オメガの2025年新作時計から、時計ライターが本当に欲しい3本を選んでみた

2025.12.27

高級時計の代名詞と言っても過言ではないオメガ。その2025年新作から、時計ライターである筆者が本当に欲しいと思う3本を厳選した。ダイバーズウォッチ、クロノグラフ、ドレスウォッチと、今年のオメガも魅力的な新製品が目白押しだ。

野島翼:文
Text by Tsubasa Nojima
[2025年12月27日公開記事]


温故知新のデザインで、新たな可能性を切り拓くオメガ

 高級時計初心者からコレクターまで、万人におすすめできる時計ブランドと言えばオメガだろう。特に現行モデルであれば、一部を除きマスター クロノメーター認定を満たす優れた精度と耐磁性を備えているため、初めての機械式腕時計であっても扱いやすい。アフターサービスも手厚く充実しており、そして何よりも、カタログに掲載されている商品のほとんどを、店頭でじっくりと検討して購入することができるのだ。

 2025年もオメガは、代表作「シーマスター」や「スピードマスター」を中心に魅力的な新作を多く発表した。今回は、その中から時計ライターである筆者が、本当に欲しいと考える3本をピックアップして紹介する。オメガは実用性に優れ、長年の愛用にも耐える高級時計をラインナップしている。ここで挙げる3本は、あくまでもその一部に過ぎない。どのモデルが自分の琴線に触れるのか、ぜひ、正規販売店に足を運び、専門知識豊富なスタッフとともに楽しい時計選びのひと時を過ごしてほしい。

オメガ「シーマスター プラネットオーシャン」Ref.217.30.42.21.01.003

オメガ シーマスター プラネットオーシャン

オメガ「シーマスター プラネットオーシャン」Ref.217.30.42.21.01.003
第4世代へとアップデートを果たした「シーマスター プラネットオーシャン」。やはり注目すべきは、プラネットオーシャンを象徴するオレンジモデルだ。自動巻き(Cal.8912)。39石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約60時間。SS×Tiケース(直径42mm、厚さ13.79mm)。600m防水。134万2000円(税込み)。

 2005年に誕生した「シーマスター プラネットオーシャン」は、600mもの防水性とスタイリッシュなデザインを特徴とするハイスペックなダイバーズウォッチだ。誕生以降アップデートを重ねてきたプラネットオーシャンは、2025年に第4世代へとモデルチェンジを果たした。

 歴代のモデルから大きく印象を変えたことに驚いた読者も少なくないだろう。オメガを象徴するツイストラグから、エッジの効いたシャープなラグへと変わり、10時位置のヘリウムエスケープバルブは廃止され、スポーティーなリュウズガードが追加された。厚さは13.79mmと、前作から2mm以上の薄型化を果たしている。

 しかしながら、アラビア数字と台形を組み合わせたインデックスやアロー型の時分針、ベゼルにあしらわれた数字の書体など、プラネットオーシャンを象徴する要素はしっかりと残っている。見た目に新鮮さを与えつつ、コレクションとしての連続性を感じさせるアップデートには、数々のアイコニックピースを擁するオメガの手腕が見て取れる。

 ミドルケースに用いられている素材はステンレススティールだが、ケースバックとインナーリングにはグレード5チタンが採用されている。これは市販モデルでありながら驚異の6000m防水を達成した、「シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ」の技術を転用したものである。

 ケースと同様、ステンレススティールブレスレットもシャープなデザインが与えられた。中央の列にはポリッシュ、両端にサテン仕上げを施した3連ブレスレットは、上品さとスポーティさを兼ね備えたデザインだ。

 ムーブメントは、自動巻きのCal.8912を搭載している。コーアクシャル脱進機を搭載し、METASによるマスター クロノメーター認定を取得した、優れた実用性が魅力だ。

オメガ「スピードマスター ダーク サイド オブ ザ ムーン」Ref.310.92.44.50.06.002

オメガ スピードマスター ダーク サイド オブ ザ ムーン

オメガ「スピードマスター ダーク サイド オブ ザ ムーン」Ref.310.92.44.50.06.002
グレーで統一された、上品なカラーリングの「スピードマスター」。月をモチーフとした意匠に、マスタークロノメーター認定の手巻きクロノグラフムーブメントを組み合わせている。手巻き(Cal.3869)。26石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。セラミックスケース(直径44.25mm、厚さ12.97mm)。50m防水。232万1000円(税込み)。

 NASAの公式認定を勝ち取り、1969年には月面に降り立つなど、宇宙との深い結びつきを持つスピードマスター。そんなオメガの宇宙探査のレガシーをたたえるのが、「スピードマスター ダーク サイド オブ ザ ムーン」である。グレーで統一された落ち着きのあるカラーリングと、月に着想を得た意匠が特徴だ。グレーを採用しているのは、人類史上初めて月の裏側を目にしたアポロ8号の船長であるジム・ラヴェルの「月は本質的にグレーだ」という言葉に敬意を表しているためだ。

 オープンワーク仕様のダイアルは、3つのインダイアルと開口部から覗くレバー、浮遊しているようなインデックスによって立体的に仕上げられている。地板に施された月の表側をモチーフとした複雑なパターンは、レーザー加工によってあしらわれたものだ。

 シースルーバックからは、同じくレーザー加工を施したブリッジを鑑賞することができる。こちらは月の裏側をモチーフとしたパターンを採用し、ダイアル側とケースバック側で月の表と裏を再現している。もちろん、クロノグラフムーブメントならではのレバーやカム、水平クラッチの動きも楽しむことができる。

 さらに注目すべきは、プラズマ仕上げを施したグレーのセラミックス製ケースだ。セラミックスは耐傷性に優れた素材だが、高い硬度はそのまま加工の難しさにもつながる。本作ではポリッシュとヘアラインに仕上げ分け、ステンレススティールと見紛うかのような金属的な質感に仕上げられている。天面にヘアラインを施したセラミックス製のベゼルには、レーザーエングレービングとホワイトの蓄光塗料によるタキメーターが配されている。

 グレーのラバーストラップにはセラミックス製のフォールディングクラスプが装着され、簡単に腕に装着することが可能だ。ストラップの裏面には月面の模様が施され、細部にまで遊び心があふれている。

オメガ「シーマスター ミラノ・コルティナ 2026」Ref.522.53.37.20.04.001

オメガ シーマスター ミラノ・コルティナ2026

オメガ「シーマスター ミラノ・コルティナ 2026」Ref.522.53.37.20.04.001
ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックを記念したスペシャルモデル。グラン フー エナメルダイアルと、18Kムーンシャインゴールド製ケースを組み合わせている。自動巻き(Cal.8807)。35石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約55時間。18Kムーンシャインゴールドケース(直径37mm、厚さ11.55mm)。10気圧水。306万9000円(税込み)。

 2026年に開催されるミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックで、オフィシャルタイムキーパーを務めるオメガより発表された、大会を記念するスペシャルモデル。ヴィンテージのシーマスターのスタイルを踏襲した、ドレッシーなデザインが魅力だ。

 すっきりとしたノンデイト仕様のホワイトダイアルは、グラン フー エナメル製。釉薬の塗布と高温での焼成、その表面を研ぎ出すことを繰り返して生み出されるエナメルダイアルの製造にあたっては、職人の高度な技術が不可欠だ。そこにくさび型の18Kムーンシャインゴールド製インデックスをセットし、プチ フー エナメルによるシーマスターのロゴとミニッツトラックをあしらっている。

 直径37mmのケースは、18Kムーンシャインゴールド製だ。この素材は、ダークブルーの空に輝く月の光からインスピレーションを得た18Kゴールド合金であり、通常の18Kイエローゴールドよりも淡い色合いと経年変化に強いという特徴を備えている。フラットなベゼルやシャープなラグ、ボックス型のサファイアクリスタルがクラシカルな印象をもたらす。ドレッシーなデザインながら10気圧防水であることも魅力だ。

 ケースバックにはミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックのエンブレムが刻まれ、大会を記念したスペシャルモデルならではの特別感を味わうことができる。

 ストラップは、ブラウンのアリゲーターレザー製。18Kムーンシャインゴールド製のピンバックルが装着され、ドレスウォッチにふさわしい風格を備えている。

 ムーブメントは、自動巻きのCal.8807を搭載する。メンテナンスサイクルを伸ばすコーアクシャル脱進機と、耐磁性に優れたシリコン製ヒゲゼンマイを採用したマスター クロノメーター認定のハイスペックさが魅力だ。



Contact info:オメガ Tel.0570-000087


ボーナスで買えるオメガはどれだ? スポーツウォッチからドレスウォッチまで、5つのモデルを選んでみた

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2025年新作のうち、オメガ「シーマスター プラネットオーシャン」をフリーエディター竹石祐三が推す!

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2025年、オメガが発表した新作腕時計を一気読み!

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