革新的な機構が日々使う楽しさに。オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー」を阿形美子が推す

2025.12.29

2025年に発表された新作モデルのうち、「気になる1本」「お勧めの1本」を、著名な時計ジャーナリストらが取り上げる企画。今回は、フリーエディター・ライターの阿形美子が「猛烈に欲しいっ!!!」と叫ぶ1本。オーデマ ピゲが創業150周年を迎えた2025年、画期的な“オールインワン”リュウズとともに打ち出した、「ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー」である。

阿形美子:文
Photograph & Text by Yoshiko Agata
[2025年12月29日公開記事]


猛烈に欲しいっ!!! 「ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー」

 webChronosの編集部から「2025年のイチオシモデルを教えてください」というオーダーをいただき、う〜〜んと今年見た数々の新作を思い返してみたところ……確かにあった。猛烈に欲しいっ!!! と思った腕時計が。そんなオーデマ ピゲ「ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー(ケース直径41mmではなく38mmの方)」について、ここでは書いてみる。


機能をフル活用できるパーペチュアルカレンダー

 皆さんご存じの通り、オーデマ ピゲにとって2025年は創業150周年というアニバーサリーイヤーだった。前年から時計業界関係者の注目が集まる中で、2025年の新作第一弾のひとつとして2月に発表されたのが、全く新しい“オールインワン”リュウズを搭載した「ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー」だった。

 このモデルについてはハカセからすでに詳しく紹介されているので、機構に関して深く知りたい向きはこちら(https://www.webchronos.net/features/132735/)を一読いただきたい。

 5年をかけて開発された自動巻きパーペチュアルカレンダームーブメントCal.7138の最大の特徴は、リュウズ操作で、日付、月、曜日と週表示、ムーンフェイズ表示を個別に調整できる点にある。リュウズのみで操作できる気軽さと楽しさ、そして感触の良さについては、何人もの時計ライターから大絶賛の声を聞いた。

オーデマ ピゲが新たに開発したCal.7138(またはCal.7136)は、一般的なリュウズ操作の1段引き、2段引きに、3段引きでの操作を加えたうえで、さらに3段引きから2段引きへとリュウズを押し込んで戻すと、また別の操作ができるという画期的な機構を持つ。

 現在、市場に出回っているパーペチュアルカレンダーの多くは、グレゴリオ暦法上の例外的な平年に当たる2100年2月28日までは調整が不要とされている。しかし、それはあくまでも時計を動かし続けた場合で、3日も着用しなければ、次に使う時にはカレンダーはズレているわけで。時計通の間では「パーペチュアルカレンダーがズレているのは、時計を何本も持っている証拠」なんて軽口を言ったりもするようだけれど、せっかく手に入れたのならば、やはり機能をフル活用できた方がうれしいに決まっている。だからこそ、この操作性が追求されたロイヤル オーク パーペチュアルカレンダーの所有満足度は、相当に高いだろう。

推しは38mm径のコンパクトなモデル

 ただし、今回私が推したいのは、秋に発表されたケース径38mmのモデルの方だ。個人的な話になるが、私は時計の記事は書くものの、一生活者としては複雑時計は雲上のアイテムだし、ズボラなので機構を使いこなせる気もしない。だから、機構の見事さにフムフムとなることはあっても、どこか他人事だった。そんな私でもこれなら着けたいと思ったのが、38mmの「ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー」なのだ。

オーデマ ピゲ ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー

オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー」Ref.26684OR.OO.1356OR.01
自動巻き(Cal.7136)。41石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約55時間。18KPGケース(直径38mm、厚さ9.4mm)。5気圧防水。世界限定150本。要価格問い合わせ。

 こちらのモデルは41mmの登場に比べると、さして話題に上っていないようだ。私の場合も、「ロイヤル オーク “ジャンボ” エクストラ シン フライング トゥールビヨン クロノグラフ(RD#5)“150周年アニバーサリー”」を拝見しにうかがった際に、オマケのように紹介されたのだった(笑)。

 しかし単なるサイズダウンではないことは、ひと目で明らかだった。見返し部分の週表示を除いたことで、文字盤の印象が俄然スッキリとし、グランドタペストリー装飾の美しさも際立って見える。人それぞれ好みはあるだろうが、私は絶対にこちらだと思った。そして、第一弾のリリースから半年ほどでサイズバリエーションを発表するオーデマ ピゲのスピード感にも感服させられた(いや、もしかしたらあえて2サイズを同時発表しなかったのかもしれないけれど)。

オーデマ ピゲ ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー

9月に38mm径ケースのバリエーションとして発表されたロイヤル オーク パーペチュアルカレンダーには、ステンレススティール製モデルもラインナップに加えられていた。2月発表の同シリーズや、これまでCal.5134を搭載していたモデルにはあった、文字盤の見返し部分の週表示を省かれており、ポリッシュ仕上げが与えられている。

 このパーペチュアルカレンダーならきっと日々使いこなせるし、操作する楽しさもある。そしてもちろん、着け心地も快適だ。近年の小径化のトレンドにも符合するし、手首の細い男性や女性にも最適なサイズだから、パートナーとシェアするのも素敵だろう。

 ただ私の場合には、切実な問題がひとつある。「買うお金がない」のだ。ということで、懐に余裕のある時計愛好家の皆さんには、ぜひこの直径38mmケースのモデルをよくよくチェックいただき、私の代わりにお手元にお迎えいただきたい……(万が一、ギフトも待ってます苦笑)。


Contact info: オーデマ ピゲ ジャパン Tel.03-6830-0000


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