今ではほとんどの時計が防水性能を備えているが、ブランドやモデルによって、○○気圧防水や○○m防水といった防水性能の表記が2種類ある。この表記の違いとは何なのかを解説しよう。
2023年2月3日更新
1気圧防水≒10m防水?
ヴィンテージモデルや複雑なコンプリケーションを除き、現行品の時計は防水性能を備えたものがほとんどだ。薄型のドレスウォッチは3気圧、実用性を重視したツールウォッチは10気圧、本格的なダイバーズウォッチであれば300mなど、ブランドやモデルによってさまざまだが、少なくとも非防水であるものは非常に少ない。
時計のスペック欄を見ると、防水表示にはメートル表記と気圧表記のふたつがあることに気づくだろう。簡単に言えば、m表記はどのくらい潜れるか、気圧はどのくらいの圧に耐えられるか、を表す。1気圧≒10m防水と考えれば、10気圧防水の腕時計は、約100m防水性能がある、とみなしてよい。
では、10気圧、100m防水の腕時計は、本当に100m潜って問題ないのか。理論上は可能だが、実際は難しいようだ。
というのも、潜って動いた際には、静止している時の水圧以上の圧力が掛かるため、腕時計へ生じる実際の負荷は、水深以上に高くなる。そのため多くのブランドは、可能な限り高い防水性能を与えようとしている。
このように、水圧を考慮すると10気圧防水、100m防水で使えるのは、せいぜい水遊び程度が限度だろう。それ以下の防水性能、例えば30mや3気圧防水などの腕時計は、基本的には防汗程度の性能と考えるべきだ。
もし本格的にアウトドアや水回りで着用したいなら、こういった「防水時計」ではなく、ISOとJISが定義する「潜水時計」を使うべきだろう。これらは本格的なダイバーズウォッチの見た目を持ち、防水表記がメートルという特徴がある。
防水性能は高いに越したことはない
日常生活において腕時計を着用するうえで、防水であることは必須と言ってもよい。気をつけていても水に接触する場面は多く、手や顔を洗ったり、外出先で消毒をしたり、突然雨に打たれることもあるだろう。
精密な機械を積んだ腕時計は、本来水分に弱いものである。水分が内部に入ってパーツが濡れたり、水分が蒸発して水蒸気になると、金属製のパーツは錆び、オイルは本来の性質を発揮できなくなる。特にはオーバーホールだけでは済まず、パーツの交換が必要になる事態も発生する。
防水性能を持った時計であっても、衝撃や磁気などと同様に、水分に気を遣って着用することが望ましい。ライフスタイルに合わせて時計を使い分けるなど、ある程度の配慮が必要だ。
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