実際のパンダは希少な種であるが、ホワイトのメインダイアル上にブラックのサブダイアルを備えた「パンダ文字盤」と呼ばれる時計は、多くのモデルを見ることができる。ここでは、パンダ文字盤クロノグラフを挙げていこうと思う。
オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク・クロノグラフ」
オーデマ ピゲは2017年ロイヤル オーク・クロノグラフの誕生20周年を記念して、いくつかの新作を発表している。そのうちシルバーカラーダイアルとブラックサブダイアルの「パンダ」モデルが上のモデルである。文字盤はオーデマ ピゲが1930年代から60年代に発表したクロノグラフを彷彿とさせ、独自のタペストリー模様が展開されるメインダイアル上に配されたサブダイアルのカラーがコントラストをなしている。これらのモデルはすべて37石、2万1600振動/時で、完全に巻き上がった状態で約40時間のパワーリザーブを持つキャリバー2385を搭載している。ケースは反射防止加工を施したサファイアクリスタル製風防、50m防水を確保するねじ込み式リュウズを備える。
ブライトリング「スーパーオーシャン ヘリテージ II B01 クロノグラフ44」
2018年のバーゼルワールドで、ブライトリングはスーパーオーシャン ヘリテージIIの44mmケースの新作を多く発表し、その中にはふたつのクロノグラフが含まれている。3時、6時、9時位置にサブダイアルが三角形に配置され、自社開発ムーブメント、キャリバー01を搭載している。サファイアクリスタル製ケースバックから見ることのできるムーブメントはC.O.S.C.取得のクロノメーターで、約70時間のパワーリザーブを持っている。日付表示の開口部が4時30分位置に設けられ、ミラネーゼブレスレット調のブライトリング「エアロクラシックラバーストラップ」が合わせられている。
ブレモン「ALT1-C クラシック クロノメーター」
純粋主義者の中には、「本当の」パンダ文字盤は、3つのサブダイアルを備えていなければならないと思っているが、ブレモン「ALT1-C クラシック クロノメーター」は今回作成したリストの中でも、ツーカウンターを持ったモデルである。ニューヨークのタウンハウスでのイベントで、一連の新作と共にこの英国ブランドから発表されたモデルはオリジナルのALT1-Cに比べて、アラビア数字のアプライドインデックスへの変更や、針の蓄光塗料処理、ムーブメントがきちんと収まるようサイズアップした「トリップ・ティック」ケース、C.O.S.C.取得のクロノグラフキャリバーBE-50AE搭載などの変更点が加えられている。ヴィンテージ風パイロットウォッチスタイルの9時位置のスモールセコンドや3時位置の30分積算計のクロスヘアモチーフなどは初期のモデルから踏襲されている。
シチズン「ツノ・クロノグラフ・レーサー」
シチズンは、2018年にその100周年を記念して、同社が1970年代初期に製作していたモデルにデザインの着想を得た、ヴィンテージ風のがっしりとしたクロノグラフ「ツノ・クロノグラフ・レーサー」を発表した(ツノは日本語で「角」の意)。時計自体は丸形の直径45mmのしっかりとした構造のケースにリュウズ、そしてクロノグラフ操作系のプッシャーを上部に備え、ラグは一体感を持ってブレスレットに組み込まれている。そして5時位置のふたつ目のリュウズは、時計のアラーム機構を操作するようにできている。文字盤は傾斜したタキメーターや5分の1秒カウンター、12時間積算計、パワーリザーブ表示、ランニングセコンド表示など4つのサブダイアルで構成されている。これらさまざまな機構は、自然光と人工照明のエネルギーによって時計を駆動させるシチズン「エコドライブ」のムーブメントによって可能となっている。
ジラール・ペルゴ「ロレアート クロノグラフ」
ジラール・ペルゴのロレアート クロノグラフは素材違いとサイズ違いで展開され、その中に、ここに挙げるパンダ文字盤モデルが含まれている。すべての新作モデルは、ヘアライン仕上げの八角形のベゼル、一体型のブレスレットとストラップからロレアートのコレクションであることが一目瞭然である。その他、ベゼルと同じ八角形のクロノグラフ・プッシャーや、クロノグラフの分積算計と時積算計のふたつと、スモールセコンドからなる3つのサブダイアルの同心円状の仕上げなど、ディテールにも気が配られている。ケース径42mmの大きめのモデルでは、アワーマーカーがミニッツトラックに干渉せず、サファイアクリスタル製のケースバックを備えており、小さい直径38mmのモデルは切り離されたアワーマーカーとクローズドケースバックとなっている。ムーブメントは自動巻きキャリバーGP03300-01、63石、2万8800振動/時、約46時間パワーリザーブ。
IWC「インヂュニア・クロノグラフ・スポーツ “76TH グッドウッド・メンバーズ・ミーティング”」
2018年3月に行われた第76回グッドウッド・メンバーズの集まりは、時計ブランドとしては初めて自身の車で出場を果たしたIWCレーシングチームのデビューとなった。このマイルストーンを記念したのがIWC「インヂュニア・クロノグラフ・スポーツ “76TH グッドウッド・メンバーズ・ミーティング”」であった。シリアルナンバーの入った限定176本のこのモデルには、軟鉄製インナーケースのおかげで耐磁性に優れたチタン製ケースが採用されている。このケージの底の部分はシースルーケースバックから見ることができる。ブレーキディスクのようにデザインされており、第76回グッドウッド・メンバーズの集まりを記念して中央に「76」と刻印されている。シルバープレート仕上げの文字盤には12時、9時、6時位置にブラックのサブダイアル、周囲にはタキメーターが配され、コントラストをなすブルーのクロノグラフ関係の針が合わせられている。この3つ目のパンダ文字盤の下には、約46時間のパワーリザーブを備えたキャリバー69380が時を刻んでいる。