オークションレポート/なぜデイトナは17億円超で落札されたのか?

2019.12.19

世界中のオークショニアと愛好家たちを魅了する時計とはいかなるものなのか。『クロノス日本版』編集長の広田雅将と長年の交友関係を持つコレクター、ダビデ・ムナーリ氏の目線を通して、華麗なるオークションの世界をのぞいてみよう。

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2017年10月26日に開催されたフィリップスのニューヨークオークション「ウイニング・アイコンズ」。
ダビデ・ムナーリ(Davide Munari)PROFILE
数多くのレアピースを所有するコレクター兼投資家。広範な知識を持つ彼は、時計関係者やオークショニアに多くの知己を持つ。オークションに出展される数千万円から数億円の時計を、投資対象ではなく実際に買う目線で見る人物は、世界的に見ても希だ。現在、海外在住。

華麗なるオークションの世界
『なぜデイトナは17億円超で落札されたのか? フィリップス ニューヨーク オークション「ウィニング アイコンズ」を振り返る』

ロレックス「 “コスモグラフ デイトナ‘ポール・ニューマン’”Ref.6239」。1968年。手巻き(Cal.722)。17石。SS(直径37mm)。落札価格1550万USドル。

世界的に報道され、素晴らしい販売実績を残したオークションが、2017年10月に開催されたフィリップスの「ウィニング アイコンズ」だ。このオークションは、世界で最も有名、かつ唯一のロレックス デイトナを販売するため、特別に企画されたものだ。

ポール・ニューマンの私物であった「デイトナ(Ref.6239)」は、“エキゾチック”な文字盤で知られるモデルだ。俳優のポール・ニューマンがこの時計を手首に巻いた後、1980年代にイタリアのディーラーとコレクターが、彼の名前にちなんで“ポール・ニューマン”と命名した。