ラドー・フロンティア ハイテクセラミックスの創造者

2018.12.04

The Latest Frontiers of High-Tech Ceramic Created by RADO

1964年、オーストリア生まれ。セールスとマーケティングにおいて経験を積んだ後、ハミルトンのCEOを7年間務める。2011年、ラドーCEOに就任し、現在に至る。ハイテクセラミックスにモノブロック構造を初めて取り入れ、ブルー、ブラウン、グリーン、グレーのカラーセラミックスの開発を指揮するなど、コレクションの多様化に尽力。ラドー創業以来の哲学を受け継ぎ、素材やデザインを革新する最前線に立ち続けることをモットーとする。

 今年、他社もハイテクセラミックス採用モデルを発表する中、ラドーは今後、どう差別化を図っていくのだろうか? 同社CEOのマティアス・ブレシャンは次のように語る。「ハイテクセラミックスを外装に採用したモデルの強みと、それを買う理由はさまざまにあります。軽量で抗アレルギー、装着時の体感温度が肌の温度に合う点などです。アンチスクラッチであることは言うまでもありませんが、これらの強みをストレートに打ち出しても、それは〝テクニカル〞なものにしかなりません。いかにして、その利点を〝エモーショナル〞なものに置き換えるか? それが私たちの課題です。技術的なメッセージも、もちろん大事ですが、買いたいという気持ちが湧き上がるためには、メッセージを感情的なものに変換する必要があります。それが、一生美しいままの時計=ラドーを身に着ける大きな喜びなのです」

 こう考えると、近年、ラドーがライフスタイルを重視したマーケティング戦略を取っていることも腑に落ちる。とはいえ、エモーショナルなメッセージが素材だけとは限らない。2018年の新作、「ラドー ダイヤマスター ハイライン」に見られるように、デザインに牽引されるかたちで、ムーブメントにも独創的な試みが発揮されつつある。
「私たちにはすでに素材に関するノウハウの蓄積があります。将来的に、このノウハウをムーブメントに応用することも考えています。例えば、2018年発表モデルで採用した新素材であるシリコンナイトライド。これをムーブメントのパーツに採用したり、受けや地板をアルミニウムに替えて、ムーブメントの軽量化を図ったりなど、革新的な素材をムーブメントに積極的に採用していきたいと考えています。もちろん、同じスウォッチ グループ傘下のETAと共同で開発していくことになるでしょう。彼らは、ムーブメント専業メーカーで、十分な知識と経験、改善のためのノウハウを蓄積し、ムーブメントのことをよく知っているからです。外装とムーブメントに新素材を導入すれば、機械式時計であっても50gを実現できると考えています」

 外装とムーブメントの革新に、得意とする新素材を武器に挑む。いかにもラドーらしい取り組みではないか。


ラドー ダイヤマスター ハイライン
素材同様、デザインの評価も高いラドー。近年は、そのデザイン力を機械式ムーブメントに生かすことにも注力する。偏心した時分針に大胆なブリッジを配し、時分針とスモールセコンドを駆動する輪列を可視化した意欲作。自動巻き(ETA Cal.2899-S2)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。プラズマハイテクセラミックス(直径43.0mm、厚さ11.8mm)。5気圧防水。28万5000円。



Contact info: ラドー/スウォッチ グループ ジャパン ☎03-6254-7330