自動巻き腕時計にワインダーは必要? 使うメリットとデメリットを解説

2023.01.13

腕の動きに合わせて、ゼンマイが巻かれる仕組みの自動巻き腕時計だが、止まってしまった際に役に立つのがウォッチワインダーだ。セットするだけで自動でゼンマイを巻いてくれる、ウォッチワインダーのメリットとデメリットを解説する。

広田雅将

2020年2月21日掲載記事
2023年1月13日更新


ムーブメントを傷めないようにすることが重要

 機械式時計はゼンマイで動くアナログで小さな機械であるため、駆動できる時間(=パワーリザーブ)が電池で動くクォーツ式に比べて非常に短い。近年では8日間や10日間動機械も開発されているものの、2日〜3日間がほとんどである。

 自動巻き時計を使用する上で面倒になるのが、止まってしまった時計の巻き上げだ。特に、機械式時計を複数所持しているコレクターは、すべての時計を動かすだけでも一苦労だろう。フルで巻き上げても数日経てば止まってしまう。

 そのため現在は、ゼンマイを自動的に巻き上げてくれるウォッチワインダーが普及している。ワインディングマシンとも呼ばれるこの機械を使用することで、あまり着用しない自動巻き時計であっても、止まる心配がなくなるため便利である。

 加えて、常に動いている状態になるので、機械に使われている油が固まってしまう心配が少なくなるというメリットもある。

ウォッチワインダー

Photograph by Yu Mitamura
時計修理やメンテナンスの現場では、ウォッチワインダーは必須だ。写真はスタジオ・ブライトリング銀座で巻き上げテストを行っている様子。着用時の状況を作り出し、ゼンマイを巻き上げや携帯精度を確認するために使用される。

 ただし、注意するべきポイントもある。巻き上げを過剰に行い続けると、ムーブメントを傷める恐れがあるからだ。具体的には、ゼンマイの巻き上げを行うための歯車やその軸などが磨耗・劣化してしまい、機械全体の性能を落としてしまう原因となる。

 個人的な意見を言うと、一度止まってしまうと再調整に手間が掛かる時計(日付表示やムーンフェイズを搭載したもの)ならば使用してもいいだろう。特に、年次カレンダーと永久カレンダー付きの自動巻き時計は、特に針合わせに時間を要するため、ワインダーが必須アイテムとなる。


過剰な巻き上げを防ぐワインダーも存在

 単に時計を一定方向に回転させるワインダーが多い中、ムーブメントをなるべく傷まないための工夫がなされたものも開発されている。

 その好例が、ベルナール・ファーブルの「ダブル・アクシス プラネット・ウォッチワインダー」。ふたつの軸で時計を動かすことが可能で、ワインダーの回転方向や回転数、稼働時間を、9つのプログラムから選択することで主ゼンマイの巻き上げ過ぎを防ぐ。プログラムは本体の底面にあるスイッチを専用工具で操作することによって変更できる。

プラネット・ワインダー

ベルナール・ファーブル「プラネット・ワインダー」
アルミニウム×レザー(本体:直径120mm、高さ150mm、ガラスケースをセットした状態:直径140mm、高さ210mm)。USBチャージャーとトラベルケースが付属。30万8000円(税込み)。㉄ノーブル スタイリング☎03-6277-1604


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