一流のセレブたちは一体どんな腕時計を選ぶのか? 世界のセレブたちのプライベートなワンシーンを切り取り紹介する連載コラム「セレブウォッチ・ハンティング」。今回は2009年の写真をピックアップし、映画『グラン・トリノ』のフォトコールに応じる俳優クリント・イーストウッドの腕時計を紹介しよう!
クリント・イーストウッドが身に着ける
A.ランゲ&ゾーネ「ランゲ1」
(2018年8月31日掲載記事)
写真は、2009年2月にフランス・パリのホテル「ル ブリストル パリ」で行われた、映画『グラン・トリノ』のフォトコールに応じるクリント・イーストウッドの姿だ。彼が監督、プロデューサーおよび主演を務めたこの映画は、日本では2009年4月に公開された。
手首にはくっきりと、A.ランゲ&ゾーネのアイコニックウォッチ「ランゲ1」が写っている。
「ランゲ1」の初作が発表されたのは、1994年のことだ。ピンクゴールドモデルには、ブラックのストラップが付属した時期があった。A.ランゲ&ゾーネの広報に確認したところ、クリント・イーストウッドが着用しているのはおそらくこのモデルだろうということだ。
2015年に生まれ変わった、新型「ランゲ1」。その外観は、意図的に前作よりほとんど変えられていない。唯一挙げれば、ベゼルがごくわずかに細くなった点であろう。しかし新しく採用されたフリースプラングと大径テンワを載せたキャリバーL121.1は、アウトサイズデイトの瞬間送りを可能にするなど、設計が大幅にリニューアルされている。
A.ランゲ&ゾーネの広報によると、クリント・イーストウッドはドイツ・グラスヒュッテにあるブランドの本社ファクトリーにも訪れたことがあるそうだ。
1930年生まれのクリント・イーストウッド。1954年に映画俳優としてのキャリアをスタートさせ、『荒野の用心棒』や『ダーティーハリー』シリーズなど、数多くの西部劇やアクション映画に出演してスーパースターの仲間入りを果たした。1995年に公開された『マディソン郡の橋』や2003年の『ミスティック・リバー』では、監督として文芸性の高い作品も手掛ける。『ミリオンダラー・ベイビー』でアカデミー作品賞と監督賞のダブル受賞を果たした2004年以降、渡辺謙や二宮和也(嵐)が出演したことで日本でも大きな話題となった『硫黄島からの手紙』と『父親たちの星条旗』による「硫黄島プロジェクト」2部作や、冒頭の写真が撮影された『グラン・トリノ』など、歴史や社会に鋭く深い目線で切り込んだ作品を次々と生み出してきた。
長年のキャリアの中で培われてきた真実を尊ぶ視座において、選ばれた腕時計がこの「ランゲ1」なのだろう。