「ツールウォッチ」という言葉は本来、回転式ベゼルを備え、高い水圧に耐えられるようにデザインされたダイバーズウォッチのように、特定の作業目的を持つ時計を指して使われていた。
機能的で、頑丈かつ正確。視認性が良く、少々荒っぽく扱っても修理代に苦しまないような、そんな頼もしい「ツールウォッチ」をセレクトしてご紹介する。
Text by Jens Koch
オリス 「ビッグ クラウン プロパイロット ビッグデイト」
オリスから発表されたこのパイロットウォッチは、マット仕上げの文字盤と、十分に蓄光塗料が施された針とインデックスによって高い視認性を確保している。大きなリュウズは手袋着用時にも操作しやすい。飛行機のシートベルトのように機能するバックルによって、ファブリック製のストラップは滑らかな着脱が可能だ。3時位置にはデイト表示が備わる。
チューダー 「ぺラゴス LHD」
このダイバーズウォッチの名前にあるLHDは「left-hand drive(左手操作)」の意味であり、通常の反対である左側にリュウズが付くことを意味する。これは右腕に時計を着用する左利きの人にとって便利だ。ただこの時計は、左手首に着けることにも意味がある。そうすることによってリュウズを衝撃から保護しやすくなるからだ。自社製自動巻きムーブメントはC.O.S.C.認定を受けており、精度は高い。チタニウム製ケースは海水による腐食に強く、防水性は500mを誇る。ヘリウムエスケープバルブがプロフェッショナル向け装備の完成度を高めている。
セイコー 「プロスペックス ダイバースキューバ」
ケースの形状から「タートル(亀)」というニックネームの付いた本作のオリジナルモデルは1970年代に発表されたダイバーズウォッチの復刻モデルである。頑丈なラバー製のストラップ、200mの防水性能を持つケース、そして逆回転防止ベゼルを備えるこの時計は、潜水士にとって最高の装備だ。自社製の自動巻きムーブメントを搭載しながら、価格帯は低めに抑えられている。ハードレックス風防に使用されるハードレックスはサファイアクリスタルほどの耐傷性は持たないが、それでも通常のクリスタルガラスに比べると高硬度である。
タグ・ホイヤー 「アクアレーサー キャリバー5」
タグ・ホイヤーのこのダイバーズウォッチは、ブラックチタン製ケースとサンドカラーのファブリックストラップ、そしてグレーの蓄光塗料によって新鮮味のあるミリタリー調の外観に仕上がっている。ブラックチタンのカーバイドコーティングを施したケースは傷が付きにくく、ねじ込み式リュウズによって300mの防水性を確保した。反射防止加工を施したサファイアクリスタル製風防によって、視認性も良好だ。
ブライトリング「アベンジャー・ブラックバード」
ミリタリー調のブライトリング「アベンジャー・ブラックバード」は特殊なDLCコーティングを施したチタン製ケースを採用している。このコーティングは、光の反射を防ぐことで着用者の位置を特定されにくくする効果を持つ。逆回転防止ベゼル、ねじ込み式リュウズ、そして300mの防水性能によって、この時計はダイビングにも向く。針とインデックスの蓄光塗料はベージュカラー。ETA2824をベースとしたキャリバー17は、C.O.S.C.を取得しており、その精度は折り紙付きだ。
ロレックス 「オイスター パーペチュアル エクスプローラーⅡ」
1971年に発表された「オイスター パーペチュアル エクスプローラーⅡ」は、冒険家や研究者、探検家のために作られたものである。第2時間帯表示を備え、改良を重ねてきたロレックスのアイコニックモデルのひとつだ。価格的には傷を気にしてしまう面はあるが、この時計はツールウォッチの典型とも呼べるだろう。ロレックスが採用する904Lステンレススティールは、通常の316Lステンレススティールよりも海水による腐食に強い。またロレックスのムーブメントはあまりメンテナンスを必要としない部類に入るだろう。その精度の高さはC.O.S.C.取得だけでなく、日差±2秒以内に設定された自社基準によっても保証されている。
アルピナ 「アルパイナー4 オートマチック」
岩山登山や探検用に開発された「アルパイナー 4」は、頑丈なステンレススティール製ケースに逆回転防止ベゼルを備え、軟鉄製インナーケースが自動巻きムーブメントを磁場から保護している。ホワイトカラーの蓄光塗料が塗布された針とインデックスの視認性も良好だ。ねじ込み式リュウズにより、ケースは100mの防水性を持つ。