高度計の機能はシンプルだ。一定のレベルを基準として、そこからの高度を測るのだ。海面はその基準としてよく用いられる。高度計はスカイダイビングのような極限状態でのスポーツから、地上でのハイキングや登山、スキーまで、さまざまな活動に活かすことができる。最も関係性が強いのはやはりフライトだ。多くの時計愛好家が知っているように、パイロットはフライト中にすぐに時間を確認する必要があったことから、航空業界と時計業界のつながりは長い歴史を持っている。数十年来開発されてきたパイロットウォッチは、そのアイコンとして認識されるようになった要素を多く備えている。12時位置のフリーガートライアングル、大きめサイズのケースとリュウズ、蓄光塗料の開発などだ。それらすべては、フライト中のパイロットに必要とされてきたものであり、時計ブランドが高度計を搭載する以前に、純粋な時間計測が重要だったのである。ここでは、この数年発表された高度計を搭載した時計の中から選りすぐりの4選を紹介しよう。
Text by Logan R. Baker
オリス「ビッグクラウン プロパイロット アルティメーター」
2014年にオリスは、自身のパイロットウォッチのアーカイブをもとに、ビッグクラウン プロパイロット アルティメーターを発表した。この時計にはリュウズがふたつあり、2時位置のものは時間と日付調整用だ。4時位置のものは高度計を操作するものであり、高度計を操作するためにはこのリュウズのネジ込みを赤いリングが表示されるようにほどき、再び引き出すと高度計がセットできるようになる。この一連の操作が終わると、時計が黄色の表示で高度を示し、赤の表示が気圧を表示するようになる。高度計は外周リングによって読み取れるようになっており、1万5000フィートまでの計測可能だ。気圧計は高度計と中央の文字盤の間に配されている。47mm径の時計には、セリタSW200ムーブメントを改良したオリスのキャリバー733が搭載されている。ストラップは2種類から選ぶことができ、テキスタイルストラップ39万円(税別)と、SSブレスレットタイプ40万2000円(税別)となる。
ファーブル・ルーバ「ビバーク9000」
2017年、ファーブル・ルーバは「ビバーク9000」の発表によってその280周年を記念した。この機械式時計は、海抜9000m(2万9527フィート)という計測可能な高度をもって他を圧倒した。しかしこれはファーブル・ルーバにとっての新しい領域というわけではない。なぜなら「ビバーク9000」は1962年にこのブランドから発表されていた高度3000mを計測可能とした時計に、その端をたどるからだ。48mm径のチタン製ケースにはアネロイド気圧計が内包され、これによって時計は特定の場所での気圧変化によって海抜何mかを示すことができるのである。中央の赤い針は高度を示し、50m単位で推移し、1回転で3000mを表す。この3つの動きが組み合わされることによって、海抜9000mまでを測定することができるのだ。
カシオ「プロトレック PRG-650Y-1」
デザインを犠牲にせずに究極の機構を求める人々にとって、カシオという選択肢は一般的であるといえるだろう。2017年9月、この日本のブランドはPRG-650Y-1とPRG-600YB-3を加えてプロトレックコレクションの幅を広げてきた。このふたつの時計は3つのセンサーを搭載し、高度、気圧、方位、温度の計測を可能にしている。またアナログ・デジタルウォッチにはストップウォッチ機能、1日に5回までのアラーム機能、100m防水、ワールドタイム、タイマー機能も搭載されている。このタイプの機能を集約したものは、カシオが得意とするところであり、ここでもその魅力がいかんなく発揮されている。両モデルともカシオのタフソーラーパワー技術によって駆動する。カシオのプロトレックシリーズには、当然ながらすべて高度計が搭載されているのだ。価格はPRG-650Y-1、PRG-600YB-3のいずれも4万8000円(税別)である。
シチズン「プロマスター エコ・ドライブ アルティクロン」
2017年のシチズンは、価格は据え置いたままで非常にがっしりとしたモデルにメインフォーカスをおいていた。1000mの深海に潜れるダイビングウォッチに加えて、この日本のブランドは1万mの高度に達することのできる高度計を備えた「プロマスター エコ・ドライブ アルティクロン」を発表した。
シチズンは時間と機能の表示方法として、情報がシンプルに見えやすいようにデジタルよりもアナログ方式を採用した。高度計の他、方位計、パワーリザーブ表示、日付表示などさまざまな機能を搭載。アルティクロンは光によって駆動し、月差±15秒となっている。