ウルサン ファイアー オパール」、ルイ・ヴィトン「タンブール オトマティック コンバージェンス プラチナ」、ヴティライネン「28CG」、ティファニー「バード オン ロック レガシー タンザナイト」、ピアジェ「シックスティーズ」。

「レディースコンプリケーション賞」に選ばれたのは、ショパールの「インペリアーレ フォーシーズンズ」である。これは豪奢だが”Bring-Bring”でない、ひねりを効かせたモデル。個人的にはエルメスの「エルメス カット タンシュスポンデュ」か、ジェイコブの「ザ ミステリー トゥールビヨン 44mm」が残ると思っていたが、勝者はL.U.C.のムーブメントを載せたジュエリーウォッチだった。65日で一回転する回転ディスクが、四季の穏やかな循環を思わせるのと、マザー・オブ・パールに彩色し、マルケトリとした点が評価されたのだろうか。壇上では、共同社長のキャロライン・ショイフレと、なぜか兄のカール・フリードリヒもスピーチを行っていた。

ショパール インペリアーレ フォーシーズンズ

ショパール「インペリアーレ フォーシーズンズ」 Ref.385394-1001
自動巻き(Cal.96.24-L)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。18KWGケース(直径36mm、厚さ12.1mm)。50m防水。世界限定25本。1501万5000円(税込み)。

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レディース賞とは別に、複雑機構を搭載した女性向けの時計にも賞が与えられる。下段中央がエルメス「エルメス カット タンシュスポンデュ」、その右隣がジェイコブ「ザ ミステリー トゥールビヨン 44mm」。

GPHG 2025

レディースコンプリケーション賞を得たのは、ショパール。共著同社長であるショイフレ兄妹が壇上でスピーチを行った。ムーブメントがL.U.C.であるのも評価の理由か。

「アーティスティッククラフト賞」には、各社の威信を賭けたモデルがそろった。正直、ノミネートされた6本のうち、どれが選ばれてもおかしくない。蓋を開けたところ、受賞したのはカリ・ヴティライネンの「28GML 蒼陽(souyou)」だった。これは傑作、28にGMT機構を内蔵し、中央の24時間回転ディスクで第2時間帯を示すもの。そこに、石川県の北村工房が1000時間をかけて製作した文字盤を合わせている。ちなみに同工房は、能登半島地震で被災し、工房を金沢市に移したばかり。能登の漆芸が大打撃を受ける中、この受賞が現地の人々を勇気付ける一助になることを願っている。どれも傑作ぞろいだったが、個人的な推しはティファニーのフライングトゥールビヨンだ。

ヴティライネン 28GML SOUYOU

ヴティライネン「28GML SOUYOU(蒼陽)」Ref.28GML
手巻き(Cal.28GML)。1万8000振動/時。パワーリザーブ約65時間。Ptケース(直径39mm、厚さ11.2mm)。30m防水。ユニークピース。要価格問い合わせ。

GPHG 2025

芸術的で、工芸品的な要素の強い時計に贈られるアーティスティッククラフト賞。写真の下段中央がティファニー「バード オン ア フライング トゥールビヨン アジュール ブロッサム」。

「ジュエリー賞」は、アーティスティッククラフトウォッチ賞に増してキラキラだった。正直、どれが選ばれてもおかしくないが、勝者はディオールの「ラ デ ドゥ ディオール ビュイソン クチュール」だった。ルビーとピンクサファイア、そしてダイヤモンドでかたどられた花モチーフに、ツァボライトを合わせた文字盤は、バラで埋め尽くされた庭園を思わせる。見た目のインパクトでいうと、確かにこれが受賞した理由は分かる。なお、この部門での個人的な推しはピアジェだった。

ディオール ラ デ ドゥ ディオール ビュイソン クチュール

ディオール「ラ デ ドゥ ディオール ビュイソン クチュール」Ref.CD04317X1606
クォーツ。18KPGケース(直径38mm、厚さ9mm)。3気圧防水。ユニークピース。要価格問い合わせ。

GPHG 2025

例年、きらびやかなモデルが並ぶジュエリー賞。広田の推しが写真左下のピアジェ「スウィンギング ソートワール」。ネックレスとしても腕時計としても身に着けられるデザインになっている。

「タイムオンリー賞」で残ったのは、ダニエル・ロートの「エクストラ プラット ローズゴールド」」。個人的には「FACE OF TASAKI」がイチ押しだったが、2針の薄形という構成を持つダニエル・ロートが賞を得た。クラシック回帰とはいえ、こんな地味な(個人的には好きだが、かなり控えめなのは否めない)時計が受賞するのは、時勢のなせる技か。壇上でスピーチしたのは、ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトンのミシェル・ナバスとエンリコ・バルバシーニのふたり。ちなみにこのモデルができたとき、このふたりはダニエル・ロート本人に見せたとのこと。おそらく、ロートさんも受賞を喜んでいるに違いない。

ダニエル・ロート エクストラ プラット ローズゴールド

ダニエル・ロート「エクストラ プラット ローズゴールド」Ref.DBBD01A1
手巻き(Cal.DR002)。21石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。18KRGケース(縦38.6×横35.5mm、厚さ7.7mm)。30m防水。4万9000スイスフラン(税込み)。

時・分表示のみの、シンプルな時計に与えられるタイムオンリー賞。写真右下がTASAKIの「FACE OF TASAKI」。

 GPHGで主演男優賞に相当するのが「メンズ賞」である。ノミネートされたのは、ショパール、ガリック、グランドセイコー、ローラン・フェリエに復活したウルバン・ヤーゲンセンとゼニス。蓋を開けたところ、受賞したのはナチュラル脱進機を載せたウルバン・ヤーゲンセンの「UJ-2」だった。本命のセイコーが逃したのは、年差±20秒という打ち出しが足りなかったのと、デザインがあまりにも白樺に似ていたためか。ブルガリのボナマッサさんは「あれいい時計なんだけど、単なる文字盤違いと見なされたのが痛かったね」とU.F.Aを評した。仮に次回ノミネートするなら、文字盤違いでよろしくお願いします。

ウルバン ヤーゲンセン UJ-2

ウルバン・ヤーゲンセン「UJ-2」Ref.UJ-2-003
手巻き。1万8000振動/時。パワーリザーブ約52時間。18KRGケース(直径39mm、厚さ10.9mm)。30m防水。11万3500スイスフラン。

GPHG 2025

メンズ賞も、例年多くの大作がノミネートされる。写真右上がグランドセイコー「エボリューション9 コレクション スプリングドライブ U.F.A.」Ref.SLGB003。Ultra Fine Accuracyの頭文字を冠したモデル名の通り、年差±20秒という高精度をを実現した新型スプリングドライブムーブメントを搭載する。小径薄型化にも成功しており、ケースサイズは直径37mm、厚さ11.4mmとコンパクトだ。

 傍観者としては中だるみを起こしそうだが、ノミネートしているメーカーの関係者たちは熱心に壇上を見つめている。「メンズコンプリケーション賞」を得たのは、ボヴェ 1822のワールドタイマーである「リサイタル 30」だった。控えめな時計がトレンドと考えれば、パルミジャーニ・フルリエの「トリック パーペチュアルカレンダー」が残りそうだが、中身を考えると、リサイタル 30は妥当だろう。これは、UTC(協定世界時)、AST(米国 夏時間)、EAS(欧州・米国 夏時間)、EWT(欧州 冬時間)に30分オフセットの時間帯にも対応したスーパーワールドタイマー。使い勝手に優れるオーデマ ピゲのパーペチュアルカレンダー搭載モデルもこのジャンルにノミネートされていたが、すでにアイコニック賞を獲得している。というわけでボヴェの受賞になったのではないか。

ボヴェ リサイタル 30

ボヴェ「リサイタル 30」Ref.R30-0001
自動巻き(Cal.R30-70-001)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約62時間。Tiケース(直径42mm、厚さ12.90mm)。7万3508スイスフラン。

複雑機構を搭載した男性向けの時計を対象とした賞。写真左上がオーデマ ピゲが創業150周年の記念モデルとしてリリースした「ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー オープンワーク“150 周年アニバーサリー”」、下段中央がパルミジャーニ・フルリエの「トリック パーペチュアルカレンダー」。

「トゥールビヨン賞」のグランプリは、ブルガリの「オクト フィニッシモ ウルトラ トゥールビヨン」だった。ケースの厚さは世界最薄で、しかもトゥールビヨンとなれば、受賞は当然だろう。もちろん他のノミネートされたモデルも魅力的だったが、ブルガリのトゥールビヨンとは分が悪い。後にデザイナーのボナマッサさんにおめでとうと伝えたところ、「まあ、受賞はね」と余裕綽々だった。ちなみに、ここ数年センタートゥールビヨンのモデルが増えているのは、オメガの特許が切れたため、とのこと。FAM AL HUTの2軸トゥールビヨンは大変面白いが、これはひょっとしてピーコックのエボーシュを使ったものかもしれない。何しろ価格は2万6620スイスフランに過ぎないのだ。

ブルガリ オクト フィニッシモ ウルトラ トゥールビヨン

ブルガリ「オクト フィニッシモ ウルトラ トゥールビヨン」Ref.104313
手巻き(Cal.BVF 900)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。Tiケース(直径40mm、厚さ1.85mm)。要価格問い合わせ。

GPHG 2025

トゥールビヨン賞のノミネート作品。写真左下がFAM AL HUT「メビウス」。後述するオーダシティーを獲得している。

「メカニカルクロック賞」を得たのは、レペ 1839とMB&Fのコラボレーションモデル「アルバトロス」である。壇上に上がったのはレペCEOのアルノー・ニコラス。一通り感謝を述べた後、マックス・ブッサーを壇上に上げて喜びを分かち合った。トリローブやフィオナ・クルーガーのクロックも極めて魅力的だったが、アルバトロスは動きの面白さが評価されたのか。

レペ1839 アルバトロス

レペ 1839「アルバトロス」Ref.63.6001/200
手巻き。1万8000振動/時。ステンレススティール(長さ600mm、高さ600mm、幅350mm)。パワーリザーブ約192時間。12万8640スイスフラン。

GPHG 2025

ウォッチとは違った、ユニークな大作が並ぶメカニカルクロック賞。写真上段中央がフィオナ・クルーガー、下段右がトリローブ。

クロック部門で賞を得たのは、レペ 1839とMB&Fのコラボモデル。壇上の左には、マックス・ブッサーが見える。

「ヤングスチューデント賞」に選ばれたのは、時計師のエドワード・リさん。彼が何者かは分からないが、とりあえずおめでとうございます。

「ホロロジカルレベレーション賞」を得たのは、鬼才アントン・スハノフの「セントペテルスブルグ イースターエッグ トゥールビヨンクロック」である。ちなみにこの賞は、初の市販モデルの発表から10年未満の若いブランドによって製作された時計を対象としたもの。授与すべき相当な理由がある場合のみ与えられる賞だ。ちなみにこのモデルは、銀の上にエナメルを重ねたケースの上端に、トゥールビヨンを備えたクロック。ケース自体が起き上がりこぶしのようになっており、倒れても自立するのも面白い。完成度の高さとユニークさで、本作が表彰されたのは納得だ。

アントン スハノフ St Petersburg Easter Egg Tourbillon Clock

アントン スハノフ「St. Petersburg Easter Egg Tourbillon Clock」Ref.C.14-1
手巻き。1万8000振動/時。ステンレススティール、シルバー、チタンケース(直径100mm、高さ128mm)。パワーリザーブ約182時間。5万9000スイスフラン。

 ホロロジカルレベレーションと同じ裁量賞が、大胆な時計作りに与えられる「オーダシティー賞」だ。創造的な大胆さを促進することを目的としている本賞を得たのは、FAM AL HUTの「メビウス」だった。コンパクトな2軸トゥールビヨンを持つ本作は、価格も控えめで完成度も高く、他にないユニークさが際立っている。

Fam Al Hut MARK 1 Möbius

FAM AL HUT「MARK 1 Möbius」Ref.MARK 1
手巻き。2万1600振動/時。SS(横24.3mm、縦42.2mm、厚さ12.9mm)。パワーリザーブ約50時間。2万6620スイスフラン。

GPHG 2025

オーダシティー賞の発表。中国のFAM AL HUTが受賞した。多軸のトゥールビヨンで価格2万6000スイスフランちょっとというのも大胆だ

 続いては、審査員特別賞。選ばれたのはカルティエ現代文化財団のアラン=ドミニク・ペランである。1975年にカルティエ社の社長に任命され、1998年まで同職を務めた彼は、いわばカルティエ中興の祖。加えて2001年から2003年まではリシュモン グループのCEOも務めた。ペランさんの経歴を考えると、受賞は妥当だろう。もっとも本人は多忙につき、代理人がお礼を述べていた。

開催から2年目に設立された、審査員特別賞。2025年は、アラン=ドミニク・ペランが獲得した。

いよいよクロノメトリー賞、そして金の針賞!

 GPHGの各賞は、財団の考える序列に従って授与される。つまり金の針賞の前に発表される「クロノメトリー賞」は、極めて価値のあるものと言えそうだ。豪華な時計よりも、トゥールビヨンよりも、精度の高い時計に与えられる賞を重視するというのは、ジュネーブの時計イベントらしくて好感が持てる。こちらも裁量賞で、受賞するに値する時計がある場合のみ授与される。2025年の勝者は、ゼニスの「G.F.J.」。COSC、TIMELAB、ブザンソン天文台などの検査機関により、ISO 3159規格に基づく公式認証を受けていることが条件と考えれば、受賞に値する時計はほとんどない。とはいえ、かつて天文台コンクールを総なめにしたCal.135を搭載した本作が受賞するのは納得だ。

ゼニス G F J

ゼニス「G.F.J.」Ref.40.1865.0135/51.C200
手巻き(Cal.135)。1万8000振動/時。パワーリザーブ約72時間。Ptケース(直径39.15mm、厚さ10.5mm)。5気圧防水。695万2000円(税込み)。

GPHG 2025

クロノメトリー賞を得たのはゼニス。CEOのブノワ・ド・クレークが喜びを語っていた。

 そして最後は、「金の針賞」。すべてのカテゴリーの中からベストの時計を選ぶ本賞は、「最も権威ある賞」であり、受賞する時計は「時計産業全体を最も象徴する作品とみなされる」。選ばれたのは、ブレゲの「スースクリプション 2025」だった。金の針賞に選ばれるのは、超複雑時計に限られるというのが時計業界の認識だった。事実、2020年はピアジェの「アルティプラノコンセプト」、2021年はブルガリの「オクト フィニッシモ パーペチュアル」、2022年はMB&Fの「レガシーマシーン シークエンシャル エヴォ」、2023年はオーデマ ピゲの「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ ウルトラ コンプリケーション ユニヴェルセル RD#4」、2024年はIWCの「ポルトギーゼ・エターナルカレンダー」と、超大作が続いている。しかし今年は一転して、ドシンプルな時計が選ばれた。完成度の高さを考えれば受賞は納得だが、まさか金の針賞に選ばれるとはなあ。

ブレゲ クラシック スースクリプション

ブレゲ「クラシック スースクリプション 2025」Ref.2025BH/28/9W6
手巻き(Cal.VS00)。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約96時間。18Kブレゲゴールドケース(直径40mm、厚さ10.8mm)。3気圧防水。757万9000円(税込み)。

GPHG 2025

壇上で受賞の喜びを語る、ブレゲCEOのグレゴリー・キスリング。久々の参加でいきなり金の針賞を取るのはさすがブレゲ。

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表彰後。撮影までの空き時間で、さまざまな人たちが自由に語り合っていた。

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表彰台から見た座席。確かにここで名前を呼ばれたら気分は上がるだろうね。裏側にある秘密スペースでは、関係者たちが着席してディナーをとっている。


そうそうたるメンバーがそろうGPHGの意味

 表彰が一通り終わった後、受賞者たちが集まっての記念撮影となった。それがはけると、なんとひな壇の奥にスペースが現れた。ここでディナーがあるらしい。まるでスパイ映画みたいじゃないか。

 そこには、各社のCEOやディレクター、販売店のお偉いさんや著名なジャーナリストがずらりとそろっていた。筆者もセイコーの座席にお邪魔したところ、隣席に座っていたのはフドロワイヤントの創立者であるピーター・チョンだった。隣のテーブルにはIWCチームが、向こうにはブレゲチームが陣取っている。真ん中でにこやかに座っているのは、ジャン・アルノーとウェイ・コー、その隣にはマイケル・テイもいる。表向きは慰労会、しかしこのディナーの本当の目的は、情報交換であるらしい。事実、食事が進むにつれてみんな銘々に離席し、さまざまな人と話し合っている。

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表彰式後のディナー会場にて。右手に見えるのはIWCのテーブル。デザイナーのクリスチャン・クヌープなどが見える

 筆者もいろんな人と話をした。そのひとりが、ブレゲCEOのグレゴリー・キスリング。何を話したかは書かないが、喜びを大爆発させていた。ちなみにセイコーの左隣のテーブルは、チャペック軍団が座っていた。ザビエル・デ・ロックモーレルに時計を自慢されたが、なんとその隣にはおなじみCCFanさんがいる。そしてその手前には、ベアリングメーカーであるMPSの関係者。謎すぎるテーブルだが、だからこその情報交換会なのかもしれない。

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ディナー会場にて、ブレゲCEOのキスリングさんに話を聞いた。内容は書かないけど、めちゃくちゃ喜んでいたのは顔が示すとおり。

 というわけで、怒濤のように終わった2025年のGPHG。賛否両論はあるが、確かにそろった顔ぶれを見ると、これは時計業界のオスカーだ。そして、その中で、日本がプレゼンスを高めつつあるのも個人的には嬉しい。ちなみに、仮にこの発表会に出られずとも、ジュネーブ市内で行われた、ノミネートされた時計の展示は見る価値がある。なにしろ、ガラス越しではなく、直接時計を見られるのだ。これを見るためでも、ジュネーブに行く価値はあるだろう。

ジュネーブ美術・歴史博物館でノミネート作品を堪能

GPHG 2025

GPHGにノミネートされた時計は、ジュネーブ美術・歴史博物館で見ることが可能。各社のお偉いさんや時計好きたちが、熱心にノミネート作品をチェックしていた。

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美術・歴史博物館内での展示はかくのごとし。さすがに手には取れないが、数cmの距離で時計を見られるのは圧倒的。GPHGの表彰式に行かずとも、この展示に顔を出すためだけにジュネーブに来る価値はある。

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展示会場の様子。すさまじいジュエリーウォッチでさえもむき出しで展示している。ここに来るためだけにジュネーブに来る価値は間違いなくある。

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レペ 1839とMB&Fのコラボレーションモデルは、プロペラが回転する謎の置き時計。確かに見栄えはするなあ。

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展示会場で見かけたのがセイコーチーム。執行役員の柴崎宗久さんがいらっしゃった。

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個人的に刺さったのはブレゲの「クラシック スースクリプション 2025」だ。何度も見ているが、この時計は別格中の別格だ。

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色に振って以降、プレゼンスを増しつつあるピアジェ。「スウィンギング ソートワール」はかなり魅力的な時計だ。この距離で見るからこそ、各社の気合いも分かろうもの。

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中国の新星がFAM AL FUTだ。多軸トゥールビヨンの「メビウス」はかなり魅力的。正直、お金があったらほしい時計だ。

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筆者の大好きなTASAKIの「FACE OF TASAKI」も展示されていた。これは本当に素敵な時計。デザイナーのフィオナ・クルーガーはこういう端正なデザインをやらせてもうまいね。


ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ(GPHG)2025の受賞モデルを一挙紹介。 「金の針賞」はブレゲ!

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ブルガリ「オクト フィニッシモ ウルトラ トゥールビヨン」がGPHG 2025でトゥールビヨンウォッチ賞を獲得!

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ブレゲの「クラシック スースクリプション 2025」がGPHG2025の「金の針賞」を獲得!

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